韓国瑜
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

大学卒業後は省立花蓮師範学院世新学院中国文化大学などで教鞭を執っており、中国時報の撰述委員を務めたが[4][8][9]、1990年代に台北県議(現在の新北市議会議員)を経て[8]立法委員を3期務めた[10]。その後は短期間の中和市副市長(現・新北市中和区副区長)を経て[11]、在野で台北農産運銷公司(中国語版)(台北市青果市場)の総経理を務めたり[12]雲林県でヴィクトリア・アカデミー財団法人(中国語版)を設立する程度で[13]、政治への関りは薄かった。
立法委員時代
陳水扁暴行事件

1993年5月5日、立法院国防委員会の退役軍人関連予算の審査中、民進党陳水扁が「大陸栄胞センター」(「大陸栄胞」は中国で国共内戦を戦った退役軍人を指す)の予算質疑において、同センターの職員数が収容者のわずか4分の1であるにもかかわらず、職員の人件費は収容者の生活費の1.51倍であると指摘した上で、「栄胞を養豚の豚と見なしている」と発言した。この発言を「栄胞」に対する侮辱と誤解した韓国瑜は激怒し、陳水扁の机をひっくり返し、さらに頭部を殴打した[14][15]。陳水扁はこの負傷により3日間入院し、翌日に民進党が国民党に対して謝罪を要求する[16]と、翌々日には立法院の外で双方の支持者が衝突する事態にまで発展した[17][18]
台湾第四原子力発電所

1994年7月、台湾第四原子力発電所の建設をめぐり、反核団体が建設支持派の韓国瑜、洪秀柱、林志嘉らのリコールを請求した[19][20]。9月には5万人を超える署名が集まり、リコールの可否を決定する住民投票が行われることになった[21]

与党の国民党は署名活動期間中に公職人員選挙罷免法を改正し、「リコール投票はその他の選挙と同時に行うことはできない」と新たな規定を作り、さらにリコールの成立要件を「有権者の3分の1以上の有効投票および賛成票が反対票を上回ること」から「有権者の2分の1以上の有効投票および賛成票が過半数であること」へと改定した。

この法改正により、韓国瑜らに対するリコール投票は同年12月3日の省市長・省市議員選挙と同時には行われず、11月27日に単体で行われることになった。投票の結果、投票率はわずか21%にとどまり、リコール案は否決された[21]

(台湾第四原子力発電所の建設経緯については台湾第四原子力発電所#第四原発をめぐる台湾の歴史年表を参照)
2017年中国国民党主席選挙

2017年1月12日、党の財務情報の公開や組織機構のスリム化を掲げて国民党の主席選挙への立候補を表明した[22]。3月6日、両岸関係について、中華民国憲法を改正して「一国(中華民国)二地区(台湾地区・大陸地区)」を明文化すべきだと主張した[23]。4月10日の政見発表会では「現在の国民党の立法委員は公務員のようになってしまっている」、「長期連任が後進の道を阻んでいる」と党内批判を展開したが、具体的な方策は示さず、腹案があると述べるにとどまった[24]。また台湾の将来発展については「国防は米国に頼り、科学技術は日本に頼り、市場は中国大陸に頼り、努力は自分自身に頼る」と述べた[25]。5月20日、投票の結果、得票率5.84%で落選した[26]
2018年中華民国統一地方選挙

2018年中華民国統一地方選挙では高雄市長の国民党公認候補となった。選挙期間中はディズニーランドの誘致や太平島での石油採掘、高雄の人口を277万人から500万人に増やすことなどを公約に掲げたほか、南部出身ながらも就業機会に乏しい地元を去り、台北などの北部に流れた「北漂」と呼ばれる青年たちを呼び戻すと訴えた[27][28][29][注釈 1]。当初は泡沫候補とみられていたが[31]、国政での蔡政権への失望感も取り込んで瞬く間に支持を伸ばし[32]民主進歩党の地盤ともいえる高雄市で20年ぶりに国民党系市長となった。その勢いは姓をもじって「韓流」と呼ばれ[33]、2018年の台湾におけるGoogle検索ランキングでも8位となった[34]馬英九ら旧来の国民党主流派と一線を画する反エリート主義的なポピュリストと評される[35]

