一般的には前記の「標準電波を受信し時刻を合わせる時計」が狭義での「電波時計」ではあるが、「標準電波以外の各種電波により時刻情報の伝達を受けて時刻校正を行うもの」も広義での電波時計といえる。以下にその例を示す。
GPS受信機、カーナビゲーション、GPS腕時計など衛星電波利用の時計 - GPS衛星より送信される時刻情報を利用。時分秒の校正および日付曜日の校正もできる。腕時計でもこの技術が使われており、2014年現在、シチズン・セイコー・カシオから「標準電波ではなくGPS衛星からの電波を受信することで正確な時刻を刻むGPS腕時計」が発売されている。この方式によると、標準電波の届かない地域(陸上・海上・上空)や標準電波自体のない国の中でも、時計の時刻校正が可能である。2014年8月現在、最先発であったシチズンはGPSの時刻情報のみを使用している。捕捉する衛星は1基であるため位置情報が取得できず、タイムゾーンをまたいでの使用時はマニュアルによるエリア設定が必要。しかし、測位を行わないために受信に掛かる時間は短い。後発のセイコーは4基の衛星の捕捉を必要とするが、位置情報も取得できるためエリア設定が不要。現時点では最後発のカシオはタイムゾーンをまたいだ時にタイムゾーン設定のためのGPS信号受信を行う必要があり、その時は4基から受信、以降は1基から時刻情報のみとなっている。
携帯電話各社の携帯電話機 - 基地局からの制御信号に時刻情報(時分秒、日付曜日)が重畳されており、この情報を取得して時刻校正を行う。
NTTドコモのFLEX-TD方式クイックキャストの時計 - 呼び出し用の電波に時刻情報(時分秒、日付曜日)が重畳されている。
国内のテレビやラジオ放送の時報やデータ放送電波を用いたもの - テレビ放送がアナログ放送だった時代、テレビ放送の時報やテレビのデータ放送電波に重畳されていた時刻情報を用いて家庭用ビデオテープレコーダ等に組み込まれた時計を校正していた。家庭やオフィスで使用できる壁掛け時計でも、1960年代前半にはセイコー等からラジオの時報を受信し時刻補正するものが発売されている。一般に、時報を用いたものは、日に数回程度正時の時報と同時に時計の長針と秒針を12時の位置に合わせる、あるいは正時の時報と同時にデジタル時計表示の分秒部分を時とは無関係に00分00秒と表示させる正時時刻校正機能のみを有し、時・日付曜日の校正はできなかった。一方、データ放送電波を利用したものは、日に数回程度時分秒、日付曜日の校正をしていた[注釈 1]。ラジオ放送の時報を用いたものは、例えば、現行の長波帯のJJYが運用される前に親子時計等のオプションとして存在した。ただし、正時時刻校正機能しか持たなかったため、一度は手動で時刻を合わせなければならない。リズム時計工業よりJJYとAMラジオの時報の両方を受信できる時計が発売されている。このほか、公園に設置されている屋外時計にも、例えばNHKのラジオFM放送の時報で日に1回程度正時時刻校正するものがある。
BSデジタルテレビや地上デジタルテレビなどのデジタル放送テレビでは、放送波の中にTOT(Time Offset Table)として現在時刻(時分秒)と日付曜日情報が織り込まれている。2011年7月25日以降は、このTOTを使ってテレビやビデオレコーダーなどに組み込まれている時計の時刻校正が行われている。
見えるラジオの時計 - FMラジオの文字多重データに時刻情報が重畳されている。専用受信機のみ対応。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 例えば、NHK教育テレビのアナログ放送内で正午に流される時報音を検知して時刻を校正するタイプでは、国内の大半の地域で地上アナログテレビ放送が終了した2011年7月24日以降は自動時刻修正機能が働かなくなった。アナログ時代でも、一部番組が正午を跨いで放送されていた期間(例えば選抜高等学校野球大会・全国高等学校野球選手権大会実況放送の実施期間中)はテレビで時報そのものが流れなかったので、この期間中は一時的に時刻修正機能が停止していた。
出典^ “ ⇒電波時計が復旧 福島から送信再開”. 日本経済新聞 (2011年4月21日). 2016年10月5日閲覧。
^ “通常時(毎時15分、45分以外)のタイムコード
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