電気通信設備工事担任者
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総合デジタル通信とはISDN回線のことでありアナログ通信又は総合通信の資格が必要である。

第一級アナログ通信及び第一級デジタル通信の両者を保有する者(みなし旧資格を含む)は、総合通信を申請のみで取得できる。

工事担任者を要する工事

公衆電気通信法の下では、前述の「公衆回線」とは電電公社の電話回線であり、「自営設備」とは電電公社のものでない設備のことであった。電電公社からのレンタル品である黒電話以外の電話機を電話回線につなぐことにも工事担任者が必要であった。これらはローゼットを介しまたは直接電話回線に接続されるので、通信品質を低下させないために送出レベル等の調整が必要だったからである。

電気通信事業法の施行後は、屋内配線も工事担任者であれば工事を行えるようになった。

現実には公衆網IP網と利用者側設備の接続以外にも、障害発生時の対応、回線試験、復旧工事など、様々な作業に必要となっているため、総務省では工事の発注者が有資格者による工事であるかを確認するように通達を出している[5]

一般的には第二級アナログ通信の資格があれば電話工事において、屋外からの引込口から宅内のモジュラージャックまでの工事を行うことができる。新築やリフォーム工事など電気工事と並行して行うことが多いため、電気工事士と共に需要が多い。規模の大きな事務所などでは内線電話の数が多いので第一級アナログ通信又は総合通信の資格が必要になる場合もある。

デジタル通信の資格は主に通信工事業者で必要とされ、事務所の工事や通信機器の設置が主流であった。近年では一般家庭向けでも、FTTHなどの光ファイバー工事やCATVなどのモデムの出力レベルの調整に必要である。主としてインターネットに接続する1Gbps以下の回線は、第二級デジタル通信の資格で工事可能であるが、一部エリアで提供が開始されている10Gbpsについては、第一級デジタル通信又は総合通信の資格が必要である。
工事担任者を要しない工事

工事担任者規則第3条および工事担任者を要しない端末機器の接続の方式(昭和60年郵政省告示第224号)に基づく。

専用設備に
端末などを接続するとき。

次の船舶又は航空機に設置する端末設備を設置するとき。

海事衛星通信の船舶地球局又は航空機地球局に接続するもの。(インマルサットの項も参照)

岸壁に係留する船舶に臨時に設置するもの。


適合表示端末機器、通信事業者が検査を省略する旨を公示した端末設備、技術基準適合認定を受けた端末機器又は海外からの渡航者が短期間使用する端末設備を、次の方法により接続するとき。

プラグジャック方式。

アダプタ式ジャック方式。

音響結合方式(音響カプラ)。

電波により接続する接続の方式。(無線LANなど)

 市販の電話機をモジュラージャックに接続するだけであれば資格を必要としない。
インターネット回線と工事担任者資格の要否

上述のように、工事担任者の資格は元々公衆電話回線を前提としたものだったが、接続端末が多種多様となった結果[6]、公衆電話回線に限らず広く網をかぶせる規定ぶりとなっているため、ルータやPCをインターネット用回線設備に接続したり、そのためのLAN配線工事を行ったりするのにも、工事担任者資格が必要となる規定になった[7]

上述の工事担任者を要しない工事の規定にあるように、技適表示等がされているルータ等の機器をプラグジャックや無線で接続するならば、資格は不要となる[5]。ただし国内の市販ルータは技適表示等がされているものが多いが、PCではまれである。

法令上、端末「機器」は個々の機器、端末「設備」は概ねネットワークを指す。前記郵政省告示は、プラグジャック等での接続であっても、「機器」については技適表示等がなければ資格を必要とし、「設備」であるときは常に資格を必要とするのを原則としている(通信事業者が検査を省略するものとした設備や海外からの渡航者が短期間使用する設備を除く)。したがって本来は、技適表示等のあるルータ等をプラグジャック等で接続することで資格不要となるのはルータ等を単体で接続する場合のみで、LANを経由してその先にPC等を接続する場合には常に資格を要するとも考えられる。しかし、総務省はでは技適表示等のあるルータの先にPC等を接続したり、そのようなルータの先にあるハブにLANケーブルを接続する場合については、資格不要との見解を示している[注 1]。この見解は、ルータの先に接続されたPCやハブ等からなるLANについては「設備」とも「機器」ともみなさず資格不要の範囲を広げたものと解される。無資格で技適表示等がないルータやPCを直接接続するなどしても、それ自体で処罰されたり、電気通信事業者から接続に検査を要求されたりすることはないが(電話機能を持つ場合を除く)、法的にはグレーゾーンとなる。

