電卓
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簡易プログラム機能を有するものや、紙に書くような数式で表示されるものや、グラフ表示が可能なものもある。今日では主に教育現場で用いられているが、土木・測量向けに防水・防塵・耐衝撃構造としたものもある。近年では、前述の学習用電卓のように、余りのある除算や分数の加減乗除、約分や仮分数と帯分数の相互変換などを行える機種もある。
金融電卓金融電卓の代表例 HP 12C

1973年に登場した ⇒HP-80 が最初の金融電卓と思われる。1972年に発売された世界最初のポケットに入る関数電卓 HP-35 の派生製品と思われる。

現在、欧米ではTVM(Time Value of Money : 貨幣の時間的価値)に基づいた高度な金融電卓が主流である。HP 12c シリーズ と BA II Plus シリーズ(英語版) がその代表的存在である。

一方、日本では質問に答えるだけで計算できる金融電卓が主流である。
プログラム電卓詳細は「プログラム電卓」を参照

プログラミング可能な電卓のことである。

関数電卓を発展させたものとよく誤解されるが、世界最初の関数電卓 HP 9100A(1968年)はプログラミング可能であった。つまり、プログラミング可能な関数電卓の方が普通の関数電卓よりも先に誕生している。

それ以前、1963年の オリベッティ・プログラマ101 は事務用電卓であり、四則演算、平方根、絶対値、小数部の取り出し程度のことしかできなかった。しかし、プログラミングが可能であった。

金融電卓のうち上位機種には、ある程度のプログラミングが可能なものもある。

プログラム関数電卓からさらにコンピュータ寄りに進化したものが、ポケットコンピュータである。
グラフ電卓詳細は「グラフ電卓」を参照グラフ電卓の例 TI-84 Plus。この機種は数式処理システムを搭載していない。

関数電卓やプログラム電卓に数式処理やグラフ処理能力を加えたのがグラフ電卓である。関数電卓を電卓として更に進化させたものといえる。関数電卓・プログラム電卓の基本機能に加え、数式処理やグラフ描写などを行える(グラフ描写しか行えない機種も存在する)。数式処理システムにより因数分解や微積分などの数式を直接計算でき(他の電卓は数値的にしか処理できない。グラフ電卓では数値的にも解析的にも取り扱える)、プログラム機能では数式処理に用いる組み込み関数を用いて高度なプログラムを簡単に組み込める。入力もGUIから入力できるので初心者でも比較的簡単に扱え、CUI風の入力でも計算できるのでコマンドを暗記した上級者は更に簡単に扱える。しかも任意の精度で計算できる(計算精度を設定可能)。このため科学技術分野などの高度な数学的計算を行うことに優れている。多くの機種はPCに接続してプログラムやデータの通信が可能で、計測器からのデータ入力、カラー表示、外部メモリ(SDメモリーカードなど)、表示画面のビデオ出力やOHP投影、プリンタ出力などにも対応している機種もある。さらには近年、オペレーティングシステムを持つ電卓も販売されている。日本ではシャープ、カシオが製品を販売していたがシャープは撤退、カシオは海外向け製品を国内販売している程度である。おもにアメリカのテキサス・インスツルメンツなどが開発している。数式処理システムも参照のこと。
専門職別

カシオでは薬剤師看護師栄養士と、専門職ごとに異なった機能を有する機種を開発・販売している[5]
構成
形状

電卓は長方形の形状をしていることが多く、縦長が基本だが、事務用の一部や折りたたみタイプ・カードタイプのものには横長のものも存在する。表示部に傾きが付いていることが多く、傾き角度を変えることができるものもある。

電卓はサイズの違いによりそれぞれ名称が付いているが、メーカーによって名称が異なる。

デスクタイプ・デスクトップタイプ - 概ね縦210mm、横150mm以上。

セミデスクトップタイプ - 概ね縦200mm、横135mm程度。

ジャストタイプ・ナイスサイズ - 概ね縦180mm、横110mm程度。

ミニジャストタイプ・ミニナイスサイズ - 概ね縦145mm、横105mm程度。

手帳タイプ・ハンディタイプ・ミニミニナイスサイズ - 概ね縦120mm、横70mm程度。このサイズから 00 キーはなくなり、また + キーも他のキーと同じ大きさになる事が多い。特に手帳型ケースの付属する機種を手帳タイプという。

折りたたみ手帳タイプ - 概ね縦110mm、横90mm程度(開いたときの大きさ)。

カードタイプ - 概ね縦90mm、横60mm程度。特に
クレジットカード大で、厚さが1mm前後のものをクレジットカードタイプともいう。

極端に小さいものでは、縦50mm程度で小判型のキーホルダーとなっている製品などもある。
操作部

ごく初期には、従来の加算機(機械式計算機#バロースの加算機を参照)などに合わせ、数字の桁ごとに10個の数字キーを並べたものもあったが、電卓以前のリレー式であるカシオ14-Aが既にテンキー式であることからわかるように技術的にはそのようにする理由はほとんどなく、もっぱらほぼ全てテンキー式である。

