国際結婚の増加と共に、国際離婚も増加傾向にある。日本における届け出によれば、平成18年の離婚件数25万7475件のうち、夫妻の片方が外国人であったのは1万7102件(6.6%)であった[48][49]。
日本では協議離婚の制度が認められているが、離婚するか否かを当事者の完全な意思に委ねる制度を採用する国は比較的少数であり、離婚そのものを認めない国、一定の別居期間を経ないと離婚が認められない国、行政機関や裁判所による関与を要求する国などがある。
このように国によって離婚の要件や手続(特に手続に国家が関与する方法・程度)が異なるため、ある国での離婚の効力が、別の国では認められないこともありうる。例えば、裁判による離婚制度しか存在しない国では、当事者の意思に基づく協議離婚はありえないから、日本で成立した協議離婚の効力が認められるとは限らないし、裁判所が関与する調停離婚についてもその効力が認められる保障がない。
このような事情があるため、裁判離婚しか認めていない国の国籍を有する者が日本で離婚する場合は、離婚の準拠法の問題もあり、当事者による離婚の合意ができている場合でも、前述の審判離婚や裁判離婚をする例が少なくない。
千葉前法務大臣は、アメリカ合衆国などの要請を受けて[50]、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の批准を前向きに検討していると述べた。日本政府は2010年(平成22年)8月14日、ハーグ条約を翌年に批准する方針を固めた[51][52]。その後、第180回国会において批准承認案が提出され(2012年(平成24年)3月9日)たが、第181回国会まで継続審議になったものの衆議院解散で一旦廃案となった。ついで第183回国会に再度、批准承認案が提出(2013年(平成25年)3月15日)され、2013年(平成25年)5月22日に国会の承認がされた。 この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 日本法では、離婚について民法(明治29年法律第89号)第763条
日本法における離婚
現行法は、離婚の形態として、協議離婚(協議上の離婚)、調停離婚、審判離婚、裁判離婚(裁判上の離婚)を規定している。 夫婦は、その協議で、離婚をすることができる(763条 協議離婚は戸籍法の定めるところにより届け出ることを要する(764条
協議離婚
協議離婚の意義
協議離婚の成立
離婚の届出は、その要式性に関する規定(739条2項)及び親権者の決定の規定(819条1項)その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない(765条1項)。ただし、離婚の届出がこの規定に違反して誤って受理されたときであっても離婚の効力は失われない(765条2項)。
届出がない場合には法律上の離婚の効果は生じないが(協議離婚における届出は創設的届出である)[15]、事実上の離婚としてその法律関係の扱いについては問題となる[55]。
離婚は当事者が離婚意思をもって合意すること要する(通説・判例)[56]。戸籍実務では夫婦の一方が他方に離婚意思がない(翻意した場合を含む)にもかかわらず離婚の届出が行われるのを防ぐため、当事者の一方が離婚の届出について不受理とするよう申し出る制度として離婚届不受理申出制度が設けられている(昭51・1・23民事2第900号民事局長通達)[57][58][59]。
協議離婚の無効・取消し
協議離婚の無効
協議離婚には離婚意思が必要とされ、この離婚意思の内容については実質的意思説(当事者間において真に離婚をするという実質的意思を要するとする説。実体的意思説。通説)と形式的意思説(離婚の届出をするという形式的意思で足りるとする説。判例として大判昭16・2・3民集20巻70頁、最判昭38・11・28民集17巻11号1469頁)が対立する[60][61][62]。ただし、無効な協議離婚も慎重な判断の下に追認しうる[14][63]。
協議離婚の取消し