障害
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この「disorder」は国際障害分類において「変調」を意味する[6][7]世界保健機関 (WHO) による『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版の『精神および行動の障害』において、「disorder」の語を使用すると定義された。ただし、日本ではこの「disorder」の訳語を「障害」ではなく「症」に変更する動きがあり、2018年に日本精神神経学会から提案された[8]
身体などの機能障害[ソースを編集]

国際障害分類におけるimpairmentは生理的な機能障害を意味し、disabilityは機能障害の結果、ものごとを遂行するための能力障害を意味する[9]。例えば、「足が動かない」という身体的事実を機能障害(impairment)と呼び、その結果として生じる「歩けない」という状態を能力障害(disability)と呼ぶ。そして、歩けないために生じる「学校に通えない」「仕事に就けない」といった不都合な状況を社会的不利(handicap)と呼ぶ[10]

イギリスやアメリカの社会モデルは、このうちimpairmentではなくdisabilityに焦点を当てて、社会への参加制約を取り払うことを優先し、特にイギリスでは障害者の無力化は社会制度によって起こされているとして、disablementといった用語も用いられる[1][10]
日本において[ソースを編集]

1950年に施行された「身体障害者福祉法」において、障害者および障害の語が用いられたことから、それまで用いられていた「不具者」「癈疾者」といった語に代わって、「障害者」という新しい単語と、「障害」という語の新たな用法が一般に定着した[注 2]。また、その後、「知的障害(者)」、「精神障害(者)」の分野においてもこれらの語が使われるようになった。

近年[いつ?]はこれらの語に関して、人権を尊重して差別用語化してきたとされる「害」の字を避け「障がい者」「障がい」と書くべきとする動きが、当事者およびその周辺から広まってきている。とくに、東京都多摩市が2000年に交ぜ書きの「障がい者」「障がい」を採用して以降は地方自治体を中心に交ぜ書きが広まりつつある[11]。しかしこれらに対して、本質的な差別の解消や待遇の改善に何らつながるものではないとして、当事者サイドの一部を含め、批判する向きもある[12]。また、「障碍者」「障碍」を使うべきとして、佐賀県知事古川康らによる交ぜ書きそのものが好ましくないとする批判もある[13]

2010年6月7日に文化審議会国語分科会より文部科学大臣に答申された改定常用漢字表では、2009年3月と11月の2回にわたり実施されたパブリックコメントで「碍」の追加を要望する意見が多数にのぼったが、審議の結果「碍」の追加を拒否する方針が決定された[14]。但し、2009年12月に設置された内閣府の障がい者制度改革推進本部で公文書における「障害」の表記見直しについて議論されている為、同本部に設置されている障がい者制度改革推進会議より文化審議会に対して特に「碍」の追加を求められた場合は、11月に予定されている内閣告示の前に改めて議論するものとされている[15]
医学的障害の種類[ソースを編集]

身体障害

視覚障害

聴覚障害

言語障害

運動障害

内部障害


知的障害

発達障害


精神障害

発達障害

なお、障害学上の障害については障害学(英語版)を参照。
脚注[ソースを編集][脚注の使い方]
注釈[ソースを編集]^ 民間で「障碍」を使用している企業・団体には、日本IBM: ⇒IBM、ウェブ・アクセシビリティーを促進するコラボレーション・ソフトウェアを開発マイクロソフト: ⇒http://www.microsoft.com/japan/enable/products/vmanual/default.mspx 視覚障碍 (しょうがい) 者向け簡易マニュアル]、コクヨ: ⇒特例子会社のコクヨKハート障碍者雇用優良企業の認証を取得、ボイジャー: ⇒目の見えない人に本を届ける 視覚障碍者の読上げソフトとドットブックが手を結ぶ日本映像ソフト協会: ⇒Q20. ビデオソフトに音声ガイドや日本語字幕が入っていない作品があります。目や耳に障碍(しょうがい)をお持ちの方でも楽しめるソフトはありませんか?、 ⇒視覚障碍者読書支援協会などがある。
^ しかし丸山一郎によれば[要検証 – ノート]、すでに1932(昭和7)年施行の「救護法」において「精神又は身体的障碍のある者」といった表現が使われており、こうした意味の語として「障害」よりも先に「障碍」が使われていたことは間違いがないという。とはいえ、明治期の法令でもすでに障害、障碍、共に使用されており[要検証 – ノート]、医学分野においても、たとえば「栄養障害」は「栄養障碍」とともに明治期より用例があり、両者は混用されていた。なお、身体障害者福祉法の施行に先んじて1946年には当用漢字が告示されており、「碍」の字はもはや公文書に使うべきでないとされていた。

出典[ソースを編集]^ a b c d e 「障害」の表記に関する作業チーム『「障害」の表記に関する検討結果について』 2010.
^ a b 「夕刊読売新聞」2021年2月26日4版
^ JIS X 0014:1999(日本産業標準調査会経済産業省) (ISO/IEC 2382-14 : 1997)
^ JIS Z 8115:2000(日本産業標準調査会経済産業省
^ 当麻喜弘, 南谷崇, 藤原秀雄,「フォールトトレラントシステムの構成と設計」,槇書店, 1991.
^ 上田敏「 ⇒国際障害分類初版(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)へ: 図1」『ノーマライゼーション 障害者の福祉』2002年6月号、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会。 
^ 社会・援護局障害保健福祉部企画課『「国際生活機能分類?国際障害分類改訂版?」(日本語版)の厚生労働省ホームページ掲載について』厚生労働省、2002年8月5日。https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html。 
^ 松本ちひろ「ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」構造と診断コード」『精神神経学雑誌』第123巻、2021年、42-48頁、2024年5月1日閲覧。 
^ 佐藤久夫「 ⇒WHO国際障害分類試案の内容」『リハビリテーション研究 STUDY OF CURRENT REHABILITATION』第71号、公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会、1992年4月。 
^ a b 志村哲郎 中村文哉(編)『生と死の人間論:社会福祉学と社会学の<あいだ>で』 ふくろう出版 2009年、ISBN 978-4-86186-377-6 p.58.
^“「障がい」、「障がい者」の表記の使用について”. 山形県庁. ⇒http://www.pref.yamagata.jp/health/handicap/6090004publicdocument200703157555717731.html 2010年8月22日閲覧。 
^ 半田市「障がい者」と平仮名表記(中日新聞、2008年12月3日)


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