韓国瑜
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当初は泡沫候補とみられていたが[31]、国政での蔡政権への失望感も取り込んで瞬く間に支持を伸ばし[32]民主進歩党の地盤ともいえる高雄市で20年ぶりに国民党系市長となった。その勢いは姓をもじって「韓流」と呼ばれ[33]、2018年の台湾におけるGoogle検索ランキングでも8位となった[34]馬英九ら旧来の国民党主流派と一線を画する反エリート主義的なポピュリストと評される[35]

選挙期間中には「1本のミネラルウォーター、1杯の滷肉飯」をスローガンの1つに掲げ、庶民性をアピールしていたが[36]、2019年4月29日の質疑において選挙運動に関わる政治資金収支を公開し、総収入が1億2,919万779ニュー台湾ドル、総支出が1億1,408万7,536ニュー台湾ドルであったことが明らかになった[37]。同年8月14日に監査院が公開した統一地方選挙における各候補者の政治資金収支により、これらの金額が対立候補であった民進党の陳其邁の同収支の約2倍に相当すること、さらに新北・台北・桃園・台中・台南・高雄の6大直轄市(六都)の当選者の中でも2番目に高額であったことが判明した[38]

2019年6月5日、台湾のテレビ局を監督する国家通訊伝播委員会(NCC)が統一地方選挙の投票日前の2週間(2018年11月10日から23日まで)、主要11局を対象に行った調査の結果を発表した。調査の結果、中国寄りの報道が多いと言われている旺旺グループの中国電視中天電視の2局が期間中に放送したニュースにおいて、本数と放送時間のいずれにおいても5割以上を韓国瑜の話題が占めていたことが判明し、NCCは各テレビ局に対し「政党や選挙区にかかわらず候補者を公平に扱うことを求める」と勧告した[39]。なお、中天電視は同年3月にも「特定の人物(韓国瑜)に関する報道の比率が過度に高く、公平の原則に反する」としてNCCから100万ニュー台湾ドルの罰金を課されている[40]。こうした偏向報道に対する不信感を背景に、同年6月23日、台北市で親中メディアに反対する大規模なデモが行われたが[41]、韓国瑜は「多くのメディアが私にとって不公平な報道をしているのに、デモ参加者たちはなぜその問題を取り上げないのか」と不満を示し、「少しも当を得ていない」と批判した[42]。(デモの詳細については「拒絶紅色メディア、守護台湾民主」デモ(中国語版)を参照)
高雄市長就任詳細は「:zh:韓國瑜市府」を参照
両岸関係
中台平和協定に対する態度

2019年2月22日、海外メディアと会見し、12日に国民党の呉敦義主席が「2020年の総統選で国民党が政権復帰した場合、中華人民共和国と平和協定の協議を行う」と述べたこと[43]について、「大多数の台湾人は現状では統一を受け入れられない」と自身の見解を示した一方で、「平和協定は両岸関係の最終発展型であり、時がたつにつれ避けがたくなっている」と述べた[44][45]
国台弁主任らとの会談

2019年3月22日から28日にかけて、香港マカオを含む中国各地を訪問した。蔡英文政権への警戒を強める中国側は、中国の台湾政策を主管する国務院台湾事務弁公室の劉結一主任、中央政府駐香港連絡弁公室の王志民主任、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港行政長官、中央政府駐マカオ連絡弁公室の傅自応主任らが会談に応じたほか[46][47]、4年間で計52億ニュー台湾ドル規模となる農水産物輸出意向書を締結する[48]など、異例の歓待をみせた。

一方台湾では、国台弁、香港中連弁、マカオ中連弁、いずれの会談予定についても事前に公表されていなかったことから、超党派の議員らがこれらの会談を「密会」と批判した[49]。台湾の対中政策を担当する大陸委員会は、国台弁との会談のみ前日の夜に葉匡時副市長を通じて電話で連絡があったことを明かしたが[50][51]、「台湾に戻った後、報告書の提出を求める」とした上で、今回の訪中が政治的な内容に関わるものと判断される場合、両岸関係条例(中国語版)違反で50万ニュー台湾ドルの罰金を課す可能性があると言明した。これに対し、韓国瑜は訪問先のアモイでの記者会見で「(大陸委は)頭がおかしくなったのか?」と述べ、輸出意向書締結の成果を強調した[52]

