電子媒体
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CD-ROMDVD-ROMBD-ROMなどの記録媒体は物理的(機械的)に作られており、本来「電子」媒体と呼ぶには無理があるが、日本の国家機関では使用されている[1][2]

以下、本項では主に電子媒体としての記録媒体に関して述べる。
種類・用途様々なタイプの電子記憶媒体市販の記録メディア

電子磁気電磁気)、光磁気半導体などの技術工学が使われている。また各種類の媒体の技術的工学的特性、例えば容量や記録密度やレイテンシやスループット、さらには経済性(コストパフォーマンス)などにより、適した用途がある。いくつかの例について述べる。

磁気

磁気テープ - ポリエステルなどの樹脂で作られたテープに磁性体を塗布して、映像や音楽コンピュータプログラムデータなどを磁気で記録するもの。大容量のデータを安価に記録出来、かつ耐久性に優れているがランダムアクセスは出来ないため、大量の情報を記録する必要があるが頻繁には利用されない場合(企業における情報のバックアップなど)に用いられる。コンシューマー用途としては、フロッピーディスクが普及する以前に、コンパクトカセットコンピュータのデータ記録メディアとして活用された。音楽録音用途においてもコンパクトカセットが用いられている。

DDS(デジタル・データ・ストレージ) - DAT技術を利用した大容量補助記憶装置。業務用に使われる。


磁気ディスク

ハードディスクドライブ(HDD) - アルミニウム(過去にガラスのものもあった)の円盤に磁性体を塗布して、映像や音楽コンピュータプログラムデータなどを磁気で記録するもの。大量のデータを保存することができ、2009年現在の最大容量は3.5インチサイズの単一HDDで2テラバイトに達している。容量当たりの単価が安価であり、アクセススピードにも優れていることからパーソナルコンピュータサーバなどのコンピュータに広く使われている。信頼性の観点から、業務用機器ではRAIDなどで危険分散をはかっている。

フロッピーディスク(FD) - 薄いポリエステル円盤磁性体を塗布して、データを磁気で記録するもの。出現当初は、ドライブ機器が高価であったため普及していなかったが、PCの普及に伴い価格が下がり、急激に普及した。8インチ、5インチ、3.5インチ等の種類があり、片面/両面記録や記録密度で更に区分された。磁気テープと異なり、記録できる情報は少ないがランダムアクセスが可能である。一般的に1枚あたり1.2から1.4 MBが記録可能である(両面HDフォーマットの場合)。





光ディスク

レーザーディスク(LD) - 直径30センチの両面書き込み可能なディスクで、最大2時間の映像を記録することが可能である。しかし、一般家庭での書き込みが不能で読み取り専用、材料の劣化が早いなどの問題点があり、DVDの普及に伴って2007年3月にディスクの製造は終了した。他にレーザーディスクカラオケなどに利用されていた。

コンパクトディスク (CD)、DVDBlu-ray Disc(BD)- 直径は8センチまたは12センチ。最大容量はCDが900 MB程度、DVDは片面1層で4.7 GB、片面2層で8.5 GB、両面1層で 9.4GB、BDは4層で128 GB。データ、音声、映像の記録およびフロッピーディスクと同様にランダムアクセスが可能で生産性に優れている。読み込み専用(CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM)、書き込み後に改変不可能(CD-R、DVD-R、BD-R)、約1000回程度の書き換えが可能(CD-RE、DVD-RE、BD-RE)なディスクがある。



光磁気

光磁気ディスク(MO) - カートリッジに保護されることで傷、埃に強く、耐久性に優れた長寿命の記録媒体で1000万回の書き換えに耐えるとされる。サイズは8インチ、5.25インチ、3.5インチがあり、3.5インチのMOは128 MBから2.3 GBまで6種類の記録媒体がある。書き換えに専用のアプリケーションを必要とせず、フロッピーディスクと同じような使い勝手でデータの保存に用いる。ただし2020年現在、民生用3.5インチドライブの生産は終了されている。

ミニディスク(MD) - ソニーが開発した小型の光磁気ディスクで、データおよび音声の保存に用いる。音声はATRAC方式で記録される。記録再生ドライブの生産は終了されている。


