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考古学者らは靴を履くことにより骨の成長が阻害され、爪先が短くて細くなる要因になったものと考えている[13]。初期の靴は非常にシンプルで、石や破片や寒さから足を守るための革でできた足用の袋に過ぎなかった。

北米の先住民の多くはモカシンと呼ばれる靴を履いていた。これらは柔らかい靴底のぴったりとした靴で、主にバイソンの革で作られていた。モカシンの多くはビーズなどにより装飾が施された。モカシンには防水性がなく、雨の日や暑い季節にはネイティブアメリカンの多くが裸足で行動していた[14]

文明の発達と共に初期の紐サンダルが現れた。この習慣は紀元前4000年頃の古代エジプトの壁画に遡ることができる。パピルスで作られた紐サンダルがヨーロッパで発見されており、放射性炭素年代測定により1500年前に作られたものと見られている。またエルサレムでも1世紀頃に履いていた[15]。紐サンダルは様々な文明で様々な材料により作られた。古代エジプトではパピルスやヤシの木の葉でサンダルを作った。アフリカのマサイ族は生皮(英語版)で制作した。インドでは木で制作した。中国や日本では藁で作られた。南米ではサイザルアサの葉で作られ、メキシコの先住民はユッカの葉で作った[16][17]

日本では、正倉院御物として、奈良時代の室内用靴「繍線鞋」(ぬいのせんがい)が現存している[18]

紐サンダルが広く普及していた時代、古代エジプト人ヒンドゥー教徒古代ギリシア人らは履物を必要とすることがあまりなく、ほとんどの場合において裸足が好まれた。一部の古代エジプト人やヒンドゥー教徒は、今日ではクレオパトラの俗称で知られる、底がなく足の保護に全くならないような装飾用の履物を使用した。古代ギリシャ人は履物を、甘えであり、格好悪く、不必要なものと考えていた。靴は主に劇場で役者が伸長を高く見せるために使われ、一般人の多くは裸足を好んだ[19]古代オリンピックでは選手らは裸足に全裸の姿で参加した[20]神々や勇者らは主に裸足で描写され、重装歩兵は裸足で戦い、アレクサンドロス大王は裸足の兵士を従えて巨大な帝国を作り上げた。古代ギリシャのマラソンランナーは裸足で走ったと考えれている。世界で最初のマラソンランナーであるピリッピデス(英語版)はアテネからスパルタまで36時間弱で走破した[21]。マラトンでの戦いに勝利したニュースを伝えるためにアテネまでまっすぐ走った[22]ローマ兵士の履物(復元)

ギリシャを制覇したローマは様々な文化を吸収したが、ギリシャの靴や衣服は吸収しなかった。ローマの服は力の象徴であり、奴隷や貧民は裸足で生活していたが、履物は市民の必需品と考えられていた[19]。ローマ兵士にはchiral(英語版)と呼ばれる左右の形が同じではない靴が支給された[23]聖書には靴への言及がある[24]
中世から近代まで

中世のピレネー山脈ではエスパドリーユがカジュアルな靴として一般に使われた。これは黄麻で編んだ靴底に布製のアッパーを被せたもので、足首を縛る布製の紐が付いていることが多かった。この名前はフランス語のエスパート(英語版)草から来ている。この靴は13世紀初頭にスペインカタルーニャ地方から広まり、この地区の農村で農民が主に着用していた[17]ダッチ・パターン(1465年頃)。ベルギーオーステンデ近くにあるWalraversijde(英語版)遺跡から発掘された

中世に作られた靴の多くは、革の内側を外に向けたアッパーを底に繋ぎ、端を縫って接続する回転靴(英語版)製法で制作された。一部の靴は足の周りの革を絞めつけてうまくフィットさせるためにトグルのフラップやドローストリング(英語版)を付ける形で制作された。現存する中世の靴の多くは左右対称で足にしっかりフィットする形になっていた[25]。1500年頃になると回転靴製法は、固い靴底へ縫い付けてアッパーが裏返らなくなったウェルテッド・ランド製法に置き換わった[26]。回転靴製法は現代でもダンス用など一部の特殊な靴に使われている。

15世紀になるとヨーロッパではパッテン(英語版)が男女の間で流行した。これは現代のハイヒールの祖先[27]と見られている。一方で貧民や下級市民、新天地から連れてきた奴隷などは裸足だった[19]。15世紀中頃のヨーロッパでクラコー(英語版)が流行した。この名前はポーランドの首都クラクフが起源だと考えられていたために付けられた。polaineと呼ばれる長い爪先があるのが特徴で、クジラのヒゲで支えられ、歩くのに邪魔になるため膝に結び付けていたとの説もある[28]。また15世紀のトルコで18?20cm程の高さのショパン(英語版)が作られた。これらの靴はヴェネツィアをはじめとするヨーロッパ中で富や権力を示すステータスシンボルとして人気が高まった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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