離婚
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」と述べている[17]

イエス・キリストは神の創造から夫婦は一体であり、神が結び合わせたものを、人が引き離してはならないと命じた[18]。イエス・キリストは「不貞[15]、「不品行」[19]、「不法な結婚」[20]以外に離婚を認めておらず、離婚された女と結婚する者も姦淫の罪を犯すと教えた[21][20]。イエス・キリストのこのことばはカトリック教会でもプロテスタント教会でも、離婚を禁じるイエス・キリストの命令であると受け止められてきた[22]

ただ、現実には夫婦間に不和を生じて婚姻が実質的に破綻状態となる場合もあるため、教会法では離婚の否定を原則としつつ、婚姻の無効、未完成婚、別居制度などの方法によってこれらの問題の解決が試みられたとされる[14]
カトリック教会[ソースを編集]

カトリック教会で[教会法上、離婚が存在しない。民法上の離婚をして再婚をした場合は、教会法上の重婚状態とされ、その罪のため聖体拝領を受けることが出来ない。性的に不能であった場合は結婚そのものが成立していないので、バチカンにはかったうえで婚姻無効が認められることがあるが、「離婚」ではない(『公教要理』『カトリック教会のカテキズム』による)。

ペトルス・ロンバルドゥス命題集』4.31は、配偶者が姦通して離れた場合でも再婚してはならないとしている[23]
プロテスタント教会[ソースを編集]

ウェストミンスター信仰告白は相手が姦淫の罪を犯した場合にのみ離婚を認めている。潔白な方は罪を犯した配偶者を死んだ者として扱う。マーティン・ロイドジョンズも『結婚することの意味』(いのちのことば社)において、離婚が認められる唯一の理由は、相手の姦淫だと断言している。モーセの時代の『司法律法』で姦淫は死刑になるため、離婚ではなく、死刑によって結婚が終了した[24]

ジャン・カルヴァンは『キリスト教綱要』4篇19章「5つの偽りの聖礼典」の37「ローマ教会の婚姻に関する無意味な規定」で相手が姦通の罪を犯したために離婚しても、再婚してはならないとするローマ教会の規定を「迷誤を隠蔽」し専制を行っているとして批判している(中山昌樹渡辺信夫の翻訳による)。
近代以降[ソースを編集]

近代以降、西欧においては離婚の法的規律は教会によるものから国家によるものへと移行した(婚姻の還俗化)[25][26][7][13]。そこでも当事者の合意による婚姻の解消には消極的であり、配偶者の一方に夫婦間の共同生活関係の継続を困難にさせるような有責行為がある場合に限って、有責配偶者への制裁として、その相手方からの離婚請求のみを認める有責主義(主観主義)がとられ、現在でもカトリック教国でこの法制をとる立法例が多いとされる[25][27]

これは根本では「現在ある人間関係を維持する」ことを意識している。同意のない離婚を事実上不可能にし、離婚の選択権を、離婚の原因(落ち度)の無い配偶者にゆだねている。これによって、配偶者が現在の人間関係を続けることを望めば、離婚できないようにしている[28]

その後、自由主義の浸透とともに1960年から1970年代にかけて欧米では次々と離婚法改正が図られ、夫婦間の共同生活関係が客観的に破綻している場合には離婚を認める破綻主義(客観主義・目的主義)への流れを生じるに至ったとされる[25][7][9][13]
イスラム世界の離婚史[ソースを編集]詳細は「en:Divorce in Islam」および「離婚 (クルアーン)」を参照
エジプト

多くのイスラム諸国同様、夫が宣言するだけで成立する「口頭離婚」という慣習が古くから存在する。世俗主義的なシーシー政権は2017年に認めない方針を示したが、イスラム教指導者が容認している。逆に妻が離婚を望んで夫が拒否した場合は、妻が裁判所で正当な理由を証明する必要がある。このため夫婦喧嘩で夫を怒らせて離婚を口にさせ、離婚に持ち込む女性もいる[29]
インド
詳細は「en:Triple Talaq in India」を参照

インドのイスラム教徒には古来、Talaq(タラーク、離別の意)を3回唱える。もしくはタラークを3回書いた手紙などで伝えると離婚できるとしている。この3回意志表明することをトリプルタラークと呼ぶが、一方的で女性の人権を脅かしてると考えた人権家達によって、インド最高裁判所に「時代遅れ」だと公益訴訟(Public interest litigation)が起こされた。2017年5月13日に、法律で「最悪の離婚形態」であると規定された[30][31]

また、この慣習はサウジアラビアモロッコアフガニスタンパキスタンなどのムスリムが多数を占める国々でも禁止されている[32][33]


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