歴史的に見て、陰謀論は偏見やプロパガンダ、魔女狩り、戦争、および大量虐殺などと密接につながっている[29][30][31][32]。陰謀論はテロリストが強く信じていることが多く、ティモシー・マクベイやアンネシュ・ベーリング・ブレイビクが顕著な例として挙げられる[29]。それと同様に、ナチス・ドイツやソビエト連邦[29]、およびトルコ[33]などの国家も正当化のために陰謀論を利用していた。陰謀論を動機とする南アフリカ政府によるエイズ否認主義は、推定33万人のエイズによる死者を生み出し[34][35][36]、遺伝子組み換え作物に関する陰謀論(英語版)は、国内で300万もの人々が飢饉に苦しんでいたにもかかわらず[37]、ザンビア政府に食糧援助を拒否させる原因となった[30]。Qアノンの陰謀論と2020年アメリカ合衆国大統領選挙の結果に対する否認主義は、米国連邦議会議事堂襲撃事件を引き起こした[38][39][40]。陰謀論は、ワクチンの接種や水道水へのフッ化物添加などへの反対を促進しているため、公衆衛生の改善を妨げになってしまう重大な障害となっており、ワクチンで予防可能な病気(英語版)の流行を助長してしまうことにつながっている[30][30][34][41][41][42]。陰謀論のその他の影響としては、科学的証拠に対する信頼の低下[30][43]や、過激派グループのさらなる過激化とイデオロギーの強化[29][44]、および経済への悪影響などが挙げられる[29]。
政治史における陰謀論の起源はアメリカ革命[45]さらにはローマ帝国[46]にまで遡ると言われている[47]。
かつてニッチな層に限られていた陰謀論は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて文化的現象として浮上し、マスメディアやインターネット、およびソーシャルメディアなどで一般化した[18][6][48][49][50]。陰謀論の特性が注目されるようになったのは1997年のダイアナ妃の死、2001年の9.11テロ事件に関する陰謀論が世間の強い関心を集めてからである[51]。陰謀論は世界中で広まっており、一般的に信じられていることも多く、中には人口の大多数が信じているものもある[52][53][54]。陰謀論の流行を防ぐための対策には、開かれた社会を維持することや、一般市民の分析的思考能力(英語版)を向上させることなどが挙げられる[52][53]。
例詳細は「陰謀論の一覧」を参照
陰謀論は、あらゆることを対象に主張されているものだが、特定の対象の方が他よりも興味を惹かれるようである。好まれるテーマには、有名人の死、暗殺、倫理的に疑わしい政府の活動、隠蔽された技術、「偽旗」のテロなどが挙げられる。最も長く続いており、かつ最も広く認知されている陰謀論には、ケネディ大統領暗殺事件陰謀論、アポロ計画陰謀論、アメリカ同時多発テロ事件陰謀説、および様々な組織が世界征服を企んでいるとする数多くの陰謀論などが挙げられる[55]。 陰謀論は世界中に存在する[52]。アフリカの農村部では、陰謀論の対象となるのは社会的エリートや敵対している部族、および西洋社会であり、首謀者は魔術や妖術を使って計画を実行しているとされている。一般的な信念の一つに、現代の技術はそれ自体が魔術であり、人々に危害を加えたり、支配したりすることを目的として作られたものだというものがある[52]。中国では、ヒトラーの台頭や1997年のアジア通貨危機、および地球温暖化といった多くの出来事はロスチャイルド家によって計画されたものだとする陰謀論が流布されており、中国の通貨政策の議論に影響を与えた可能性があると言われている[53][56]。
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