電子署名
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( p k , s k ) ← G ( 1 k ) , s ← S s k ( m ) ) {\displaystyle \mathrm {Pr} (V_{\mathbf {pk} }(m,s)=\mathbf {ACCEPT} |(\mathbf {pk} ,\mathbf {sk} )\gets G(1^{k}),s\gets S_{\mathbf {sk} }(m))} はoverwhelming

安全性の厳密な定義

電子署名の安全性(Security)の要件をより厳密に定義する。「検証を通過するのは正当な署名者が作った署名文に限る」というのが、いかなる条件下でいかなる目標を達する事を指すのかによって電子署名方式の安全性の定義は数種類に存在するが、単に「安全」といった場合選択文書攻撃に対する存在的偽造不能性(Existencial Unforgeability against Chosen Message Attack, EU-CMAと略す)を指す事が普通なので、ここではこの定義を紹介する。

準備
Σ = ( G , S , V ) {\displaystyle \Sigma =(G,S,V)} を電子署名方式とし、kをセキュリティ・パラメータとする。Aを電子署名方式 Σ {\displaystyle \Sigma } に対する攻撃者とする。攻撃者Aを用いて、次のような実験(experiment ゲーム(game)とも言う)を行なう。
まず1kを入力として鍵生成アルゴリズムを走らせ、公開鍵・秘密鍵ペア(pk,sk)を作る。そしてpkとkを攻撃者Aに渡す。
攻撃者Aは実験の最中、署名オラクルO(sk,・)に任意の回数アクセスする事ができる。署名オラクルとは、攻撃者Aから平文mを送信されると、秘密鍵skを使ってmに対する署名文s=Ssk(m)を作成し、sをAに送信するオラクルの事である。
攻撃者Aの目標は、平文mと署名文sとの組(m,s)で検証を通り、しかも署名オラクルOにmを送信していないものを出力する事。そのような(m,s)を作成できればAの勝ち、そうでなければAの負けである。
以上の実験をより形式的に書くと、以下の通り。

Experiment ( p k , s k ) ← G ( 1 k ) {\displaystyle (\mathbf {pk} ,\mathbf {sk} )\gets G(1^{k})} ( m , s ) ← A O ( s k , ⋅ ) ( 1 k , p k ) {\displaystyle (m,s)\gets A^{O(\mathrm {sk} ,\cdot )}(1^{k},\mathbf {pk} )} If( A {\displaystyle A{}} が O ( s k , ⋅ ) {\displaystyle O(\mathbf {sk} ,\cdot )} に m {\displaystyle m{}} を聞いた事がある) Return LOSEIf( V p k ( m , s ) = R e j e c t {\displaystyle V_{\mathbf {pk} }(m,s)=\mathbf {Reject} } ) Return LOSEReturn WIN


実験でAが勝つ確率を S u c c Σ k ( A ) {\displaystyle \mathbf {Succ} _{\Sigma }^{k}(A)} と書く事にする。(注:この記号は比較的良く使われるものの、必ずしも皆の合意がとれた記号ではないので、使用するときには一言説明が必要である)。
ただしここで確率はG,S,V,Aの内部乱数をランダムに選んだときのもの。

定義
Σ = ( G , S , V ) {\displaystyle \Sigma =(G,S,V)} を電子署名方式とする。任意の平均多項式時間確率アルゴリズムAに対し、 S u c c Σ k ( A ) {\displaystyle \mathbf {Succ} _{\Sigma }^{k}(A)} がkに関し
negligibleなとき、電子署名方式 Σ {\displaystyle \Sigma } は選択文書攻撃に対し存在的偽造不能であるという。
代表的な電子署名方式

RSA署名ElGamal署名DSA署名、Schnorr署名、Cramer-Shoup署名、楕円ElGamal署名、楕円曲線DSA署名、楕円Schnorr署名など様々な署名方式が知られている。

RSA署名、ElGamal署名はそれぞれ素因数分解問題、素体乗法群上の離散対数問題を基にした署名方式である。この二つの署名方式は、暗号理論の研究の初期に提案された署名方式であるので特に有名である。しかし、RSA署名は(教科書的なRSA署名は、存在的偽造可能であることが自明なので)CMA-EUF安全ではないし、ElGamal署名は(CMA-EUF安全であろうと予想されているものの)CMA-EUF安全であるかどうか分かっていない。DSA署名はElGamal署名の変形版であって米国NISTの標準暗号になっているが、安全性については同様である。

Schnorr署名は、素体の乗法群上の離散対数問題の困難性とランダムオラクル仮定のもとでCMA-EUF安全であることが示されている署名方式であり、ElGamal署名と同程度の効率をもつ。ランダムオラクルは、暗号理論の研究でよく使用される概念であって、ハッシュ関数が「十分ランダムに振る舞う」ということを理想化した概念である。ランダムオラクル仮定は、「ランダムオラクルが存在する」という仮定であるが、ランダムオラクルはあくまで現実を理想化したものであり、現実的には存在し得ない。

Cramer-Shoup署名は、ランダムオラクルのような理想化された仮定を用いないで安全性が示せる(もので、かつ効率的な)初めての署名方式であり、強RSA仮定のもとでCMA-EUF安全であることが示されていて、RSA暗号の数倍程度の計算量で署名作成・検証が行なえる。

ElGamal署名、DSA署名、Schnorr署名のような素体の乗法群上の離散対数問題を基にした署名方式は、素体の乗法群の代わりに楕円曲線群を用いて計算量を少なくし、しかも署名長を短くすることができる。楕円曲線群を用いたElGamal署名、Schnorr署名を、それぞれ楕円ElGamal署名、楕円曲線DSA署名、楕円Schnorr署名と呼ぶ。
関連項目

暗号理論

公開鍵証明書

電子証明書

電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)

個人番号カード - 住民基本台帳カード

公的個人認証サービス


データ完全性

改竄検出

外部リンク

電子署名
- デジタル庁

典拠管理データベース: 国立図書館

フランス

BnF data

ドイツ

日本

チェコ


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