震度
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日本の気象庁震度階級は、現在では機械による計測値、いわゆる「計測震度」を使用しており[注釈 1]、デジタル震度計が観測した計測値を10段階に換算して気象庁が発表している。また、気象庁は地震や津波の早期周知のため、地震発生数分以内に報道機関などに震度を含めた地震情報を発表している。震度3以上の場合は都道府県を数個に区切った地域ごとの震度、そののちに地点ごとの震度という形で段階的に詳細な情報が発表される。大規模な地震では、その後にデータを詳細に分析するなどして、推計震度分布図も作成される。1996年9月までは、気象台の職員が、体感や被害などから判定していた[5]2013年、気象庁震度階級とは別に長周期地震動に関する4段階の「長周期地震動階級」を設定し、同年11月から試行的に「長周期地震動に関する観測情報」として運用を始め、2019年3月より本運用に移行した。
ロッシ・フォレル震度階
ロッシ・フォレル震度階は、1873年ごろに出てきた地震の強さをIからXの10階級に分類した震度階級である。Xの適用範囲が広すぎること、ヨーロッパの生活を基にした基準であり、メルカリ震度階が出てきたこともあり、次第に使用されなくなった。
改正メルカリ震度階
メルカリ震度階はロッシ・フォレル震度階から発展したもので、1902年ごろに出てきた13階級からなる震度階級表である[6]。後に何度か修正が重ねられ、メルカリ・カンカーニ・シーベルグ震度階が提案され、1931年にはメルカリ・ウッド・ニューマン震度階となり、現在ではIからXIIの12階級からなる改正メルカリ震度階となった。アメリカ[注釈 2]韓国などの国で使われている。
メドヴェーデフ・シュポンホイアー・カルニク震度階級
メドヴェーデフ・シュポンホイアー・カルニク震度階級は、ヨーロッパでは日本の気象庁震度階級とも改正メルカリ震度階とも異なる別のものを使用している国があり、国際間の情報交換に都合が悪かったことから、国際的に統一した震度階級として提案されたIからXIIの12階級からなる階級表である。1964年の会議の議題となったが結局見送りとなり国際的な統一とはならなかった[7]CIS諸国、東ヨーロッパ諸国、イスラエルインドなどで使われている。
ヨーロッパ震度階
ヨーロッパ震度階は、ヨーロッパ地震学委員会によって1988年ごろに提案され、ヨーロッパ各国で使用される1から12までの12階級からなる震度階級表である。
中国震度階級
中国震度階級は、1980年ごろに出てきた中華人民共和国で使われるIからXIIの12階級からなる震度階級表である。1999年改正。
中央気象署震度階級
中央気象署震度階級は、台湾中央気象署2000年に制定した、1996年9月30日以前の旧気象庁震度階級を参考にした0から7の8段階の震度階級であった[8]2020年1月1日より従来の5級(強震)と6級(烈震)を、5弱、5強、6弱、6強に細分し、気象庁震度階級を参考にした0から7の10段階の震度階級に変更した[9]
統計上の連続性の問題

震度階級の定義は何度か改定されている場合が多く、研究資料として用いる場合の連続性が問題となる場合がある。気象庁震度階級を例にとれば、計測震度が導入された1996年10月1日の改正前後で大きな差がある。また、気象庁震度階級は観測点数が1990年代から2000年代にかけて急増し観測密度が高くなったため、震度の統計には補正が必要である。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 現在までの計測の最大は平成28年熊本地震(本震)で熊本県益城町で観測された計測震度6.7の震度7である。
^ アメリカ地質調査所(USGS)も既知の地盤強度データをもとに推計震度分布を発表している。

出典^ 大崎(1983) p.49
^ 武藤(耐震設計1) pp.1 - 2、 ⇒15 耐震設計と今後の課題
^ 大地(1984) p.13
^ 大地(1984) p.15
^ 境有紀、神野達夫、纐纈一起、震度の高低によって地震動の周期帯を変化させた震度算定法の提案 日本建築学会構造系論文集 2004年 69巻 585号 p.71 - 76、doi:10.3130/aijs.69.71_4
^ 大崎(1983) p.48
^ 大崎(1983) pp.48 - 49
^ 地震百問 震度 - 台湾中央気象局
^ China(Taiwan), Ministry of Foreign Affairs, Republic of (2019年12月19日). “中央気象局、地震の揺れの大きさ示す震度階級を改訂” (jp). Taiwan Today. 2020年1月6日閲覧。

参考文献

大崎順彦『地震と建築』岩波書店〈岩波新書〉、1983年。 

大地羊三『耐震計算法入門 付・マイコンによる計算プログラム』鹿島出版会、1984年。 

武藤清『耐震計算法』丸善〈耐震設計シリーズ〉、1963年。 

外部リンク

気象庁 。震度について
(日本語)

表層地盤のゆれやすさ全国マップ(内閣府)(日本語)

社団法人日本地震学会:なゐふる:vol.9 (PDF) (日本語) - (日本における震度の歴史)


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