最近では完全にアナログだけの回路は滅多にない。アナログ回路であっても性能を改善するためにデジタル回路やマイクロプロセッサ技術を利用していることが多い。そのような回路は一般に "Mixed Signal" と呼ばれる。
アナログ回路もデジタル回路も線型な素子と非線型な素子を使っているため、区別の難しい場合もある。例えばコンパレータは連続的に変化する電圧を入力としながら、デジタル回路のような2つの電圧レベルのどちらかを出力する。
デジタル回路詳細は「デジタル回路」を参照
デジタル回路はいくつかの離散的な電圧レベルをとる電子回路である。デジタル回路はブール論理を物理的に実装した最も一般的な形態であり、すべてのデジタルコンピュータの基盤である。[34]ほとんどのデジタル回路は2つの電圧レベルをとり、"Low"(0) と "High"(1) として使用する。"Low" は0V付近ということが多く、"High" は電源電圧に依存して決まる。
コンピュータ、デジタルクォーツ時計、プログラマブルロジックコントローラ(生産工程の制御で使用[35])などはすべてデジタル回路で構成されている。他にはデジタルシグナルプロセッサもある。[36][37][38]
基本回路としては以下が挙げられる。
論理回路
加算器
乗算器
フリップフロップ
カウンタ
レジスタ
マルチプレクサ
シュミットトリガ
高集積部品としては以下が挙げられる。
マイクロプロセッサ
マイクロコントローラ
ASIC (Application-specific integrated circuit)
デジタルシグナルプロセッサ (DSP)
FPGA (Field-programmable gate array)
放熱熱設計支援ソフトウェア (FloTherm)[39] によるヒートシンクのシミュレーション「ヒートシンク」も参照
電子回路は熱を発生するため、誤動作を防ぎ長期間の信頼性を確保するには放熱が重要となる。放熱技法としてはヒートシンクやファンによる空冷、コンピュータの放熱に見られる水冷などがある。放熱システムの設計にあたっては、対流、熱伝導、熱エネルギー放射などを利用する。 電子回路にはノイズが付き物である。この場合のノイズとは、電気信号に重なっている好ましくない変動で、電気信号の内容である情報を不明瞭にする傾向がある[40]。ノイズは回路に起因する信号の歪みとは異なる。ノイズは電磁気や熱によって発生し、回路の温度を低く保てば低減させることができる。その他のノイズとしてはショットノイズなどがあるが、これは電子回路の物理特性の限界に起因するため、除去できない。 今日のエレクトロニクス設計技師は、電源回路、半導体素子(トランジスタなど)、集積回路といった既存の要素を組み合わせて電子回路を設計する。その際に使用するEDA(電子設計自動化)ソフトウェアは、回路エディタ機能やプリント基板設計機能を備えている。[42][43] 電子部品を相互接続するに当たっては、さまざまな技法が長年使われてきた。例えば、初期の電子システムでは部品を木製の板(ブレッドボード)に固定し、それらを空中配線することで回路を構成していた。他にもコードウッド型配線(図参照)やワイヤラッピングなどが古くから使われてきた。現在ではガラスエポキシ基板などのプリント基板が主流で、より安価な紙フェノール基板(黄色から茶色の色が特徴)も使われている。近年、電子機器は処分時のリサイクルや健康・環境への配慮から、有害物質の使用が規制される流れにあり、欧州連合 (EU) のRoHS指令[44]やWEEE指令[45]が2006年7月に施行されたのをはじめ、[46][47]各国においても類似の制度が制定・検討されている[48]。
ノイズ
CAD(コンピュータ支援設計)プリント基板設計用EDAソフトの例(FreePCB)[41]詳細は「EDA (半導体)」を参照
組み立て技法コードウッド型配線
団体
学会
IEEE (Institute of Electrical and Electronics Engineers)
電子情報通信学会
業界団体
EIA(アメリカ電子工業会)
JEITA(電子情報技術産業協会)
脚注[脚注の使い方]
出典^ a b Horowitz, P., & Hill, W. (1989). The art of electronics. Cambridge Univ. Press.
^ Cogdell, J. R., & Cogdell, J. R. (1996). Foundations of electrical engineering. Prentice Hall.
^ 牛田明夫, & 田中衛. (2002). 電子回路シミュレーション, コロナ社.
^ 堀川宗之. (2016). 医・生物学系のための電気・電子回路. コロナ社.
^ 電子回路の基礎, 村田正著, 共立出版刊,(1989 年 4 月 10 日発行),
^ 「世界中で普及したテレビアンテナの生みの親・八木秀次【後編】」EMIRA
^ De Forest, L. (1906). The audion: a new receiver for wireless telegraphy. Proceedings of the American Institute of Electrical Engineers, 25(10), 719-747.
^ Bardeen, J., & Brattain, W. H. (1948). The transistor, a semi-conductor triode. Physical Review, 74(2), 230.
^ Riordan, M., Hoddeson, L., & Herring, C. (1999). The invention of the transistor. In More Things in Heaven and Earth (pp. 563-578). Springer, New York, NY.
^ Brinkman, W. F., Haggan, D. E., & Troutman, W. W. (1997). A history of the invention of the transistor and where it will lead us. IEEE Journal of Solid-State Circuits, 32(12), 1858-1865.
^ [プレナー型トランジスタ誕生から50年--シリコンバレーで記念式典(2009年5月) https://japan.zdnet.com/article/20392843/8/]
^ Erickson, R. W., & Maksimovic, D. (2007). Fundamentals of power electronics. Springer Science & Business Media.
^ Arsov, G. L., & Mir?evski, S. (2010). The sixth decade of the thyristor. FACULTY OF ELECTRICAL ENGINEERING UNIVERSITY OF BANJA LUKA, 3.
^ B. D. Josephson: Phys. Lett., 1 (1962) 251.
^ 中村彬. (1974). ジョゼフソン素子の応用. 応用物理, 43(11), 1151-1156.
^ 堀浩雄. (1999). 液晶ディスプレイの歴史. 応用物理, 68(4), 435-441.