選挙期間中には「1本のミネラルウォーター、1杯の滷肉飯」をスローガンの1つに掲げ、庶民性をアピールしていたが[36]、2019年4月29日の質疑において選挙運動に関わる政治資金収支を公開し、総収入が1億2,919万779ニュー台湾ドル、総支出が1億1,408万7,536ニュー台湾ドルであったことが明らかになった[37]。同年8月14日に監査院が公開した統一地方選挙における各候補者の政治資金収支により、これらの金額が対立候補であった民進党の陳其邁の同収支の約2倍に相当すること、さらに新北・台北・桃園・台中・台南・高雄の6大直轄市(六都)の当選者の中でも2番目に高額であったことが判明した[38]

2019年6月5日、台湾のテレビ局を監督する国家通訊伝播委員会(NCC)が統一地方選挙の投票日前の2週間(2018年11月10日から23日まで)、主要11局を対象に行った調査の結果を発表した。調査の結果、中国寄りの報道が多いと言われている旺旺グループの中国電視中天電視の2局が期間中に放送したニュースにおいて、本数と放送時間のいずれにおいても5割以上を韓国瑜の話題が占めていたことが判明し、NCCは各テレビ局に対し「政党や選挙区にかかわらず候補者を公平に扱うことを求める」と勧告した[39]。なお、中天電視は同年3月にも「特定の人物(韓国瑜)に関する報道の比率が過度に高く、公平の原則に反する」としてNCCから100万ニュー台湾ドルの罰金を課されている[40]。こうした偏向報道に対する不信感を背景に、同年6月23日、台北市で親中メディアに反対する大規模なデモが行われたが[41]、韓国瑜は「多くのメディアが私にとって不公平な報道をしているのに、デモ参加者たちはなぜその問題を取り上げないのか」と不満を示し、「少しも当を得ていない」と批判した[42]。(デモの詳細については「拒絶紅色メディア、守護台湾民主」デモ(中国語版)を参照)
高雄市長就任詳細は「:zh:韓國瑜市府」を参照
両岸関係
中台平和協定に対する態度

2019年2月22日、海外メディアと会見し、12日に国民党の呉敦義主席が「2020年の総統選で国民党が政権復帰した場合、中華人民共和国と平和協定の協議を行う」と述べたこと[43]について、「大多数の台湾人は現状では統一を受け入れられない」と自身の見解を示した一方で、「平和協定は両岸関係の最終発展型であり、時がたつにつれ避けがたくなっている」と述べた[44][45]
国台弁主任らとの会談

2019年3月22日から28日にかけて、香港マカオを含む中国各地を訪問した。蔡英文政権への警戒を強める中国側は、中国の台湾政策を主管する国務院台湾事務弁公室の劉結一主任、中央政府駐香港連絡弁公室の王志民主任、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官、中央政府駐マカオ連絡弁公室の傅自応主任らが会談に応じたほか[46][47]、4年間で計52億ニュー台湾ドル規模となる農水産物輸出意向書を締結する[48]など、異例の歓待をみせた。

一方台湾では、国台弁、香港中連弁、マカオ中連弁、いずれの会談予定についても事前に公表されていなかったことから、超党派の議員らがこれらの会談を「密会」と批判した[49]。台湾の対中政策を担当する大陸委員会は、国台弁との会談のみ前日の夜に葉匡時副市長を通じて電話で連絡があったことを明かしたが[50][51]、「台湾に戻った後、報告書の提出を求める」とした上で、今回の訪中が政治的な内容に関わるものと判断される場合、両岸関係条例(中国語版)違反で50万ニュー台湾ドルの罰金を課す可能性があると言明した。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:159 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef