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また雲粒の大きさでは核形成の限界から、層状の雲では0 ℃から -10 ℃くらいまで、対流性の雲では -25 ℃くらいまで、ほとんどが過冷却水滴で構成され、またこれらより低く -40 ℃くらいまでは氷晶と過冷却の混在、 -40 ℃以下では氷晶が多い構成になると考えられている[23]
大局的気象の観点から

大気中において、上昇流により断熱冷却を引き起こすメカニズムはいくつかあるが、主なものを挙げる[24]

対流性: 日差し(太陽放射)による加熱は、地形の起伏や雲による遮蔽の有無などによりムラがあり、周囲よりも暖かい地表に接する空気は浮力を得て、上昇する[24]。特に、加熱に起因し山岳の尾根から湧き上がるような上昇流を熱上昇気流(サーマル)と呼ぶ。

収束性: 低気圧の中心や収束帯(シアーライン)でみられる。地表に接する大気の下層では、集まった大気がぶつかり、行き場を失って上空へ向かう[24][25]

地形性

滑昇風[24]: 風の穏やかな朝、谷間に安定成層が発達しているとき、斜面に接する大気は朝日に温められるが鉛直には上昇できず、尾根に向かって斜面に沿いゆるやかに上昇する。

山岳波: 山などの起伏のある地形に沿って強い水平風(山越え気流)が吹くと、強制的に大気が持ち上げられる。尾根を越えると冷やされているため下降するが、再び温められ上昇、その後も上下に振動を繰り返すことでパターンが風下の上空、山から離れたところに伝播する。山に掛かるレンズ雲、笠雲、吊るし雲や、上空に見える波状雲放射状雲をつくる[24][26]




前線性: 暖気と寒気がぶつかる前線では、暖気が寒気の上に乗り上げ、前線面に沿って上昇する[24][27]

温暖前線の上昇流は比較的弱い。典型的には前線面に沿い、地上の前線に近い順に層雲、乱層雲、高層雲、高積雲、巻層雲、巻積雲、巻雲がみられる[27]

寒冷前線の上昇流は比較的強い。典型的には地上の前線の真上に積乱雲、その後面に層積雲や積雲、前面に積雲や層積雲、高積雲がみられる[27]

発達した積乱雲のそばでは、下降流が地表にぶつかって水平に流れ局地前線(ガストフロント)が形成され、これに沿ってアーチ雲がみられることがある[28]


他の自然現象起源や人為起源

山火事火山噴火飛行機の航跡、工場の排熱などを起源に発生する雲がある[29][30][31]


雲をつくる
雲をつくる実験

小規模なものであれば、雲を製造することは容易であり、理科実験や身近にできる科学実験として、広く行われている。

密閉可能な容器の中を少し濡らし、線香などの凝結(固)核を充満させて密閉し、ポンプなどで気圧を下げると、減圧冷却によって中の温度が露点を下回って凝結(固)をはじめ、雲ができる。

熱湯から立ち上る「湯気」、ドライアイスから流れ落ちるような白い冷気、冬の寒い日に白くなる吐いた息、工場や排気などから出る白い蒸気なども、人工的に作ることができる雲だといえる。

また、普通の雲に比べて粒が大きい、霧吹きで作る水滴でも、風をうまくコントロールして空中に浮かべることができれば、雲だといえる。
「雲の種まき」

ただ、人工降雨は容易ではない。現状では、ヨウ化銀などの凝結(固)核を大量に散布することで雲の素をつくる「雲の種まき」が実用化の限度となっている。しかも、「雲の種まき」においても空気中の水蒸気が過飽和あるいはそれに近い状態になければ雲はできにくく、条件も限られる。
種類主な雲種・変種の模式図(英語)

雲には多くの俗称があるが、学術分野では統一した分類と呼称がある。世界気象機関が発行する国際雲図帳に基づいて、雲は10の基本形(類、十種雲形)に分類され、さらに雲によっては数十の種・変種・副変種に分類できる[32][33]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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