半導体

フラッシュメモリ

ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive) - 入出力をHDDと同等の規格(シリアルATAなど)にしたフラッシュメモリで、コンピュータの起動ディスクとして使用可能な記録媒体。駆動部がないためシーク時間がHDDと比較して短く、高速なランダムアクセスができる。またHDDと比較して消費電力が低く、振動や衝撃に耐久性があるため、ノートパソコンなどの携帯機器で記録媒体として用いられる。

メモリーカード - 半導体メモリー(フラッシュメモリ)を使うため、可動部がなく一般的には低消費電力である。ビットあたりの単価が登場当初は1 GBあたり10万円で高価であったが、その後技術改良や普及によりコストダウンした。薄型でカードのような外見をもつ。比較的小容量でよいデジタルカメラ携帯電話のデータメディアとして普及した。メモリーカードを使うタイプのカムコーダデジタルオーディオプレーヤーもある。

USBメモリ - USBポートを用いてデータを転送する、手軽な補助記憶装置



仕様
テープタイプ詳細は「磁気記録」を参照
ディスクタイプ

この節の加筆が望まれています。


カートリッジ -- ディスクを保護するためのプラスチック製のケースのこと。CDなど、一部のメディアには存在しない

シャッター -- カートリッジに設けられた、記録面にアクセスするための孔を塞ぐための機構。これにより記録面が汚れたり傷つくのを防ぐ。一部のメディアはカートリッジ式でも存在しない

レーベル面 -- 信号が記録されていない、内容を表す写真などが印刷されたディスクの面のこと。CDやDVD、Blu-ray Discのみに存在する

記録面 -- 信号が記録されているディスクの面のこと

セクタ -- ディスクメディアの最小単位。このセクタ単位でしか読み書きできない。

クラスタ -- セクタをいくつかまとめた、データ本体の記録単位。File Allocation Tableを使用したファイルシステム上での、読み書き最小単位。

トラック -- ディスクに設けられた、信号を記録する部分。螺旋状または同心円状に作られている。ディスクによっては溝として物理的に設けられており、溝をグルーブ、グルーブとグルーブの間をランドという。ランドのみに信号を記録するランド記録、グルーブのみに記録するグルーブ記録、ランドとグルーブの両方に記録するランド&グルーブ記録とがあり、左から順に記憶容量が向上していく

シリンダ -- ハードディスクにおいて、各プラッタの同一同心円上のトラックをひとまとめにした円筒形の領域

スピンドルホール -- スピンドルモーターの回転軸を通す孔のこと

記録マーク -- 0と1を表す部分のこと。CD-ROMやDVD-ROMにおけるピット[1]を記録マークと考えて差し支えない。この記録マークの形成方法にはマークポジション記録とマークエッジ記録とがある。前者は記録マークを1、その他を0として記録する方式。後者は記録は記録マークの端点を1、その他を(記録マークが形成されていても)0として記録する方式。記録マークが多少大きくても記録密度の向上が可能

回転制御方式 -- ディスクの回転の制御の方法のこと。方式によって記録密度シークタイムが変わってくる。

CAV -- CAVとはConstant Angular Velocity、つまり角速度一定という制御方式で、ディスクの回転数と記録回数が一定であるため、外周に向かうにしたがって記録密度が低下してしまう。しかし、CAVはシークタイムが短く済む。この方式はフロッピーで採用されている。

ZCAV(ZBR) -- Zoned CAVのことで、外周に向かうにしたがって記録周波数を変化させることで記録回数を変え、外周でも記録密度を一定に保つことが出来た。また、回転数は一定であるためシークタイムは短い。主にHDDや230MB以降の3.5インチMOで採用されている。

CLV -- CLVとはConstant Liner Velocity、線速度一定。ディスクの回転数を変化させることでトラックの記録密度を一定に保つ方式。しかし、ディスクの回転数を変化させなければならず、シークタイムが伸び悩む。CDDVDに採用されている。

ZCLV -- Zoned CLV。媒体の半径方向でセクタ数が異なるように複数のゾーンに分け、それぞれのゾーンで回転数を変化させることで記録密度の向上を図る方式。


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