雷公
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日本の子供はに腹を出していると「かみなりさまがへそを取りにくるよ」と周りの大人から脅かされる[注釈 1]

雷さまから逃れるための方法は、蚊帳に逃げ込むことや、桑原(くわばら:菅原道真の亡霊が雷さまとなり、都に被害をもたらしたが、道真の領地の桑原には雷が落ちなかったと言う伝承から由来)と唱えることなどが伝えられる。

対になる存在としては風神が挙げられる。

日本書紀推古天皇26年条には、天皇の命で船を造るため、安芸国において船材を探しに山に入ったところ、良い材があったため切ろうとした。ある人が「雷神の宿る木ゆえ、切ってはならない」といって止められるも、天皇の命ゆえといって、強行して切ったところ、大雨となり、落雷が起きた。その後、「天皇の民を犯すのは恥だぞ」と言って雷神を鎮めると、小さな魚となった雷神が木の股に挟まれていたため、焼魚にして食べたという話が記述されている。
姿かたち右上に風袋を掲げた風神、左上にリング状に太鼓を並べた雷神の姿形が見える。(6世紀、敦煌莫高窟 第249窟)

日本では俵屋宗達風神雷神図(屏風)を代表例に、雷さまはの様態で、を持ちふんどしを締め、太鼓(雷鼓)を打ち鳴らす姿が馴染み深い。この姿は鬼門=丑寅:うしとら)の連想から由来する。雷が落ちる時「雷獣」という怪獣が落ちてくるともいう。大津絵のなかでは雷さまは雲の上から落としてしまった太鼓を鉤で釣り上げようとするなどユーモラスに描かれている。
寺社の祭神雷神(英一蝶・画)

上賀茂神社(賀茂別雷神社) - 賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)

天満宮 - 天満大自在天神(てんまんだいじざいてんじん)・火雷天気毒王(からいてんきどくおう)

鹿島神宮 - 建御雷神(たけみかづち)

春日大社 - 建御雷神

塩竈神社・左宮 - 建御雷神

雷電神社 - 火雷神(ほのいかづちのかみ)・大雷神(おおいかづちのかみ)・別雷神(わけいかづちのかみ) など

加波山神社本宮中宮親宮 - 「八雷神(やついかつちのかみ)」

上之村神社(雷電神社)- 大雷神(おおいかづちのかみ)

冨士神社(封込神社)―雷神(らいじん)配祀神

歴史・文学の中の雷神

古事記:建御雷神ほか

季語:雷神は 「雷」「霹靂神(はたたがみ)」「雷鳴」などと同じく「晩夏」の季語である。

能「雷電」は後シテが雷神である。

歌舞伎演目の「鳴神(なるかみ)」は「雷神不動北山桜(なるかみふどうきたやまざくら)」の一部

世界の雷神

シュメールのイシュクル(シュメール語: ??または??または?? - DIM - Ishkur)」「アッカドアダドアッカド語: Adad)」「ウガリットハッドゥウガリット語: ??? - hdw [haddu])」「カナン/古代エジプトバアル」「ヒッタイトのen:Teshub/インドラ」「ヴェーダの宗教/ゾロアスター教/バラモン教/ヒンドゥー教インドラ」「ギリシア神話ゼウス」「ローマ神話ユーピテル」「北欧神話トール」など、世界各地の神話に「雷の神」が現れる。

アイヌ文化では龍と雷は同一視されるため、雷神と龍神は同一の存在とされる。アイヌ民族の祖とされるアイヌラックルの父親カンナカムイも雷神であり龍神とされる。ポンヤウンペが持つクトネシリカの鍔には雄、鞘には雌の龍神が宿っているとされる。短気な性格とされ、カンナカムイの視点で謡われるカムイユーカラには、アイヌの村を訪れた際に自らを敬わない者がいたことに怒って村を焼き、その後に後悔するというものがある[3]

中国では「雷公(Lei Gong)」「雷師」「雷祖」などと呼ばれている(en:List of thunder gods)。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ ヘソを取られるという俗信が何から生じたものかは不明である。一説では雷に打たれて死んだ遺体は臍のあたりがあたかも奪い取られたように真っ黒に焼け爛れることから、こうした伝承が生じたといわれている。また別の説では、寒冷前線による雷雨の場合、前線通過後、気温が急激に下がることが多い。このとき子供が腹を出していると、下痢を起こしやすくなることから、それを戒めるためともいう。

出典^ a b 神道大辞典 1941, p. 355.
^ 大日本神名辞書 1912, p. 299.
^ “ ⇒C175. 短気な沙流の雷神の話(リットゥンナ)”. www.ainu-museum.or.jp. 2021年1月4日閲覧。

参考文献

川口謙二『日本の神様読み解き事典』(4版)柏書房、2001年2月20日。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784760118243。 

福島秋穂「記紀に登場する八雷神 (八色雷公) をめぐって」『国文学研究』第85巻、早稲田大学国文学会、1985年3月15日、1-10頁、ISSN 0389-8636、NAID 120005481129。 

中山太郎「雷神研究」『日本民俗学』 〔第1?4〕神事篇、大岡山書店、1930年10月15日。doi:10.11501/1449486。全国書誌番号:48009377。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1449486。 

明治神社誌料編纂所 編『大日本神名辞書』明治神社誌料編纂所、1912年10月10日。doi:10.11501/951174。全国書誌番号:43018889。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/951174/154。 

下中彌三郎 編『神道大辞典』 三、平凡社、1941年10月25日。doi:10.11501/1913359。全国書誌番号:51007365。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1913359/215。 

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、雷神に関連するカテゴリがあります。


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