となる時点で伝染は定常状態となる。S は、免疫をもつ人の割合 p を用いて (1 − p) と書き換えることができる。すると、上の式は次のように変形される。 R 0 ⋅ ( 1 − p ) = 1 , {\displaystyle R_{0}\cdot (1-p)=1\ ,} 1 − p = 1 R 0 , {\displaystyle 1-p={\frac {1}{R_{0}}}\ ,} p c = 1 − 1 R 0 . {\displaystyle p_{c}=1-{\frac {1}{R_{0}}}\ .}
p が等式の左辺に来るように変形し、新たに pc と書かれた値が集団内での病気の伝染の拡大を止めるために必要な臨界比率、すなわち集団免疫閾値(HIT)である[143]。R0は伝染性の指標として機能し、R0値が低い場合はHITは低くなり、一方R0値が高い場合はHITは高くなる[121][52]。例えば、R0が 2 の場合、HITは理論上わずか50%であるが、R0が 10 の場合HITは90%となる[121]。これらの計算は、集団が完全に感受性である、つまり病気に対する免疫をもっている人がいないことを仮定している。現実には、どの病気のどの時期の場合でも、免疫をもつ人は集団内にさまざまな割合で存在する[143]。このことを考慮するために実効再生産数 Re(effective reproductive number、Rt と書かれることもある)が用いられ、時点 t における感受性集団の割合をR0に乗ずることで、時点 t に引き起こされる感染の平均数が得られる。Reが 1 より低く維持された場合、集団内での症例は徐々に減少し、病気は排除される[143][121][144]。ある集団において病気に対する免疫をもつ人の割合がHITを上回ると、症例数はより早く減少し、アウトブレイクはさらに起こりにくくなり、起こったとしてもより小規模なものとなる[1][143]。Reが 1 を上回ると、病気の発生数の減少はみられなくなり、病気は集団内を活発に拡散し、通常よりも多くの人々に感染が起こる[53][144]。
これらの計算には集団が均質で十分に混ざり合う、すなわち集団内の全ての人々が接触を行うという2つ目の仮定が存在しているが、現実集団のモデルとしては、限られた数の他人と比較的密接な接触を行う社会的ネットワークとしての記述のほうが適切である。このようなネットワークでは、地理的・物理的に近接している人物の間だけで伝染が起こる[1][52][53]。ネットワークの形状とサイズによって病気のHITは変化し、発生数は増加したり減少したりする可能性が高い[121][52]。均質でない集団においては、R0は感染力をもつ「典型的な」人物によって引き起こされる症例数の指標とみなされ、その値は個々人がネットワーク内でどのように相互作用しているかに依存するようになる[1]。高度に連結されたネットワークでは病気の伝染はより容易に起こり、R0とHITは連結の少ないネットワークよりも高くなる[1][53]。 集団免疫はそれ自身が特定のウイルスに対する選択圧
ウイルスの進化への影響
選択圧