集合
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U {\displaystyle \mathbb {U} } はグロタンディーク宇宙を表す。

濃度詳細は「濃度 (数学)」を参照

有限個の元からなる集合を有限集合 (ゆうげんしゅうごう、: finite set) と呼び、集合 A の元の個数を #(A), |A|, card(A) などの記号で表すことが多い。有限集合でない集合を無限集合 (むげんしゅうごう、: infinite set) という。無限集合に対しても「個数」の概念を広げて、濃度 (のうど、: potency) 、または基数 (きすう、: cardinal number, : cardinality) というものを考える。個数を数える代わりに、ある集合を使って、その元で別の集合をラベル付け (: indexing; 添字付け) して、一対一の対応がとれるかどうかを調べるのである。そうすると有限集合の濃度はちょうど元の個数で決まるので、ちゃんと無限集合への「個数」の拡張となる概念が定まっていることが確認できる。

無限集合はどれも「無限個」の元を持っているわけだが、どの無限もみな同じというわけではなく、濃度の概念ではたくさんの無限を区別して扱うことになる。たとえば、自然数と有理数が同じ濃度を持つ、自然数と実数は真に異なる濃度を持つといったような事実は数学を学ぶ者にとってよく知られた内容である。同様の事実に、平面 R2 と数直線 R は同じ濃度を持ち、平面を覆いつくす平面充填曲線と呼ばれる不思議な平面曲線が何種類も存在することが述べられる。より次元の高い空間でも同様で、空間を埋め尽くす空間充填曲線が構築される。異なる次元をもつ空間が同じ濃度をもつというのは、次元や濃度が一方が他方を測るようなものではない異なる尺度であることを表しているのである。
集合の演算

いくつかの集合を扱い、その関係性について論じるとき、もともと考えていた集合たちから新しい集合を作って調べるというのは有効な手段の一つである。これらの操作は、集合に対する演算と見なすことによって、集合族に関するいくつかの代数系を提供する。それらの代数系を抽象代数系と見なせば、抽象代数学の一般論を適用することでまたいくつかの概念を提供することになる。
基本的な集合演算
結び・合併・和
詳細は「
合併 (集合論)」を参照 結びの模式図二つの集合を「くっつけ」て一緒にしてしまうことで新しい集合を取り出すことができる。加法的な集合族の基本となる演算のひとつ。和集合。 A ∪ B := { x ∣ x ∈ A ∨ x ∈ B } . {\displaystyle A\cup B:=\{x\mid x\in A\lor x\in B\}.}
交わり・交叉・積
詳細は「交叉 (集合論)」を参照 交わりの模式図二つの集合の共通した部分を見つけることで、新しい集合を取り出すことができる。乗法的な集合族の基本となる演算。共通部分。 A ∩ B := { x ∣ x ∈ A ∧ x ∈ B } . {\displaystyle A\cap B:=\{x\mid x\in A\land x\in B\}.}
差・相対補
詳細は「差集合」を参照 差集合の模式図二つの集合のうちの一方の集合について、それに帰属する元のうち、同時に他方にも含まれる元を取り除いて新しい集合を作ることができる。差は一方と他方の補集合との交わりであり、乗法的な演算である。 A ∖ B := { x ∣ x ∈ A ∧ x ∉ B } . {\displaystyle A\smallsetminus B:=\{x\mid x\in A\land x\notin B\}.}
補・絶対補
詳細は「差集合」を参照 補集合の模式図全体集合(普遍集合)が与えられ、任意の集合は全体集合の部分集合であるという仮定のもとで、一つの集合の全体からの差。勝手な集合はその補集合と交わりを持たず、それらの和は全体集合に一致する。 ∁ A := { x ∣ x ∉ A } . {\displaystyle \complement A:=\{x\mid x\notin A\}.}
対称差
詳細は「対称差」を参照 対称差の模式図二つの集合の結びに帰属する元から、その交わりに属する元を取り除いて新しい集合を考えることができる。これは結びから交わりを引いた差である。結びと同様に加法的な演算。 A △ B := ( A ∖ B ) ∪ ( B ∖ A ) . {\displaystyle A\,\triangle \,B:=(A\smallsetminus B)\cup (B\smallsetminus A).}

指示関数はこれらの集合演算を 0 と 1 からなる世界の代数的な演算に置き換える手段を与える。 A ↔ 1 A ( x ) := { 1 ( x ∈ A ) 0 ( x ∉ A ) . {\displaystyle A\leftrightarrow \mathbf {1} _{A}(x):={\begin{cases}1&(x\in A)\\0&(x\notin A)\end{cases}}.}
その他の演算

もとの全体集合の中に演算結果を求めるのではなく、むしろ引数となる集合たちをもとに新しい集合を作り出すことを目的とする演算もある。

詳細は「
冪集合」を参照 三元集合の冪の模式図与えられた集合に対して、その冪集合とは与えられた集合に包含される集合全体の集合である。ある集合の冪集合はその集合の部分集合からなる集合族のなかで最大のものであると言っても同じである。 P ( X ) := { S ∣ S ⊆ X } . {\displaystyle {\mathcal {P}}(X):=\{S\mid S\subseteq X\}.}
直積
詳細は「直積集合」を参照 直積の模式図二つの集合に対し、それぞれに帰属する元の順序対を要素とする集合を作ることができる。 X × Y := { ( x , y ) ∣ x ∈ X ∧ y ∈ Y } . {\displaystyle X\times Y:=\{(x,y)\mid x\in X\land y\in Y\}.}
直和・非交和
詳細は「非交和」を参照二つの集合の、交わりを持たない和。
配置集合・写像空間
詳細は「配置集合」を参照ある集合から別の集合への写像を一つの元と見なすならば、その全体として新たな集合が見出される。直積集合は、順序数の各元に任意の集合を対応させる写像からなる配置集合と見ることもできる。 Y X := { f ∣ f  is a mapping from  X  to  Y } . {\displaystyle Y^{X}:=\{f\mid f{\text{ is a mapping from }}X{\text{ to }}Y\}.}

詳細は「商集合」を参照 集合の類別の模式図集合に同値関係を与えるとき、各類をその要素とする集合を考えることができる。


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