従来の電動発電機は直流電動機を使用した方式であり、必然的にブラシ・整流子など磨耗部分があり、メンテナンスには手間を要するものであった。それに対し、1980年代からブラシを廃した電動発電機が開発された。特にこれをブラシレスMG、略してBLMGと呼び、区別するようになった。
BLMGは直流1,500 Vを電源にサイリスタインバータを用いて三相交流に変換し、三相交流により三相同期電動機を回転させて三相同期発電機で発電する方式である。同期電動機にはブラシがないため、直流電動機よりもメンテナンスが軽減されるものである。
しかし、依然として回転磨耗部分は残るため、根本的なメンテナンスフリーには至らず、1990年代に入ると静止形変換装置に代わられている。 電動発電機とは、電動機と発電機とが可逆であり兼用されるものを指す場合もある。 以下にその一例を示す。
代替となる機器
インバータ
静止形インバータ (SIV)
整流器
回転変流機
電動機と発電機とが可逆な電動発電機
無停電電源装置
電動発電機に、フライホイール(はずみ車)とエンジン(ディーゼルエンジンが一般的)を組み合わせ無停電電源装置として用いたもの。平常時はエンジンを切り離し、電動発電機に電力を入力しフライホイールを回転させておく。停電時にはエンジンが接続され、フライホイールの慣性(トルク)でエンジンを始動する。始動後はエンジンの動力で発電機を回し発電する。
揚水発電
水力発電所の一種である揚水発電所では、電動発電機に発電用水車とポンプ、もしくは発電用水車とポンプとが可逆なポンプ水車が直結されている。発電機として発電を行う一方、回転方向を逆に設定した上で電力を入力し電動機として揚水を行う。揚水発電所において電動発電機は、発電機としての運転が主体とされており、専ら発電電動機と呼ばれる。
セルダイナモ
小型の内燃機関において、始動時にはセルモーター(スターターモーター)として動作し、始動後はダイナモとして動作する部品。かつては小排気量の自動車やオートバイに使用されたが、発電機が直流のダイナモから、より発電能力が高い交流のオルタネーターに取って替わられ、廃れた。現代の自動車やオートバイはセルモーターとオルタネーターを個別に装備している。
ハイブリッドカー、電気自動車
コンピュータで制御された電動発電機は、バッテリーからの電力を用いて走行し、また減速時には発電しバッテリーに電力を蓄える(回生減速する)ことでガソリンエンジンの苦手とする部分を補い、排出ガスを抑制し燃費を向上させる。
スターターゼネレーター
重量に対する制限の厳しいヘリコプターにおいては、始動用のスターター(直流電動機)と発電用のゼネレーター(直流発電機)が兼用されている。発電についてはオルタネーター(交流発電機)を備える機種もある。
脚注^ “東海道新幹線 周波数変換装置の取り替えについて
関連項目
発電ブレーキ
回生ブレーキ
電気自動車
ハイブリッドカー
外部リンク
日立製作所『日立評論』
1961年別冊40号「最近の車両用電動発電装置 (PDF) 」(鉄道車両用MGについて記載)
1975年11月号「車両用ブラシレス サイリスタ電動発電機 (PDF) 」(鉄道車両用ブラシレスMGについて記載)
典拠管理データベース: 国立図書館
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