国台弁での会談で韓国瑜は「九二共識を強く支持する」と表明し、劉主任は「台湾同胞と団結し、台湾独立に反対する」と応じた[46]。会談の内容は冒頭部分しか公開されていないが、国台弁の運営する「中国台湾網」が「(今回の訪中で)韓国瑜は一国二制度の成功を目の当たりにした」といった旨の内容を報じたこと[53][54][55]、また上述のように大陸委が両岸条例違反の可能性について言及していたことなどから、高雄市議会では韓国瑜に対して「会談中に一国二制度について言及したか」、「一国二制度を支持するか」などと追及された。これに対し、韓国瑜は「政治の話はしなかった」、「中華民国を支持する。一国二制度には反対だ」と回答した[56]
香港の反送中デモに対する態度

2019年6月9日、高雄市内で端午節のイベントに出席した後、同日に香港で発生した2019年香港民主化デモ(反送中デモ)に対する見解を求められ、「よく知らない」と答えたことで批判を浴びた[57][58][59]。11日、この件について「(イベント中に)初めてドラゴンボートを漕いだ上に、20分間太鼓を叩き続けていたため、ずっとめまいがしていてあのような回答になった」と釈明し、「基本的なことは知っているが、詳しいことは分からない」、「全容が分かってから説明した方がいい」と述べた[59]

7月の世論調査では現職の蔡英文の支持率がこのデモの影響で韓国瑜ら国民党候補を初めて逆転した[60]

8月5日、香港で二度目の「三罷」(出勤・登校・商業のストライキ)が呼びかけられたことについて、「香港の民主制度を支持する」と言明した上で、「このような動乱が続けば香港だけでなく台湾も重大な損失を負うことになる」と述べた[61]。一方、反送中デモに賛同する民進党、時代力量の議員は「動乱」という表現が用いられたことに反発した[62]。時代力量の黄捷(中国語版)は韓国瑜が市長選の際に「当選したら政治に意識が及ぶような集会やデモを禁止する」と発言していたことに言及し、「一貫して反民主的で、戒厳令時代へ退行しようとしている」と批判した[63]

反送中デモとも関連した王立強事件では王立強は「2018年に民進党を攻撃するためのネット企業に資金を提供し、20万以上のネットアカウントを作成して韓国瑜のファングループを立ち上げたり、学生グループなどを組織した。」と主張し、2020年総統選挙にも影響を与えた[64]。(詳細は中国による浸透工作)
自由貿易経済特区条例草案の支持

2019年3月18日、国民党が立法院に提出した「自由貿易経済特区条例」草案を支持する声明を他の国民党系県市長と共同で発表した[65]。同条例が規定する「自由貿易経済特区」は中国製品の加工貿易などが念頭に置かれており、「中国製品の産地偽装を幇助するものだ」、「国内産業と連結しておらず、国際競争力を高めることはできない」といった批判が出た[66][67][68]。5月6日、蔡英文総統は自身のFacebook上で「台湾製品と中国製品の境界を曖昧にすることはできない」と牽制し、さらに7日には記者団に対し「自由貿易経済特区の概念が公平な貿易であるか否か、国際社会ではすでに検証が始まっている。自由貿易経済特区を有する多くの国がOECDの検証を受けている。国際社会における趨勢では決してない」と見解を述べた[69]
高雄ライトレール事業の差し止め

高雄ライトレールの2期事業を差し止めている[70]高雄市政府捷運工程局の局長人事は韓により元台北市政府捷運工程局出身者に代わり、差し止め区間を別ルートあるいはよりコストと工期のかかる高架式あるいは地下式を提唱しているため、問題が長期化している[71]
各種施設やイベントの誘致

競馬場[72]ディズニーランド[73]早稲田大学高等部分校[74]フォーミュラ1[75]Pokemon GOのイベント[76]北京ダック料理選手権[77]など、高雄への各種施設やイベント誘致を表明しているが、いずれも実現には至っていない。


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