非可逆圧縮方式は、一般には元データを復元することができない。音響心理学等様々な技法を使用し、可聴域にない音や、ある音(例えばヴォーカルの声)でマスクされて聴き取り難い音を省いて圧縮するため、同じ音源のPCMファイルよりも(音源の性質、コーデック、ビットレート設定にも依存するが)数分の一のサイズになるが、体感的な音質はそれなりに保たれる。コーデックそれぞれの工夫により圧縮率、再生時の音質・特性の差違がみられる。 可逆圧縮の為、元データと同一のデータを保持したままサイズを削減することができる。全てのフォーマットの音質は同一の為、圧縮率、エンコード・デコードの計算リソース、付加機能、再生環境等を比較する事により有用性を判断することができる。[1][2]
AAC - Advanced Audio Coding。MP3と並ぶ代表的な非可逆圧縮コーデックのひとつで、MP3よりも音質(圧縮効率)が良い。MPEG-2 と MPEG-4 に基づいている。AAC ファイルにはコンテナ形式として ADTS と ADIF がある。
ATRAC - ソニーが開発した非可逆圧縮コーデック。SonicStage、x-アプリ等に使われている
mp3 - 音楽ダウンロード配信で最も一般的な音声非可逆圧縮コーデックのひとつであり、ファイルフォーマットでもある。MP3は音楽の圧縮には適しているが、話し声には適していないとされている[要出典]。
mp4/m4a - MPEG-4 音声フォーマット(コンテナ)。中身は AAC であることが多いが、MP2/MP3 が格納されることもある。MP4には音声に限らず動画ストリームや字幕なども格納できる。拡張子 *.m4a はとくに音声ストリーム(とメタデータ等)を格納したMP4ファイルに用いられる。
Opus - Vorbis よりもさらに高音質な音声非可逆圧縮コーデック。低遅延ながら低ビットレートから高ビットレートまで高い音質であり、音声通信や音楽の圧縮に利用できる。
Vorbis - 音声非可逆圧縮コーデックのひとつ。主にOggコンテナに格納される。MP3よりも(体感の音質に対する)圧縮効率がよい。
Windows Media Audio(WMA) - マイクロソフトが権利を保有する非可逆圧縮コーデック・ファイルフォーマット。デジタル著作権管理機能が含まれている。
可逆圧縮音声フォーマット
TAK - 圧縮率、エンコード・デコード速度、機能面共にバランスの取れた総合的に高い性能を誇る。フリーウェアだがオープンソースではない。
FLAC - エンコード・デコード速度、機能面に高い性能を誇る。圧縮率は低いが最もメジャーなコーデックのひとつ。ファイルフォーマットも兼ねている。
Monkey's Audio(ape) - 可逆圧縮コーデックでありフォーマット。OSSで圧縮率、エンコード速度に高い性能を誇るが、Windows以外のOSに公式非対応という欠点がある。デコード速度は遅い。
TTA - 平均的にバランスの取れた性能。
WavPack - 平均的にバランスの取れた性能。非可逆ファイルと差分ファイルを生成することで、非可逆音声と可逆音声の両方として扱うことのできる、ハイブリッドモードがある。PDM方式の音声データの圧縮にも対応する。
LA - 圧縮率に高い性能を誇る。エンコード・デコード速度、機能面共に低い性能。
mp3HD - MP3 可逆圧縮コーデックでありフォーマット。MP3によって非可逆圧縮されたデータに、可逆圧縮されたデータを添加したもの(ハイブリッド)。MP3のみの再生機でも(非可逆圧縮部分を参照することで)再生可能だが、非可逆圧縮相当の音質となる。
MPEG-4 ALS - MPEG-4 可逆圧縮コーデック、圧縮率、エンコード速度に高い性能を誇り、柔軟性が高い。
MPEG-4 SLS - MPEG-4 可逆圧縮コーデック、AAC 再生機でも再生可能(ただし AAC 音質)
Apple Lossless(ALAC) - Appleの開発した可逆圧縮コーデック。後にオープンソース化された。
ATRAC Advanced Lossless(AAL) - ソニーの開発した可逆圧縮コーデック
WMA Lossless - マイクロソフトの開発した可逆圧縮コーデック
パテント別分類
フリーかつオープンなコーデック・フォーマット
WAV、FLAC、AIFF、ALAC
Matroska Audio - フリーでオープンソースな汎用コンテナフォーマットであり、各種コーデックをサポートしている。
Ogg - フリーでオープンソースな汎用コンテナフォーマットであり、各種コーデックをサポートしている。