難聴
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ブロモバレリル尿素を含有する鎮痛剤[12][13][14]、コールドパーマ第2液[15]などの臭素化合物を含む物質の摂取による中毒症状。
機能性難聴

全く器質的な障害が見られないのにもかかわらず、難聴が生じていると訴える例が見られる。この、聴覚に関わる部分に全く器質的な障害が見られない難聴を、機能性難聴(心因性難聴)と呼ぶ。意図的に難聴を装った結果難聴になった詐聴(さちょう)も含まれる。また、ヒステリー性難聴も含まれ、「ヒステリー」と付けられたことからも女性に多い難聴である。診断には聴性脳幹反応(ABR)測定が用いられる。
罹患者の特徴

かつては中年女性に見られる難聴とされていた。当時から男性よりも女性に多い難聴と認識されており、その点は近年も変わらない。
原因

機能性難聴の正確な原因は不明だが、学校や家庭などでのストレスなどが原因であろうと考えられている。ストレスで音に集中できないため感音難聴になるのではないか、など、推測の域を出ない。
治療

精神的ストレスを見つけその原因を取り除く生活指導、カウンセリングなどの心理療法を施し、耳自体の治療や投薬は通常行われない。なお、詐聴は治療不要である。
聴覚診断検査
純音聴力検査

純音聴力検査(純音オージオメトリー)とは、純音を聴かせ、被験者の聴力の閾値を測定する検査である。JIS 規格の聴力計(オージオメーター)で気導聴力及び骨導聴力の聴力レベルを調べる。遮音性の高い防音室で行われる。

純音聴力検査は、気導聴力検査と骨導聴力検査がある。気導聴力検査では、125 Hz、250 Hz、500 Hz、1000 Hz、2000 Hz、4000 Hz、8000 Hzの合計7つの周波数を検査する。それぞれの周波数の純音を被験者の外耳に JIS 規格の気導受話器を適切に圧着して入力し、それぞれの周波数について被験者が聞こえる最小音圧レベル(閾値)を測定する。骨導聴力検査では、250 Hz、500 Hz、1000 Hz、2000 Hz、4000 Hzの合計5つの周波数を検査する。耳後部に骨導レシーバを当てることで、被験者の骨にそれぞれの周波数の純音を入力する。これにより、それぞれの周波数について被験者が聞こえる最小の音圧レベルを測定する。

検査結果は、聴力図(オージオグラム/audiogram)に記録する。なお、気導検査も骨導検査も、最大出力音圧でも聞こえない場合には、聴力図にはスケールアウト(測定不能)と記録する。検査の結果で、伝音性難聴と感音性難聴と混合性難聴の区別がされる。
閾値上検査

閾値上検査とは、補充現象(リクルートメント現象)の有無を調べる検査である。補充現象とは音圧がわずかに上がっただけで、正常より音が大きく聞こえる現象のこと。補充現象は、感音難聴の中でも内耳性難聴の特徴であり、内耳性難聴と後迷路性難聴の鑑別などに用いられる。なお、この検査は、被験者の閾値よりも少し強い音を使用して行う検査なので、まず先に純音聴力検査を行って、その被験者の閾値を調べておく必要がある。閾値上検査の種類として、両耳バランステスト、音の強さの弁別閾の検査、SISI (Short increment sensitivity index) 検査がある。
語音聴力検査

語音聴力検査とは、言葉が聞き取れるかどうかを調べる検査である。音を感知できるかどうかの検査が純音聴力検査であるのに対し、声の違いという、言わば音色の違いを判別できるかどうかの検査が語音聴力検査ということになる。

語音聴力検査は、被験者に一定の音圧で、被験者が習熟している言語の短い単語や数字、または、被験者が習熟している言語で使用される音(日本語なら「あ」や「い」などの意味のない音)を聞かせるという方法で行う。検査結果は正答率(パーセント)で示され、これを語音明瞭度と呼ぶ。なお、音圧を変えて検査を行い、全ての音圧条件の中で最も高い正答率が得られた時の正答率は何%であったかを、最高語音明瞭度と呼ぶ。

