以下では電子工学の応用としての電子回路と電子機器について述べる。 電子機器はその機能を実現する機能ブロックとしての電子回路の集まりとして構成されている。電子回路は増幅回路、発振回路、フィルタ回路など意図した機能を果たすように構成されている。電子回路は回路素子が個別の部品として何らかの配線部品(プリント基板にはんだ付けするなど)で相互接続され実装される場合と、集積回路の形で複合的に実現される場合がある。個別部品としてよく見られる電子部品としては、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、トランジスタなどがある。電子部品はトランジスタやサイリスタなどの能動素子と、抵抗器やコンデンサなどの受動素子に分類される。個別部品と集積回路は排他的な物ではなく、機能として必要に応じて使い分けられる。同じ基板上に併存することもある。 電子機器・システムは次の部分に分けられる。 テレビ受像機を例に挙げると、入力はアンテナやケーブルテレビから得られた放送信号である。テレビ受像機内部の信号処理回路は、放送信号から輝度
電子機器と電子部品
回路の種類
入力 - 電子的・機械的なセンサ(または変換器)で、温度、圧力、電磁場等の物理量をシステムの外部から取得し、電流信号や電圧信号に変換する。
信号処理回路 - 組み合わされた電子素子により信号を操作し、解釈したり、変換したりする。
出力 - アクチュエータや他の素子(変換器も含む)により、電流・電圧信号をシステム外の利用者にとって有用な形態に再変換する。
電子回路や装置は、アナログとデジタルに分類される。両者の橋渡しを担当するアナログ-デジタル変換回路と、デジタル-アナログ変換回路もある。
アナログ回路詳細は「アナログ回路」を参照周波数可変インバータ J100(日立)
ラジオ受信機などのアナログ電子機器の多くは、数種類の基本回路の組み合わせで構成されている。アナログ回路は連続的な範囲の電圧を使う。[29]
電子回路は1個から数千個の部品で構成されるため、これまでに考案されたアナログ回路は使用している部品の違いを考慮すれば膨大な数になる。
アナログ回路には線型回路もあるが、[30]非線型な効果を持つミキサ回路、変調回路なども多数存在する。アナログ回路の典型例として、真空管やトランジスタを使用した増幅回路、演算増幅回路、[31][32][33]発振回路などがある。
最近では完全にアナログだけの回路は滅多にない。アナログ回路であっても性能を改善するためにデジタル回路やマイクロプロセッサ技術を利用していることが多い。そのような回路は一般に "Mixed Signal" と呼ばれる。
アナログ回路もデジタル回路も線型な素子と非線型な素子を使っているため、区別の難しい場合もある。例えばコンパレータは連続的に変化する電圧を入力としながら、デジタル回路のような2つの電圧レベルのどちらかを出力する。
デジタル回路詳細は「デジタル回路」を参照
デジタル回路はいくつかの離散的な電圧レベルをとる電子回路である。デジタル回路はブール論理を物理的に実装した最も一般的な形態であり、すべてのデジタルコンピュータの基盤である。[34]ほとんどのデジタル回路は2つの電圧レベルをとり、"Low"(0) と "High"(1) として使用する。"Low" は0V付近ということが多く、"High" は電源電圧に依存して決まる。
コンピュータ、デジタルクォーツ時計、プログラマブルロジックコントローラ(生産工程の制御で使用[35])などはすべてデジタル回路で構成されている。他にはデジタルシグナルプロセッサもある。[36][37][38]
基本回路としては以下が挙げられる。
論理回路
加算器
乗算器
フリップフロップ
カウンタ
レジスタ
マルチプレクサ
シュミットトリガ
高集積部品としては以下が挙げられる。
マイクロプロセッサ
マイクロコントローラ
ASIC (Application-specific integrated circuit)
デジタルシグナルプロセッサ (DSP)
FPGA (Field-programmable gate array)
放熱熱設計支援ソフトウェア (FloTherm)[39] によるヒートシンクのシミュレーション「ヒートシンク」も参照
電子回路は熱を発生するため、誤動作を防ぎ長期間の信頼性を確保するには放熱が重要となる。放熱技法としてはヒートシンクやファンによる空冷、コンピュータの放熱に見られる水冷などがある。放熱システムの設計にあたっては、対流、熱伝導、熱エネルギー放射などを利用する。 電子回路にはノイズが付き物である。この場合のノイズとは、電気信号に重なっている好ましくない変動で、電気信号の内容である情報を不明瞭にする傾向がある[40]。ノイズは回路に起因する信号の歪みとは異なる。ノイズは電磁気や熱によって発生し、回路の温度を低く保てば低減させることができる。
ノイズ