自覚症状はほとんどない。検査で発覚することがほとんどである。
検査
生化学検査
ASTとALTが軽度上昇する(50-150程度)。AST/ALT比は1.0以下。
フェリチンが上昇することがある。
ヒアルロン酸は繊維化に従い、増加する。
CT
肝生検
肝細胞への脂肪沈着、中心静脈周囲の細胞の線維化、肝細胞周囲性線維化など。
鑑別診断のため抗ミトコンドリア抗体
アルコール性肝障害との鑑別が最も重要となる。アルコール性肝障害ではAST/ALT比が1.0以上となることと、問診によってアルコール摂取量を把握することで鑑別する。肝線維化の進行度合いが予後に大きく影響するため「小葉内炎症」「風船様変性細胞」の程度が重要視される[11][12]。 観察者の判断差異や施設間差異の低減のため、下記表によるスコアリングによる病理診断(NAS: NAFLD Activity Score)が行われることがある[11]。 NAS (NAFLD Activity Score)項目程度点数 さらに、下記 Younossiの診断基準を併用することがある[11]。 以上 1.または 2.を満たす場合NASHと定義する。 食生活の改善と運動療法が基本。肝臓病に対する薬が投与されることもある。 ピオグリタゾンとビタミンEはNASHの改善に有用であるとの報告がある[13][14]。5%の体重減少でもNASHの改善がみられるが、減量幅は多いほど良いとの報告がある[15][16]。 肝炎から肝硬変、肝細胞癌へと進展することがあるため、肝機能を検査して常に確認しておくことが肝要である。 中年以降の女性に好発する[17]。一般人口の罹患率はアメリカで2 - 3%と推定されており、日本においても同程度存在すると考えられている[17]。
診断基準
肝脂肪化5%未満0点
5?33%1点
33?66%2点
66%以上3点
小葉内炎症病巣なし0点
200倍の視野で2箇所の病巣以下1点
200倍の視野で2?4箇所の病巣2点
200倍の視野で4箇所以上の病巣3点
肝細胞の風船様変化なし0点
少数の風船様変性細胞1点
多数の風船様変性細胞2点
診断合計
脂肪肝 (NAFL)0?2点
境界型 NASH3?4点
非アルコール性脂肪肝炎 NASH0?8点
肝細胞の脂肪化(程度は問わない)に加え小葉中心性の肝細胞の風船様変性(centrilobular ballooning)やMallory-Denk体を認めるもの。
肝細胞の脂肪化に加え小葉中心性の細胞周囲/類洞周囲(pericellular/perisinusoidal)の線維化または架橋形成(bridging fibrosis)を認めるもの。
治療
予後
疫学
診療科
消化器内科
歴史
1979年、アドラーらが肥満患者にアルコール肝障害に類似した症例が見られることを報告。
1980年、ルドウィッヒらが飲酒歴がないにもかかわらずアルコール性肝障害に類似した症例が見られる疾患を非アルコール性脂肪性肝炎と命名[12]。
脚注[脚注の使い方]^ “Nonalcoholic fatty liver disease: an underrecognized cause of cryptogenic cirrhosis”. JAMA 289 (22): 3000?4. (2003). doi:10.1001/jama.289.22.3000
^ a b NAFLD/NASH
^ 丸山剛、鈴木康裕、石川公久 ほか、非アルコール性脂肪性肝疾患に対するハイブリッド訓練法によるインスリン分泌能について