古代ローマの宗教のひとつミトラ教では、12月25日は「不滅の太陽が生まれる日」とされ、太陽神ミトラスを祝う冬至の祭であり、これから派生してローマ神話の太陽神ソル・インウィクトゥスの祭ともされていた。これが降誕祭の日付決定に影響したのではないかとも推察されている[注 3]。
古式を守るアルメニアの降誕祭「リトル・クリスマス」も参照
12月25日を降誕祭とする風習が定着する以前には、アルメニアやギリシアなどで1月6日説が採用されており[32]、また、「キリストの降誕」の記念と同時に「キリストの洗礼」(ヨルダン川で洗礼者ヨハネから洗礼を受けたこと)の記念を祝っていた[31]。
現在でもアルメニア使徒教会(東方諸教会・非カルケドン派正教会に分類される)においては、教会暦上の1月6日(アルメニア本国などではグレゴリオ暦を使用、エルサレムのアルメニア総主教区においてはユリウス暦を使用するためグレゴリオ暦の1月19日にあたる。「世界のクリスマス」:「#イスラエル・パレスチナ」も参照)に、「キリストの降誕」の記念(降誕祭)と同時に「キリストの洗礼」の記念(神現祭)が祝われる[31]。1月6日はアルメニア共和国の法定祝日となっている[33]。 「降誕日」は、西方教会に含まれるカトリックや聖公会などでは毎年グレゴリオ暦の12月25日に祝われる。 東方教会のうちユリウス暦を教会暦として使用する教会では、グレゴリオ暦の1月7日に祝われる。これはユリウス暦の12月25日が、21世紀現在、グレゴリオ暦の1月7日に当たるからである[注 4][34][35](後述)。また例外的に、アルメニア使徒教会では教会暦上の1月6日に祝われる(前述)。 キリスト教に先立つユダヤ教の暦、古代ローマの暦、およびこれらを引き継いだ教会暦では、現代の常用時とは異なり、日没を日界(一日の境目)としている[36]。このため、教会暦ではクリスマス(降誕日)は「12月24日(常用時)の日没から12月25日(常用時)の日没まで」である。また24日(常用時)の日没から24日(常用時)の24時すなわち25日(常用時)の0時(正子)までが「クリスマス・イヴ」である(クリスマス・イヴ#日付)。12月25日(常用時)の日没以降は、12月26日(教会暦)である。 伝統的には、クリスマス・イヴの夕刻?晩には「晩課」(「晩祷」、「夕の礼拝」などとも)を行って降誕の喜びの先取りとし、羊飼いが天使から降誕のみ告げを受けたとされる夜中[37](古来は12月25日の0時前後)には「深夜ミサ 西方教会では、「降誕節」(ラテン語: Tempus Nativitatis、英語: Christmas season、Christmas days)は12月24日の日没から始まり、1月6日に「東方の三博士の来訪」を記念する公現祭(顕現日、エピファニー)を祝って[注 5]、これを以て降誕節が終わる。より正確にはエピファニーの前日1月5日の日没「十二夜」までが降誕節で、「クリスマスの12日」(英語: Twelve Days of Christmas)と呼ばれる。あるいは、現代のカトリック教会では、「主(しゅ)の洗礼」を記念する公現祭後の主日(日曜日)[注 6]までを降誕節とする[41][42]。 そして降誕節の期間中、降誕日から数えて8日目にあたる1月1日は、「イエスの命名・割礼」[注 7]を記念する「イエスの聖名の祝日
教会暦における日付・期間.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目では色を扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。教会暦におけるクリスマスの日付。黄色が12月24日、緑色が12月25日を表す。常用時とは異なり、教会暦の日界は日没であるため、24日(常用時)の日没から25日(常用時)の日没までが12月25日、即ちクリスマスである
日付
西方教会
東方教会
日付の区切り
期間
西方教会聖堂に飾られた「降誕場面」(フランス)
また、12月24日の4週間前(11月27日から12月3日の間)の主日から始まるアドベント(待降節/降臨節)をクリスマスの準備期間として祝う。
多くの聖堂(教会堂)の内部あるいは戸口際で、アドベントからエピファニーまでの間、キリスト降誕時の情景を表した模型「降誕場面」(イタリア語: Presepio、プレゼピオ/フランス語: Creche、クレーシュ/英語: Crib、クリブ)が飾られ、それを見て人々はその出来事に想いを馳せる。 東方教会のうち、ギリシャ正教とも呼ばれる東方正教会では、エルサレム総主教庁、ロシア正教会、セルビア正教会、ウクライナ正教会、グルジア正教会など、そして東方諸教会・非カルケドン派正教会に分類されるコプト正教会[45]などは、ユリウス暦(正教では「旧暦」と呼ばれる)の12月25日(21世紀現在、グレゴリオ暦1月7日にあたる)に降誕祭を祝うが、いわゆるギリシャ正教のうち、コンスタンティノープル総主教庁、ギリシャ正教会、ブルガリア正教会、ルーマニア正教会などでは、修正ユリウス暦(正教では「新暦」と呼ばれる)の12月25日(21世紀現在、グレゴリオ暦の同日にあたる)に執り行う[46]。
東方教会