離岸流
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遠浅の海岸を中心に発生しやすいため、海水浴客が知らず知らずに巻き込まれ、沖合に流され事故となるケースがある[注 4]。沖合では僅かに高い波も漂流者の視界を奪い方向感覚が掴めなくなり、自分が流されている方向すら分からなくなる。複雑な流れにより急に波浪が高くなることもあり、海水にもまれそのまま溺死してしまう可能性が高い。

各国の海水浴場では毎年のように相当数の犠牲者が出ている。例えばフロリダでは離岸流による死者の数は、竜巻の被害者数とサメの被害者数を足した数よりも大きい。

日本で離岸流によると思われる被害が最も大きかった海浜事故として、昭和30年(1955年7月28日に発生した橋北中学校水難事件がある。三重県津市の中河原海岸において、市立橋北中学校の女子生徒が、水泳の訓練中に見舞われた事故である。海が静穏だったにも関わらず、突然大きな波が襲い、生徒たちが次々と海底に引きずられ36名が死亡した。中河原海岸は遠浅であるが、「付近の安濃川から流れ込むことによってできた窪みがある海底地形と、その川の流れにより発生した離岸流が原因である」と説明されている。地元では、その流れにより発生する「タイナミ」と呼ばれる波が知られている。

なお、離岸流と同様の現象による事故は河川においても確認されている[注 5]
脱出法カリフォルニア州サンディエゴにあるミッションビーチに設置されている警告看板。対処法として、離岸流に対し逆らうのではなく横方向に泳ぐことで逃げられる、もし逃げられない場合は浮くか立ち泳ぎをしてやり過ごすことが記載されている
海岸線と並行方向に泳ぐ

離岸流の速さは秒速1メートルを超えることがあり、これに逆らって浜に泳ぎ着くことは、水泳のオリンピック選手でも無理である[1]。流れに逆らって泳ごうとしても、結局沖合まで徐々に運ばれ、陸から遠ざかることでパニックに陥り、溺死してしまう。したがって、各地の海上保安部などでは、まず海岸線と平行方向(つまり沖へ向かう流れに対して横方向)に泳ぎ、波が砕けた地点まで到達したのちに、浜へ向かって泳ぐことが推奨されている[1][2][5]
浜に向かって斜め45度方向に泳ぐ

日本ライフセービング協会では、泳ぎの得意な人向けの方法として、浜に向かって斜め45度方向(上記のルートの対角線状)に泳ぐことで、離岸流から抜け出す方法を紹介している[5]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ あくまで一例。どこでもこのパターンとは限らない。
^ 海岸に川が流れ込んでいる場合など
^ この調査では着色料とドローンを利用して離岸流の可視化が行われた[3]
^ 例:流されたビーチボール浮き輪を追いかけて知らず知らずに沖合に流される、技術の未熟なサーファーが流れに巻き込まれ沖合に流される、シュノーケリングで海中の景観に気を取られている間に沖合に流される等
^ 2021年8月に宮城県柴田町下名生(しものみょう)の白石川で発生した事故では、海の離岸流と類似した水流が確認されたとしている[4]

出典^ a b c d 離岸流について 串木野海上保安部
^ a b c d 離岸流 第九管区海上保安本部海洋情報部
^ “いわきの海水浴場に緑色の帯、海開きを前に「離岸流」調査する着色剤”. 読売新聞 (2022年7月7日). 2022年7月13日閲覧。
^ “2人水死の白石川で「離岸流」確認 水難学会が現地調査”. 河北新報社. 2022年8月2日閲覧。
^ a b離岸流を知っていますか?|水辺で安全に楽しもう|溺水事故防止 日本ライフセービング協会

関連項目

ライフセービング(ライフセーバー)

海流

外部リンク

海水浴での水難事故を未然に防ごう! - 国土交通省 国土技術政策総合研究所

リーフカレントに気をつけよう - 海上保安庁 第十一管区海上保安本部

「五輪選手でも逆らえない」離岸流、海水浴で注意…「どこの海岸でも発生する」(読売新聞、2022年7月22日)


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