集団免疫
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例えば麻疹の基本再生産数(R0)は12-18と極めて高く、1人から12-18人に感染するので、1-1/18=0.94で集団免疫閾値 (HIT)は94%であり、流行を防ぐには、高い予防接種率(95%)が必要となる[10][82][17]。なお、この考え方はあくまでも理論的なものであり、実際の応用にはさらに複雑な理論が用いられる[10]

集団免疫の理論的根拠は、一般に、ワクチンが強固な免疫を誘導すること、集団がランダムに混合すること、病原体が免疫反応を回避するような進化しないこと、病気に対するヒト以外の媒介者が存在しないことを前提としている[1]
感染症の基本再生産数

各感染症の基本再生産数( R0 )と集団免疫閾値(HIT)の推定値[122]感染症感染経路R0HIT
麻疹エアロゾル12?18[123][124]92?94%
水痘エアロゾル10?12[125]90?92%
おたふく風邪呼吸器飛沫10?12[126]90?92%
COVID-19 (オミクロン株)呼吸器飛沫とエアロゾル9.5[127]89%
風疹呼吸器飛沫6?7[128][129][130][131]83?86%
COVID-19 (デルタ株)呼吸器飛沫とエアロゾル5.1[132]80%
ポリオ糞口経路5?7[128]80?86%
百日咳呼吸器飛沫5.5[133]82%
COVID-19 (アルファ株)呼吸器飛沫とエアロゾル4?5[134]75?80%
天然痘呼吸器飛沫3.5?6.0[135]71?83%
COVID-19 (起源株)呼吸器飛沫とエアロゾル[136]2.9 (2.4?3.4)[101]65% (58?71%)
SARS呼吸器飛沫2?4[137]50?75%
ジフテリア唾液2.6 (1.7?4.3)[138]62% (41?77%)
風邪 (例:ライノウイルス)呼吸器飛沫2?3[139]50?67%
エボラ (2014の流行)体液1.8 (1.4?1.8)[140]44% (31?44%)
インフルエンザ (2009年のパンデミック株)呼吸器飛沫1.6 (1.3?2.0)[141]37% (25?51%)
インフルエンザ (季節性株)呼吸器飛沫1.3 (1.2?1.4)[142]23% (17?29%)

数理モデル感染症における集団免疫閾値(縦軸)と基本生産数(横軸)の関係詳細は「感染症の数理モデル(英語版)」を参照

病気に対して免疫をもつ人は病気の拡大の障壁として機能し、他人への伝染を低下させたり防いだりする[5]。個人の免疫は自然感染や予防接種などの人為的手段によって獲得される[5]。免疫をもつ人の割合が集団免疫閾値(herd immunity threshold、HIT)または集団免疫レベル(herd immunity level、HIL)と呼ばれる臨界比率に達すると、病気は集団内に維持されなくなり、病気の蔓延は終息する[12][121]。この閾値は基本再生産数 R0 から計算することができる。R0は、均質で十分に混ざり合う集団、すなわち全ての人々が接触を行う、完全に感受性の集団において、個々の症例から新たに引き起こされる感染の平均数である[143][121][52]。集団内で感染に対して感受性の人々の割合を S とすると、 R 0 ⋅ S = 1 {\displaystyle R_{0}\cdot S=1}

となる時点で伝染は定常状態となる。S は、免疫をもつ人の割合 p を用いて (1 − p) と書き換えることができる。すると、上の式は次のように変形される。 R 0 ⋅ ( 1 − p ) = 1   , {\displaystyle R_{0}\cdot (1-p)=1\ ,} 1 − p = 1 R 0   , {\displaystyle 1-p={\frac {1}{R_{0}}}\ ,} p c = 1 − 1 R 0   . {\displaystyle p_{c}=1-{\frac {1}{R_{0}}}\ .}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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