現在の日本においては電車のほとんどが旅客用であり、貨物を積載する車両は事業用車と一部の貨車に限られている。事業用車については、自動車やモーターカーに転換され数が減りつつある。電動貨車はM250系の一系列のみである。かつては荷物車と郵便車が存在したが、現在はすべて廃止または旅客用に転用されている。1941年、東京都電車は専用車を用意して三原橋 - 下板橋間で配給米の輸送を開始したが、これは戦時にトラックのガソリン使用量を減らすことが目的であり[2]戦後は速やかに解消されている。
日本の旅客輸送では、電化区間では新幹線を始め、都市周辺の通勤路線や地方の在来線に至るまで電車主体の運行であり、非電化路線の気動車とともに動力分散方式が主流となっており、機関車牽引の旅客輸送列車は、全列車が機関車牽引の客車である大井川鐵道井川線及び黒部峡谷鉄道を除き、一部のジョイフルトレイン及びイベント列車などの臨時列車以外にはほとんど見られない。寝台列車(夜行列車)についても客車での定期運転は、2014年に終了している。
都道府県別では唯一徳島県のみ電車列車(電気機関車含む)が過去を遡っても存在しない(かつて「阿波電気軌道」という会社が存在したが、名前に反して非電化のまま国有化されている)。 韓国は電車を使用した地下鉄や高架鉄道などの都市鉄道網が整備されているが、普通鉄道の電化率はや約30%と控えめになっている。北朝鮮は平壌に地下鉄がニ路線存在する。水力発電が使えたことから普通鉄道の電化率が約80%と大変高いが、動力集中方式が主体であり、また電力不足に悩まされている[3]。かつて主体号という電車を開発していたが、詳細は不明である。 中華民国(台湾)と中華人民共和国本土(中国本土)は1990年代以降、電車による都市鉄道路線の開業が相次いだ。高速鉄道(台湾高速鉄道、中華人民共和国の高速鉄道)は日本やドイツなどから技術導入をしたため電車方式が採用されている。台湾国鉄では、長距離列車も含めて電車での運行が主体となり、中国国鉄では高速鉄道の開業とともに電車化が進んだ。香港トラムでは非常に珍しい2階建て路面電車が存在している。 東南アジア諸国では、21世紀に入って各国で電車を使用した地下鉄や高架鉄道などの都市鉄道網の建設ラッシュとなっている。普通鉄道に関しては、都市近郊線も含め主要幹線に非電化区間が多いが、マレーシアのクアラルンプール近郊の電化区間におけるKTMコミューターと、インドネシアのジャカルタ首都圏におけるKRLジャボタベックなどは電車化されている。 ヨーロッパ大陸各国では、長距離や主要路線の列車は機関車の牽引する客車列車が主体だったことから電車の採用例は少なかったが、近郊輸送においては、パリ・ベルリンなどの大都市周辺で日本同様の国鉄近郊電車網が構築されていた。 フランス・ドイツを始めほとんどの国の長距離列車や国際列車は、長らくのあいだ機関車牽引列車か気動車列車が中心だったが、勾配や急カーブの多い路線を有するということで日本と共通するイタリア国鉄では、1930年代半ばより高速電車列車の開発に力を注ぎ、1936年には、世界最初の本格的な長距離高速特急形電車であるETR200を製造した。この電車は流線型をした3両連接構造で、台車装荷の電動機(いわゆるカルダン駆動)を持ち、最高運転速度は160km/hだったが、1939年の高速度試験運転では203km/hの速度を出している。この電車の成功により、1953年には高名なETR300セッテベロ、1960年にはETR250アレッチーノが製造された。
アジア
ヨーロッパ地下鉄の一例 (ロンドン地下鉄)高速鉄道の一例 (ICE)