古代ローマ法やゲルマンの慣習法において離婚は比較的自由であったとされるが、中世ヨーロッパに入ってキリスト教の影響下、西洋では婚姻非解消主義が一般化することとなる[13]。教会法における婚姻非解消主義は西欧における婚姻法制に大きな影響を与えたとされる[14][7]。
『レビ記』21章には、祭司が子孫を汚すことのないために、「離婚された女」「あるいは淫行で汚れている女」を娶ってはならないとする規定がある。『マラキ書』2章16節にはイスラエルの神は離婚を憎むと記されている[15][16]。『ホセア書』では主はホセアに「淫行の妻と、淫行によって生れた子らを受けいれよ。」と述べている[17]。
イエス・キリストは神の創造から夫婦は一体であり、神が結び合わせたものを、人が引き離してはならないと命じた[18]。イエス・キリストは「不貞」[15]、「不品行」[19]、「不法な結婚」[20]以外に離婚を認めておらず、離婚された女と結婚する者も姦淫の罪を犯すと教えた[21][20]。イエス・キリストのこのことばはカトリック教会でもプロテスタント教会でも、離婚を禁じるイエス・キリストの命令であると受け止められてきた[22]。
ただ、現実には夫婦間に不和を生じて婚姻が実質的に破綻状態となる場合もあるため、教会法では離婚の否定を原則としつつ、婚姻の無効、未完成婚、別居制度などの方法によってこれらの問題の解決が試みられたとされる[14]。 カトリック教会で[教会法上、離婚が存在しない。民法上の離婚をして再婚をした場合は、教会法上の重婚状態とされ、その罪のため聖体拝領を受けることが出来ない。性的に不能であった場合は結婚そのものが成立していないので、バチカンにはかったうえで婚姻無効が認められることがあるが、「離婚」ではない(『公教要理』『カトリック教会のカテキズム』による)。 ペトルス・ロンバルドゥス『命題集』4.31は、配偶者が姦通して離れた場合でも再婚してはならないとしている[23]。 ウェストミンスター信仰告白は相手が姦淫の罪を犯した場合にのみ離婚を認めている。潔白な方は罪を犯した配偶者を死んだ者として扱う。マーティン・ロイドジョンズも『結婚することの意味』(いのちのことば社)において、離婚が認められる唯一の理由は、相手の姦淫だと断言している。モーセの時代の『司法律法』で姦淫は死刑になるため、離婚ではなく、死刑によって結婚が終了した[24]。 ジャン・カルヴァンは『キリスト教綱要』4篇19章「5つの偽りの聖礼典」の37「ローマ教会の婚姻に関する無意味な規定」で相手が姦通の罪を犯したために離婚しても、再婚してはならないとするローマ教会の規定を「迷誤を隠蔽」し専制を行っているとして批判している(中山昌樹、渡辺信夫の翻訳による)。
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