革新
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1970年代後半には、国政レベルでは、社会党の全野党共闘論と、共産党のとりあえず一致できる点での共闘という社共共闘先行論との対立があり、国政選挙での選挙協力は参議院選挙における沖縄県選挙区のケースを除いてはほとんど成立しなかった(1977年の参院選での宮城県選挙区のケースがある)。また、地方政治においても、いままでの革新自治体が政策の基盤にしていた福祉の充実による民政安定が、高度経済成長の失速による自治体への税収の不安定化のために、財政的な裏づけが困難になり、いくつかの自治体では財政破綻につながる状況になったことで、革新自治体の継続が困難になっていった。さらに、1980年1月の、社会党と公明党との間で締結された政権合意(社公合意)に、日本共産党は政権協議の対象としない、と明確に位置づけられたことで、それまでの革新路線は政党間の政策課題としては終結した。

こうした経緯の上に、朝日新聞を筆頭とする毎日新聞中日新聞などのリベラル系マスメディアは、左翼・左派勢力を「革新」と呼び換えて使用していた(一部ではなお使用している)。逆に、産経新聞などの保守系マスメディアは「革新」よりむしろ「左翼」を用い、その対立陣営を「右翼」「右派」ではなく「保守」と称する傾向にあった。
冷戦後から現在

1989年冷戦が終わり、1991年限りでソ連が崩壊すると、冷戦体制であった55年体制1993年8月9日に崩壊(細川内閣の成立)。1993年以降は、革新勢力が衰え、小政党が離合集散を繰り返し、新たに自民党の対抗政党として伸張してきた民主党やその後継である民進党は、一概に保守とも革新とも分別できない混成勢力であった。過去数十年の経緯の延長上になお社会民主党や共産党(また沖縄社会大衆党)を「革新」と呼ぶ習慣はメディア上に見られる。

2014年に結成された維新の党2016年に結成された日本維新の会は、英語名をそのまま訳すと「日本革新党」とも訳せるが、伝統的な政治学に言う「革新」の立場ではない。ただし、2012年結成の日本維新の会は、英語名にも革新を意味する英単語を含まない。

2017年に民進党を離党した議員の一部にて結成された立憲民主党は、産経新聞には革新勢力の系譜を継ぐとの主張が[4]毎日新聞には革新系の前職らが集まったとの記載が[5]、韓国紙「東亜日報」(電子版)には「進歩(革新)的性向の立憲民主党」との記載が[6]される他、報道各社からリベラル[7][8]ともされている。代表の枝野幸男は、自身の政治的立場を保守でありリベラルである[9]と説明している。

その後、2020年に国民民主党の大半と立憲民主党が合流する形で新立憲民主党が結党された[10]。旧国民出身者には保守派が多く、左派・リベラル系の党内グループより中道・保守系の党内グループに所属する議員が多いとされるものの[11]、党内で最大規模を誇る近藤Gは左派・リベラル色が強く[12][13][14]、初代代表の枝野が同派顧問を務め、海江田万里衆議院副議長らも所属している。

なお、現在も反米や日米安保条約の解消と、大企業への規制の強化を主張する勢力は、その後も自らを革新と位置づけている。そうした団体の一つに、「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)」がある。
批判

ナチズム(国家社会主義)とスターリニズム(共産主義)は革新の双生児という見方があり、思想家吉本隆明は「人類の教師のようなことを言いながら裏で農民を虐殺するなど、良いことをいって悪いことをやったスターリンの方が、ユダヤ人を絶滅させなくちゃならん、と悪いことをいって悪いことをやったヒトラーよりも悪い」と述べている[3] [要ページ番号]。
脚注[脚注の使い方]
出典^ “progressive とは 意味・読み方・表現 。Weblio英和辞書”. ejje.weblio.jp. 2021年1月9日閲覧。
^ 西田毅、「右翼」 - 日本大百科全書(ニッポニカ)、小学館。
^ a b 「私の『戦争論』」(吉本隆明ぶんか社1999年
^ “【主張】枝野氏ら新党 左派分離はわかりやすい”. 産経新聞. (2017年10月3日). https://www.sankei.com/article/20171003-OZN2I5G7M5KVTK2WWACQGRUFBQ/ 2017年10月29日閲覧。 
^ “えらぼーと解析:自民は支持者との一致度68%に 初公開”. 毎日新聞. (2017年10月18日). https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171019/k00/00m/010/052000c 2017年10月30日閲覧。 
^“海外メディア「安倍首相の与党大勝へ」相次ぎ速報”. 朝日新聞. (2017年10月22日). ⇒http://www.asahi.com/articles/ASKBQ4TYVKBQUHBI00H.html 2017年10月30日閲覧。 
^“枝野氏が「立憲民主党」 民進分裂 リベラル系結集”. 東京新聞. (2017年10月3日). ⇒http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017100302000120.html 2017年10月30日閲覧。 
^ “「永田町の政治変える」躍進の立憲民主党”. 産経新聞. (2017年10月23日). https://www.sankei.com/article/20171023-6IPBZFQBOFLG7GLHXDCBYBAYUI/ 2017年10月30日閲覧。 
^ “立憲・枝野代表「私は保守」「30年前なら自民党宏池会ですよ」”. スポーツ報知. (2017年10月24日). https://web.archive.org/web/20171024070706/http://www.hochi.co.jp/topics/20171024-OHT1T50058.html 2017年10月29日閲覧。 
^ “新「立憲民主党」誰が参加? 150人の名簿を掲載”. NHK. (2020年9月16日). https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/44779.html 2022年10月30日閲覧。 
^ 立憲、リベラル色後退 赤松氏引退、旧国民合流で:時事ドットコム - ウェイバックマシン(2021年1月2日アーカイブ分)
^ “立憲、主導権争い激化 各グループ相次ぎ会合”. 毎日新聞. https://mainichi.jp/articles/20211106/ddm/005/010/086000c 2021年11月17日閲覧。 
^ “立憲民主党代表選、選挙のしくみと「党内グループ」のまとめ”. Yahooニュース. https://news.yahoo.co.jp/byline/oohamazakitakuma/20211118-00268495 2021年11月17日閲覧。 
^ “中道路線の泉健太氏・リベラル系の逢坂誠二氏を軸に展開か…立民代表選で2氏出馬表明”. 読売新聞. (2021年11月16日). https://www.yomiuri.co.jp/politics/20211116-OYT1T50210/ 2021年11月17日閲覧。 

関連項目

改革

革命

革新自治体

革新政党

革新統一

左翼

新機軸










政治思想
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古典的自由主義

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個人主義

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