キー配列はセミデスクトップタイプ以上では横に6列、ジャストタイプ以下では横に5列としたものが多く、縦はどの大きさでも6段か5段としたものが多い。

また、基本的には同じメーカーのものであれば、操作性が大きく変わることは少ない。これは、機種により大きく変わるとユーザーが再度操作を覚えなおさなければならないためである。
テンキー

一般的にテンキーの配列にはいわゆる「プッシュホン配列」(左上から順に1、2、3)と「計算機配列」(中段のみがプッシュホンと同じで最上段最下段が入れ替わっている)があるが、電卓はもっぱら「計算機配列」である。
演算子キー

四則演算の演算子キーの他、% などの演算キーがあるものもある。加算器方式の場合は = と +・- が独立しておらず、+= と -= キーがある。
その他の機能キー

クリア

オールクリア: メモリ以外の全ての計算中の数値やモードをクリア

置数クリア: 入力中の数値のみをクリア

(メーカーにより C と CE、あるいはカシオは AC と C としている)

(なお、CA やカシオ以外の AC はメモリも含めた全ての計算中の数値やモードをクリア)


メモリ関係(計算用以外に1個、数値を記憶しておける)

MR (Memory Recall): 現在のメモリの値を呼び出す(シャープは RM)

MC (Memory Clear): メモリの値をクリア(シャープは CM)

M+ (Memory Plus): 表示中の値をメモリに足す(キヤノンは M+=)

M- (Memory Minus): 表示中の値をメモリから引く(キヤノンは M-=)

(メモリの呼び出し後に連続して押すとメモリクリアになる MRC ないしは RM/CMR・CM という複合キーの場合もある)


GT (Grand Total): 総計。これまでの = を押した結果の総合計を表示する

MU (Mark UP): マークアップキー。売価設定等ができる
[6]

キーの配置

一般的にキーは右利き用に配置されているが、左利き用に配置された機種や、+ や = キーがテンキーの下段に配置された左右共用の機種も存在している。
定数計算等

歴史的には操作性には細かい変更が重ねられてきたが、現在は基本的な操作はほぼ全機種が同じである。定数計算や百分率計算についてはカシオとそれ以外で少々異なる。カシオ機では演算子キー連打で定数モードに入り「K」シンボルが表示されるのに対し、他社の場合は通常の演算操作で「自動定数モード」になっている。以下の表ではカシオ、カシオ以外、他に参考としてHP逆ポーランド記法順(RPN方式)での例を示す。

 casioシャープなどHP(RPN
定数計算
2+3=5
6+3=93 ++
2 =
6 =K   3.
K   5.
K   9.2 + 3 =
6 =5.
9.3 ENTER ENTER ENTER 
2 +
CLx
6 +
5.
0.
9.
百分率計算
500の5%増しを求める500 × 5 %+525.500 + 5 %525.500 ENTER  5 %+525.

カシオ機では、定数とする方の値の入力後に +-×÷ のどれかの演算子キーを連続して押すと定数計算モードになり、「K」シンボルが表示される。その後、変化させる方の値を入力しては = を押すという操作を繰返すことができる。このモードでは、通常と演算対象の入力順序が逆に(先に入力した値が演算子の右に、後から入力するほうが演算子の左に)なるので、減算や除算では注意する必要がある。

他の多くの機種では、通常の計算結果を求める操作における = キーの押下により、自動定数モードとなり、その状態で、変化させる値を入力しては = を押すという操作を繰返すことができる。このとき、加・減・除算では演算子の右側(後から入力した値)が固定となり、演算子の左側(先に入力した値)を変える操作になるが、乗算だけは、演算子の左側(先に入力した値)を固定し演算子の右側(後から入力した値)が変化する。

RPN電卓(HP)では、定数計算モードは存在しないが、Tスタックを定数の保持に利用することにより、加数、減数、乗数、除数を再設定することなく、そのまま加算/減算/乗算/除算が可能である。なお、定数による減算/除算を行う場合は、x⇔y でXレジスタとYレジスタを入れ替えればよい。
表示部

古くはニキシー管から蛍光表示管LEDとなり、現在では液晶ディスプレイ表示のものがほとんどとなっている。7セグメント方式のものが多いが、ドットマトリクス表示の製品もある。
電源

初期の電卓は商用電源であったが、数字表示がニキシー管から蛍光表示管や LED となり回路の集積回路化が進むことによって消費電力が減り、乾電池での動作が可能となった。その後、CMOS 型集積回路と液晶ディスプレイ表示の採用により劇的に消費電力を抑えることに成功し、本体の小型化に合わせて、使用する乾電池も単3型から単4型、ボタン型電池へと小型化された。さらには太陽電池の採用により、電池交換不要のものが殆ど占めている。一部の太陽電池方式電卓には、ボタン電池を内蔵したものがあり、低照度時の利用・次回使用時までのデータ保持を可能にしている。プリンター内蔵タイプでは、乾電池やAC電源が必要となる。


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