陸軍中将
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廃藩置県の後、明治4年8月[注釈 10]の官制等級改定[21]及び兵部省官等改定[22]や明治5年1月の官等改正[23]及び兵部省中官等表改定など数度の変更があり[22] [注釈 11]、明治5年2月の兵部省廃止及び陸軍省海軍省設置を経て[25] [注釈 12]、明治6年5月8日太政官布達第154号[27] [28]による陸海軍武官官等表改正で軍人の階級呼称として引き続き用いられ[注釈 13]西欧近代軍の階級呼称の序列[注釈 9]におけるlieutenant general、vice admiralの訳語に中将の語が充られた[注釈 1]。なお、フランスにおいては1917年度版Almanach Hachette82頁に掲載されていた階級チャートでGeneral de divisionと記載されている。陸軍では中将は主に師団長軍司令官などに、海軍では艦隊司令長官などに補職された。また、文官としての親任官たる陸軍大臣および海軍大臣の職にある者は、相手が大将であっても行政命令を発することが出来た[31]

大日本帝国陸海軍の中将は高等官一等相当とされ、勲三等乃至一等に叙せられ、武功著しい場合は功三級乃至一級の功級に叙せられ金鵄勲章を授与された[32]。また、親補職 (しんぽしょくと読む) にある者はその就任中は親任官である大将に準ずる待遇とされ、次官、参謀次長、および軍令部次長よりも格上の扱いを受けた。第二次世界大戦時、部隊規模の拡大に伴い、上級中将ないし上級大将の階級を新設しようという案があったが、実現には至らなかった。明治初期のアメリカ陸軍は、本階級を少将相当とし、日本軍の将官を大将、少将、准将の三階級制と見做していた[33]。これは、当時、フランス式の軍制を採っていた事に起因し、外套の袖、軍刀の護拳および刀緒の星章が大将が5つ、中将が3つ、そして少将が2つであったため、中将は師団将軍に、少将は旅団将軍に対応していたためである[34] · [35]
警察予備隊(保安隊)・海上警備隊(警備隊)

陸上自衛隊の前身である警察予備隊では警察監が、後の保安隊では保安監が、そして海上自衛隊の前身である海上警備隊では海上警備監が、後の警備隊では警備監が自衛隊の発足時に将に呼称を変更されていることから、中将相当とされているが、実際には、海上警備監を除き、警察監は総隊総監たる警察監とそれ以外の警察監に保安監は長官の定める職に就く(甲)とそれ以外の職に就く(乙)に分かれ、総隊総監たる警察監および保安監(甲)は三つ星、警備隊では第二幕僚長たる警備監は海軍中将相当の袖章を階級章にしていたため将の、総隊総監以外の警察監および保安監(乙)は二つ星、一方の警備隊では第二幕僚長以外の警備監が太、細、中の配列の金線の袖章[36]を階級章にしていた事から将と将補の中間の上級少将あるいは下級中将とでも言うべき位置にあり、その経緯から米軍等の2スターランクの立ち位置にあった。自衛隊発足時にこの区分は無くなり、階級章も1962年12月まで三つ星に統一された。なお、海上警備監は海上警備隊総監ただ一人であったため、海軍中将相当の袖章のみである。
自衛隊「」も参照

自衛隊では統合幕僚長2006年以前は統合幕僚会議議長)、陸上幕僚長海上幕僚長及び航空幕僚長(以下「幕僚長たる将」という。)の職にある将を大将の扱いとし、それ以外の将は中将の扱いとなっている。大将の扱いとなる幕僚長たる将および将の一部の補職は防衛大臣が内閣総理大臣に上申し、閣議での承認を経て発令され[37]、幕僚長たる将は規定により62歳で退官し、70歳以上となり叙勲基準を満たすと瑞宝重光章が授与される傾向にある(2014年以降、統幕長のみ瑞宝大綬章)。一方、それ以外の将(中将の扱い)は規定により60歳で退官し、70歳以上となり叙勲基準を満たすと瑞宝中綬章が授与される傾向にある。

1962年以前は統合幕僚会議議長は統合幕僚会議議長章[注釈 14]を、他の三幕僚長は幕僚長章を左胸に着けるのみで、もともとは他の将と同じく桜星 (おうせいと読む) 3つの階級章[注釈 15]を佩用していた。これは日本軍の大将と同じである一方で同盟国である米国では3つ星は中将の階級章だった。1962年(昭和37年)12月1日、「自衛隊法施行規則の一部を政正する総理府令」(昭和37年総理府令第67号)[38]により、統合幕僚会議議長たる陸将、海将、または空将、陸上幕僚長たる陸将海上幕僚長たる海将、および航空幕僚長たる空将の4名の階級章が桜星4つに変更、他の将と区別され、同時に幕僚長章は廃止された。また英語では、幕僚長たる陸将・空将はGeneral、海将はAdmiralと称しており、英語圏では日本には米国の大将相当の階級(four star rank)があると認識されている。ただしこれらは諸外国軍の大将相当者との均衡を取るための措置であり、日本の法令上は幕僚長たる将もその他の将も同一の階級である。幕僚長の階級章の変更については源田実が海外視察の際に桜星3つでは中将扱いされるため、勝手に4つに増やしたことが報道されて問題になり、対応を求められた航空幕僚監部の担当者が色々調べた結果、海上保安庁長官の階級章が違うことを見つけ、何とか変更にこぎつけたという逸話がある[39]

自衛隊における階級(法令上)として最上級であるが、細かく分類すると俸給表・役職により同じ将の階級でもランクが存在する。例えば陸上自衛隊では中将扱いとなる階級章が3つ桜の同じ将の中でも最高ランクは陸上総隊司令官で、次いで方面総監となる。なお、方面総監は内規により序列が規定されている(5名の方面総監の序列は東部中部西部北部東北の順[注釈 16])。また、海上自衛隊の地方総監にも俸給による序列がされている(横須賀・佐世保、呉、舞鶴・大湊の順である)。なお、航空自衛隊の航空方面隊司令官については序列はないが、この上位に航空支援集団司令官及び航空自衛隊補給本部長が並ぶ。

陸将は、陸上総隊司令官方面総監師団長等に充てられる。

海将は、自衛艦隊司令官護衛艦隊司令官、潜水艦隊司令官、航空集団司令官、教育航空集団司令官、地方総監等に充てられる。

空将は、航空総隊司令官航空方面隊司令官、航空支援集団司令官、航空教育集団司令官、航空開発実験集団司令官等に充てられる。

他に3幕共通のポストとして、統合幕僚副長、統合幕僚監部運用部長、統合幕僚学校長、情報本部長、等がある。

また、実際には上記の他、外国との人事バランスに対応した措置が取られており、4スターランクである幕僚長が大将相当、方面総監等やそれに同位あるいは準じた要職にある将は中将相当、師団長や防大幹事等とそれと同位あるいは準じる職にある将は少将の扱いを受ける。

2023年12月に近藤奈津枝が海将に昇任し、自衛隊史上初めて中将級の女性将官が誕生した[40]
アメリカ合衆国詳細は「中将 (アメリカ軍)」および「en:Vice_admiral (United States)」を参照
総説・呼称について

アメリカでは現在、国防総省の管轄下にある陸軍海軍空軍海兵隊の主要四軍、および国土安全保障省管轄下の準軍事組織である沿岸警備隊[注釈 17]では中将の階級が恒常的に存在・運用されている。


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