これらの計算には集団が均質で十分に混ざり合う、すなわち集団内の全ての人々が接触を行うという2つ目の仮定が存在しているが、現実集団のモデルとしては、限られた数の他人と比較的密接な接触を行う社会的ネットワークとしての記述のほうが適切である。このようなネットワークでは、地理的・物理的に近接している人物の間だけで伝染が起こる[1][52][53]。ネットワークの形状とサイズによって病気のHITは変化し、発生数は増加したり減少したりする可能性が高い[121][52]。均質でない集団においては、R0は感染力をもつ「典型的な」人物によって引き起こされる症例数の指標とみなされ、その値は個々人がネットワーク内でどのように相互作用しているかに依存するようになる[1]。高度に連結されたネットワークでは病気の伝染はより容易に起こり、R0とHITは連結の少ないネットワークよりも高くなる[1][53]。 集団免疫はそれ自身が特定のウイルスに対する選択圧 ある血清型に対し高水準の免疫が存在するためにその血清型の有病率が減少し、そこへ置き換わる形で他の血清型が増加する、血清型置換(serotype replacement)または血清型シフト(serotype shifting)と呼ばれる現象が生じることがある[151][152]。肺炎球菌Streptococcus pneumoniaeに対する初期のワクチンは、薬剤耐性型を含む、ワクチンに含まれる血清型の鼻咽頭保菌率を大きく減少させたが、その減少はワクチンに含まれない血清型の保菌率の増加によって完全に相殺された[30][151][152][153]。しかし、ワクチンに含まれない血清型はワクチンに含まれる血清型よりも侵襲性が低かったため、疾患の発生数が比例して増加することはなかった[151]。その後、新たに出現した血清型にも効果がある肺炎球菌ワクチンが導入され、その増加に対抗することができるようになった[30]。将来的なさらなるシフトの可能性は残されているが、それに対処する戦略としては、ワクチンに含まれる血清型の拡張や、より多くの表面抗原を含む全細胞不活化ワクチン、または複数の血清型に存在するタンパク質を標的としたワクチンの開発などが挙げられる[30][154]。 アストラゼネカとワクチンを共同開発責任者の1人、オックスフォード大学のアンドリュー・ポラード
ウイルスの進化への影響
選択圧
血清型の置換
COVID-19