現実の工事では資格が必要な作業と不必要な作業が混在する状況となっているため、総務省では責任分界点から利用者側の工事では工事担任者による工事を推奨している[5]。またLANケーブルの長さを利用者が調整することは資格不要であるが、施工不良を考慮すると工事担任者による作業や監督を推奨するとしており[6]、有資格者によるチェックにより外部への影響を防ぐように誘導している。
取得

工事担任者資格者証は、総務大臣が交付する。取得にあたり、年齢・性別等の制限は無い。

取得は次の何れかによる。

国家試験に合格すること。

養成課程を修了すること。

総務大臣が上記に掲げる者と同等と認定すること。

国家試験

日本データ通信協会電気通信国家試験センターが年2回実施している。

第二級デジタル通信、第二級アナログ通信はCBT方式により通年実施されている。

概要

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受験資格

制限なし

申込み

インターネットまたは試験申請書の郵送による。(但し、全科目免除や実務経歴免除の申請は、インターネットではできない場合がある。)

受験願書は、電気通信国家試験センターや地方支部及び紀伊國屋書店をはじめとする全国の大型書店で無料配布されている“電気通信の「工事担任者」試験申請書類”の中に、同封されている3連式払込取扱票の3枚目の裏面にある。


インターネット

第一回 2月上旬?3月上旬頃まで

第二回 8月上旬?9月上旬頃まで


郵送

第一回 2月上旬?3月上旬頃まで

第二回 8月上旬?8月下旬頃まで

試験日程

第一回 5月中旬頃

第二回 11月下旬頃(年2回)

試験形式及び時間多肢選択(マークシート)式で1科目当り40分(総合通信の技術のみ80分)、科目免除者は所定の時間が経過したら退場する。第二級アナログ通信、第二級デジタル通信はCBTによる試験。

受験地

札幌、青森、仙台、さいたま、東京、横浜、新潟、金沢、長野、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇

試験手数料 8,700円(全科目免除の場合は5,600円)

科目工事担任者規則第7条に規定されており、全種類とも科目は共通である。

電気通信技術の基礎(略称:基礎)

端末設備の接続のための技術及び理論(略称:技術)

端末設備の接続に関する法規(略称:法規)

項目

第一級アナログ通信

基礎
電気工学(電気回路、電子回路、論理回路)の基礎

電気通信の基礎


技術
端末設備の技術

総合デジタル通信の技術

接続工事の技術

トラヒック理論

情報セキュリティの技術


法規
電気通信事業法及びこれに基づく命令

有線電気通信法及びこれに基づく命令

不正アクセス行為の禁止等に関する法律

電子署名及び認証業務に関する法律及びこれに基づく命令



第二級アナログ通信

基礎
電気工学(電気回路、電子回路、論理回路)の初歩

電気通信の初歩


技術
端末設備の技術

総合デジタル通信の技術

接続工事の技術

情報セキュリティの技術


法規
電気通信事業法及びこれに基づく命令の大要

有線電気通信法 及びこれに基づく命令の大要

不正アクセス行為の禁止等に関する法律の大要



第一級デジタル通信

基礎
第一級アナログ通信と同様

技術

端末設備の技術

接続工事の技術

ネットワークの技術

情報セキュリティの技術


法規
第一級アナログ通信と同様


第二級デジタル通信

基礎
第二級アナログ通信と同様

技術
第一級デジタル通信と同様

法規
第二級アナログ通信と同様


総合通信

基礎
第一級アナログ通信と同様

技術

端末設備の技術

総合デジタル通信の技術

接続工事の技術

トラヒック理論

ネットワークの技術

情報セキュリティの技術


法規
第一級アナログ通信と同様


基礎の水準は、初級に相当する第二級アナログ通信及び第二級デジタル通信の二つと上級に相当するその他三つの二段階である。

技術と法規の水準は、アナログ及びデジタルで各々第二級、第一級と順次高くなり、総合通信は両者を総合したものである。

通信技術の進歩に伴い、ADSLVoIPなど新しい分野からの出題が年々追加されている。


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