除名
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

柔道の段級位認定などを行う事実上の最上部団体である公益財団法人講道館では、倫理規定[24][25] 第3条で「館員[注 4] が柔道の場において人権侵害や人格否定行為を起こしたり、柔道精神に反する行為や柔道に携わる者の品位や名誉を傷つける行為があった場合、審理の上処分することができる」と定めており、具体的な処分として第4条に除名の制度がある。これは、傘下の団体である公益財団法人全日本柔道連盟の処分に優越し、講道館から除名処分を受けた者は、講道館が認定していた段級位も取り消される。

なお、全日本柔道連盟においては、除名に相当するものとして「会員登録の永久停止」があり、この適用を受けた者として内柴正人がいる。詳細は「全日本柔道連盟#不祥事」および「内柴正人#準強姦事件」を参照
ボクシングの除名

プロボクシングの場合、選手と指導者・興行主で取り扱う団体が異なる。

一般財団法人日本ボクシングコミッション(JBC)からボクサーライセンスの発給を受けた選手に対しては、JBCがライセンスの剥奪を行うことにより除名相当の効果がある。一方、トレーナークラブオーナープロモーターなどの指導者ないしは興行主に与えられるライセンスの保有者に対しては、JBCがライセンスの発給を拒否するだけでなく、ボクシングジムの業界団体である日本プロボクシング協会、および下部組織たる各地域のボクシング協会が除名処分をする必要がある。詳細は「日本ボクシングコミッション事件#ライセンス更新申請却下、協会も除名処分」および「日本プロボクシング協会#JBCとの関係」を参照「日本ボクシングコミッション#選手の管理」および「プロボクサー#日本におけるプロボクサー」も参照

なお外国人選手に対しては、JBCが「招請禁止」とすることで有期の活動停止、「日本でのボクサー活動停止」とすることで除名や永久追放と同じ扱いになる。この規定により活動停止処分となった元世界2階級王者ルイス・ネリは、その後に追加された「無期限活動停止は処分開始後3年、ライセンス取り消し(剥奪)は5年経過していれば資格回復を申請できる」というルール改正により、2024年1月にJBCより処分解除を受け、スーパーバンタム級4団体統一チャンピオン井上尚弥東京ドームで対戦することができた。詳細は「井上尚弥 対 ルイス・ネリ戦#両者の世界戦及びネリの指名挑戦権獲得まで」および「ルイス・ネリ#vs 井上尚弥」を参照
宗教の除名
キリスト教の除名

キリスト教において、異端の誤った教理の主張者や、罪を犯した者に対して、戒規処分として執行される。除名された者は教会員として扱われなくなり、教会から一切の交際を絶たれるが、悔い改めが認められた場合は、復帰が許される。
仏教の除名

檀家制度においても寺院側に正当な理由があれば檀家を除名することができる。新宗教系教団では信徒個人または信徒団体が誤った教理を主張、ないしは開祖や幹部を批判したりした場合、あるいは罪を犯した者を除名することがある。
檀家の除名

江戸時代には、檀徒が信徒としての責務を果たせないと判断された場合、寺は寺請証文の発行を拒否することができた。事実上の檀徒除名であり、後日、宗門人別改帳からも削除されて無宿非人となり、社会生活から除外された。詳細は「檀家制度#檀家制度の確立」および「宗門人別改帳#改帳の作成」を参照

信教の自由が保障された明治以降、菩提寺の住職が檀徒を除名することを「離檀処分」という。具体的には、檀徒となっている寺院に葬儀を依頼しなかった、墓地の管理費を長期間支払わなかったなど寺が著しい不利益を被る理由があるとの判断による。離檀処分を受けると、寺領内の墓地を使い続ける権利が失われ、離檀料を請求されることもある。「檀家制度#離檀料」も参照
日蓮正宗の除名

日蓮正宗では、「信徒除名」は破門よりもさらに上の、在家の信徒個人に対し宗派として取り得る最も重い制裁と位置付けられている。これが信徒個人ではなく、傘下の法華講全体を除名相当にするのであれば「講中解散」、また出家した僧侶に対する僧籍の剥奪を伴う制裁は「擯斥」(ひんせき)という。「日蓮正宗#宗門の体制」および「構 (刑罰)#集団からの排除」も参照

1974年(昭和49年)、日蓮正宗は創価学会と激しく対立した妙信講を講中解散処分にした。これに反発した妙信講は創価学会を相手に暴力事件を起こし(妙信講学会本部襲撃事件)、激怒した宗門は関係した妙信講幹部33人を信徒除名にした。この中には講頭だった浅井甚兵衛や当時理事長で現顕正会会長の浅井昭衛も含まれている。詳細は「和泉覚#宗教紛争解決に尽力」および「冨士大石寺顕正会#歴史」を参照「牙城会#創価学会反対派との紛争」および「正本堂 (大石寺)#正本堂の位置づけをめぐって」も参照