もしも被験者の聴力が正常であれば、最高語音明瞭度は100%となる。また伝音難聴でも、音圧を上げれば(音を強くしてゆけば)語音明瞭度は上がり、100%も出るので、やはり最高語音明瞭度は100%となる。しかし、感音難聴では障害の起こっている部位によって結果が変わってくる。例えば、内耳性難聴では補充現象が起こるために、音圧が上がると逆に言葉が上手く聞き取れない現象(ロールオーバー現象)も起こる。また、最高語音明瞭度も80%程度となる。さらに、皮質性難聴などの場合、純音聴力検査での成績に比べて、語音聴力検査の成績が悪い傾向にある。つまり、純音は十分に聞こえている音圧なのに、その音圧で言葉の聞き取りができないということだ。すなわち、音が鳴っているのは判るのだが、何を言っているのか判別できない状態である。皮質性難聴などの最高語音明瞭度は、50%を切ることもしばしばで、こうなると補聴器も役に立たない。
インピーダンスオージオメトリー

インピーダンスオージオメトリーは、外耳道を密閉し、そこの空気圧を変化させながら行う検査であるため、また、その時に鼓膜反射される音の強さを測定して行う検査であるため、鼓膜に穴が開いている場合は行えない。名称に「オージオメトリー」、すなわち、「聴力検査」と付くものの、この検査は被験者の聴力を測定するものではなく、中耳の抵抗(インピーダンス)を測定する検査である。一定の強さの音を外耳道内に出力し続け、外耳道内の空気圧を、その場の大気圧を基準に-200 [mmH2O] - +200 [mmH2O] の間で連続的に変化させ、その時に鼓膜で反射してくる音の強さを検知する。

検査結果は、ティンパノグラムと呼ばれる、各空気圧で測定された反射音の強さをまとめたグラフで出される[16]。このティンパノグラムのパターンには、Jerger分類と呼ばれる分類がなされている。外耳道内の空気圧が大気圧と同じである時に、最も抵抗が小さくなる(反射音が一番弱くなる)状態を「A型」と呼び、このパターンが正常型である。A型は、後述するA型のバリエーションも含めて、鼓室(中耳の空洞)内の空気の圧力が、大気圧と等しくなっていることを示している。これに対して、どの圧力でもほとんど抵抗が変化せず、したがって反射音もほぼ一定となる状態を「B型」と呼び、このパターンは、本来は空気で満たされているはずの鼓室内に液体が溜まっている時に見られ、例えば、滲出性中耳炎の多くでは、このパターンとなる。それから、外耳道内の空気圧を-100 [mmH2O] 以下(陰圧)にした時に、最も抵抗が小さくなる状態を「C型」と呼ぶ。C型は、鼓室内の空気の圧力が、大気圧よりも低下していることを示している。例えば、何らかの原因で耳管が狭くなってしまった状態(耳管狭窄症)では、このパターンとなる。

なお、まれに滲出性中耳炎でも、このC型を示す例がある。この他、A型にはバリエーションが存在する。A型は外耳道内の空気圧が大気圧と同じである時に最も抵抗が小さくなるわけだが、この時の抵抗の大きさの違いで、3タイプに分類される。抵抗が最も小さくなるのが「Ad型」で、音によって鼓膜が簡単に変形して押し込まれることを意味しており、例えば、本来連鎖しているはずの耳小骨が離断している状態(耳小骨連鎖離断)では、このパターンとなる。抵抗が中庸なのが、先述の「A型」、すなわち正常型。そして、抵抗が最も大きくなるのが「As型」で、音が来ても鼓膜が動きにくいことを意味しており、例えば、耳硬化症では、このパターンとなる。
音叉検査

音叉検査とは、音叉を用いて、音の聞こえの状態を調べる検査である。なお、音叉検査で音の聴取の可否に関する閾値を測定することはできない。この点で純音聴力検査に劣るが、音叉さえあれば手軽に行える検査(大掛かりな装置の不要な検査)であるという利点がある。

音叉検査で使用される音叉は2本で、128 [Hz](ピアノ鍵盤の中央Cの1オクターブ下のCの音)を発する低音の音叉と、2896 [Hz](ピアノ鍵盤の中央Cの3オクターブ上にあるCから、さらに増4度上のFisの音)を発する高音の音叉である。気導聴力検査は、被験者に密着させずに音叉を叩くことで行う。骨導聴力検査は、被験者の耳の後ろに音叉の基底部を密着させた状態で音叉を叩いて行う。

音叉検査でよく知られた検査法としては、リンネ法(リンネ試験)とウェーバー法(ウェーバー試験)がある。
リンネ法


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