電気機関車
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ハンガリーブダペストガンツ社のカンドー・カールマーンはアメリカのウェスティングハウスと共同で電気機械式の変換装置 (en) を開発し、単相交流で三相交流電動機を駆動できるようにし、必要な電線の本数を減らすことに成功した[7]

ヨーロッパでの鉄道の電化は当初、山岳部に集中した。山岳部では石炭の供給が難しいが水力発電はすぐにも可能で、急勾配の路線には電気機関車の方が適していたためである。なお、2011年時点では山岳部の多いスイスの鉄道はほぼ完全に電化されている。ヴァルテッリーナ線で使われた交流電気機関車

短区間でなく一つの幹線全体を世界で初めて電化したのはイタリアで、カンドー・カールマーン率いるガンツ社のチームが設計したウェスティングハウスのシステムを使用した[8][9]。この全長106kmのヴァルテッリーナ線は1902年9月4日に開業し、3,000V・15Hzの三相交流を使っていた。電圧は従来のものより遥かに高く、電動機や切り替え装置なども全く新たに設計する必要があった[10][11]。このイタリアの路線の電化の際、電力供給をどのような定格にすべきかを決めるための試験が行われている。一部区間では3,600Vで16.6Hzの三相交流、別の区間では1,500Vの直流、さらに3,000Vの直流、10,000V・50Hzの交流などが試された。1930年代にはイタリア全土で3000Vの直流送電システムが採用された(ただし、その後もフランスに近い地域では1500Vの直流を使い、高速鉄道の多くは25000V・50Hzの交流を採用している)[2]

ニューヨーク市でも鉄道が市内に入るところにはトンネルがあり、蒸気機関の煙がそこでも問題視されていた。1902年にパークアベニュートンネルで衝突事故が起き、ニューヨーク州政府はハーレム川より南への煙を出す機関車の乗り入れを1908年7月1日以降禁止することとした。これを受けてニューヨーク・セントラル鉄道1904年に電気機関車の導入を開始した。ニューヨーク市の規制を受けて電気機関車を導入していたペンシルバニア鉄道は、1930年代にハリスバーグ以東の路線も電化した。

アメリカで最後に建設された大陸横断鉄道であるミルウォーキー鉄道は、1915年からロッキー山脈太平洋岸の路線の電化に着手した。東海岸のバージニアン鉄道ノーフォーク・アンド・ウェスタン鉄道といった鉄道では、山岳部の一部区間のみ電化するという方式が採用された。この時代のアメリカ合衆国における鉄道の電化は主に都市部の路面電車が中心であり、開発の中心は電化が広範囲に及びつつあったヨーロッパに移った。

1923年、カンドーの設計に基づく単相 - 三相変換機を使った電気機関車がハンガリーで建造され、すぐに大量生産が始まった。これは、単相交流を機関車内で三相交流に変換するものである。この方式に基づいてブダペストからウィーンまでを結ぶ鉄道が建設された。

1960年代には東欧を含むほとんどのヨーロッパの幹線鉄道が電化された。ヨーロッパの電気機関車の技術は1920年代以降着実に改良を重ねていった。重量240 tのミルウォーキー鉄道EP-2型電気機関車1918年)は、出力3,330 kWで最高速度112 km/hだった。一方ドイツの E 18(1935年)は2,800 kWだが重量は108 tで、最高速度は150 km/hとなっている。1955年3月29日フランス国鉄CC7100形電気機関車ボルドー近郊で最高速度331 km/hを達成した。1960年に導入された スウェーデン国鉄Dm3形電気機関車は出力7,200 kWを、1972年スイス国鉄Re620形電気機関車は重量120 tで7,850 kWを記録している。そして1960年代には旅客列車を最高速度200 km/hで牽引することが可能な機関車がドイツとフランス両国で同時期に登場した。さらなる改良は電子制御システムの導入によるもので、より軽量かつ強力な電動機が使えるようになっていった。

2006年9月2日オーストリア連邦鉄道の1216形「タウルス」の050号機がドイツの高速新線で357 km/hの最高速度記録を樹立した。
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出典検索?: "電気機関車" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2011年10月)

分類

架線から取り入れる電源の種類により、直流電気機関車、交流電気機関車、交流直流両用電気機関車に分類される。黎明期には、直流電源を使用するのが一般的であったが、後に大電力を送電できる交流電源を使用するものが実用化された。交流を使用する場合は、商用電源周波数単相特別高圧を使用するが、初期には三相交流や低周波数を使用することもあった。集電方式は、高速運転にも適した架空電車線方式が一般的で、一部に第三軌条方式のものがある。
主要機器

電動機から出力された動力は、歯車によって減速され、車輪に伝えられる。減速段数は1段であることが多いが、2段減速である場合や、一旦ジャック軸に出力され、そこからロッド(連結棒)により各軸へ出力される場合がある。電動機は、台車の各軸に1個ずつ装架されるのが一般的な方式であるが、1個の電動機で同じ台車の2軸を同時に駆動したり、2個の電動機で1軸を駆動するもの、電動機を床面上に搭載する場合もある。駆動方式は、台車装架の場合構造の単純な吊り掛け式が一般的である。軌道への負担や電動機への衝撃を軽減したリンク式やクイル式といった方式もある。床面上装備の場合は、ジャック軸式や歯車を用いるブーフリ式などがある。

制御方式は、直流用や交流直流両用では、抵抗制御直並列組合せ制御が一般的である。また、加速時の空転を少なくするため、ノッチの制御段数を増やしてきめ細かい制御を行なうバーニヤ制御が併用されることがある。交流用では一般的な低圧タップ制御のほか、整流器の機能を活用した無接点式のサイリスタ位相制御なども使用される。交流用機関車では、出力電圧を連続的に変化させることができるため、直流用に比べて少ない動軸数で同等の粘着性能を発揮することができる。

1990年代以降では、かご形三相誘導電動機を用いたVVVFインバータ制御を用いた大出力のものが多くなっている。

補機類には制御装置や灯火用の電源を給電するための電動発電機主電動機や抵抗器に冷却風を送る電動送風機、空気ブレーキ用の圧縮空気を作る電動空気圧縮機などがある。旅客列車用の電気機関車には、客車に蒸気暖房の蒸気を送るための蒸気発生装置 (SG) や、電気暖房用の交流電源装置(電動発電機や静止形インバータ)を搭載している車両がある。交流電気機関車では、これらの補助電源は、主変圧器の2次側に主回路とは別の巻線(3次巻線とも呼ぶ)を設けて供給するのが一般的である。
蒸気機関車との性能差


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