1980年代前半には、正信会に参加した僧侶ら200人以上が擯斥処分を受けた。詳細は「正信会#歴史」を参照

さらに1992年(平成4年)には前年に創価学会全体ともども破門していた名誉会長池田大作を信徒除名処分にし、1998年(平成10年)には宗規の改正により残る全学会員の信徒資格も喪失させた。

これは、日蓮正宗の信徒が他の宗教団体に所属した場合は信徒資格を失うというもので、日蓮正宗の信徒が他宗派を信仰している家に養子縁組をした(嫁いだ)場合に、縁組(嫁ぎ)先の家族を折伏し正宗に入信させず、その家の檀那寺に属した場合も除名の対象となる。江戸時代の宗門改において、民衆は同時期に1つの寺院にしか檀家として登録できないとされたことに由来するものである。

ただし、創価学会や顕正会、正信会から退会したり除名処分を受けた元会員を宗門として受け入れる方法も考慮されており、信徒除名ないしは資格を喪失した者も末寺に参拝し住職の許しを得て勧誡式を受ければ(「御受戒」ともいう)、信徒に復帰することが可能である。詳細は「信者#日蓮正宗」を参照
創価学会の除名

日蓮正宗の傘下団体として発足し、その後仏教系新興宗教団体となった創価学会は会則69条で「会員は退会または除名によってその資格を喪失する」と定めており、その具体的運用として会則72条に「会員としてふさわしくない言動をした会員に対し、その情状に応じ、戒告、活動停止または除名の処分を行うことができる」という記述がある[26]

処分に関しては中央および総県に設けられた「審査会」が、区本部長以上の幹部から出される申し立てに対して速やかに処理しなければならないとされる[27]
公明党議員の除名

公明党から除名された議員経験者は遅かれ早かれ学会からも除名されることになる。実例として竹入義勝1998年(平成10年)に公明党から除名された直後、創価学会も竹入を除名している。また1988年(昭和63年)に党を除名された大橋敏雄も学会から除名されている。しかし藤原行正矢野絢也は公明党が処分を見送ったため、離党届受理、学会も自主的退会で済んでいる。「竹入義勝#学歴・軍歴の矛盾」および「藤原行正#政界引退」も参照
一般会員、学会幹部の除名

一般会員、学会幹部でも犯罪などで警察に逮捕された場合には容赦なしで除名される。さらに会員規定4条で学会員は会の内外を問わず個人的な金銭の貸し借りを禁じられており、これが発覚すると処罰の対象となり情状に応じ、戒告、降格、活動停止の処分が下り最悪の場合除名もあり得る(あくまで数千円や数万円などのまとまった金額に対してであり、ジュース代やタバコ銭などの一時的な小銭の貸し借りは容認されている)。詳細は「池田大作に対する訴権の濫用#訴訟までの経緯」を参照「戸田城聖#大阪事件」も参照

この規定は第2代会長戸田城聖が存命だった時代には厳しく運用され、大阪事件では当時の理事長小泉隆と選挙運動の最高責任者として派遣されていた渉外部長の池田大作(後に3代会長・名誉会長)以外に逮捕された学会員全員が除名された。しかし、戸田が死去し池田体制になった後は、日蓮正宗と違って一度除名処分を受けると二度と活動に復帰することはできないという内部の事情もあり、学会が起こした事件に関与した幹部の中には除名されなかった者もいるなど、「学会のために行動して逮捕された」と認められた学会員や幹部への処遇は戸田時代より甘くなった。

例として、言論出版妨害事件宮本顕治宅盗聴事件に関与し逮捕され、宮本顕治宅盗聴事件の判決文で挙げられた学会員の一人が除名されず、2004年(平成16年)のYahoo! BB顧客情報漏洩事件では創価学会幹部として逮捕されている。また、2002年の携帯電話通話記録窃盗事件では逮捕された実行犯の三人は除名されず、通信会社を懲戒解雇処分になった学会員は裁判確定前に創価学会弁護団の斡旋で別の企業に再就職した経緯も存在する[28]。詳細は「Yahoo! BB顧客情報漏洩事件#犯人と創価学会」を参照

なお、一般会員が退会の手続きを取らないまま日蓮正宗あるいは正信会系の寺院で御授戒を受けたり、冨士大石寺顕正会の入信勤行を行ったことが発覚した場合、総県審査会で除名されることがある。過去には退会の手続きを取っていながら後で取り消されて除名に切り替わったケースがある。
冨士大石寺顕正会の除名


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:101 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef