阿字観
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^ 「五仏灌頂真言」は、別名を「大金剛輪印言」とも言い、現行の次第では「補欠真言」の意味あいとして修法の最後に唱えることになっているが、古次第では各108反(回)を次第の途中3箇所で唱えることになっている[要出典]。前の2回は「五仏灌頂真言」と呼ばれ、後の1回は「補欠真言」と呼ばれる。次第によってはこの場所に入らないものがあるが、「五輪観」に合わせてここに入れた。「五仏灌頂真言」の際の尊格は五仏と五部族の諸仏菩薩で、「補欠真言」の際の尊格は憤怒相の大輪明王となる。「大金剛輪印言」は、日本密教ではいかなる修法にも登場するほどポピュラーなものであるが、古密教でも特に灌頂との関連において重視されていて、『理趣釈経』によると密教の阿闍梨は必ずこの尊挌をお祀りし、曼荼羅を掲げるべきであるとされる[要出典]。
^ 現行の日本密教では「瓶灌頂」のみあって、チベット密教のように「四灌頂」が無いとされるが、古密教には護身法を含めて「四灌頂」があり、これは『理趣経』本文や『理趣釈経』を注意して読めば、「四灌頂」に関係する記述が見られる[要出典]。また、逆の例として文献上だけに限定すれば、無上瑜伽に属する『大幻化網タントラ』の原典には、灌頂の作法としての「四灌頂」を説かないとされる。[この項『幻化網タントラにおける灌頂』参照。]
^ この「四灌頂」は『大日経』系の分類に従ったもので、『金剛頂経』系の「四灌頂」とは異なる。
^ 今日の「阿息観」は、これを出典としている。また、『阿字義』に説かれる「四仏四菩薩」と「曼荼羅」なども、この「九重阿字観」があることによる記述である。
^ 「覧字観」(ランじかん)は、今日の次第では「ランバン加持」として、『瀉水加持』の作法の一部となって形骸化しているが、古密教の作法では「覧字観」と「バン字観」、「瀉水」という別々の修法であり、「瀉水」の水を加持する際に「ラン字の加持」は存在しない。なお、「覧字観」の印契には2種類有る。金剛合掌を結ぶものと、三角印を結ぶもので、金剛合掌の場合は深く結んで炎を表し、三角印の場合は、頭頂では正三角形を結び、臍では逆三角形を結ぶ。この三角印は、後の無上瑜伽タントラにおいて説かれる「白いチッタ」と「赤いチッタ」に相当するものとも思われ、正三角形と逆三角形の組み合わせは「生法宮」の智火に通じるものがある[要出典]。
^ 「輪宝」は弘法大師空海の請来に始まり、蓮華の台座の上に「八幅輪の法輪」を乗せた法具のことを言う。現在は、密教寺院において主に黄銅(真鍮)製のものを、道場荘厳用として用いている。ただし、ここでは密教の瑜伽行におけるチャクラ(漢訳;輪)のことを指しており、観想の姿は先の法具と同様に、蓮華の上に水平に載った「法輪」である。クンダリーニ・ヨーガ等では、ヒンドゥー教の絵画の影響で、垂直に立ったチャクラを説く[誰によって?]が、密教では、古密教や中国密教、チベット密教も共通して、中脈と呼ばれる垂直な車軸に相当するものを中心として、水平になった車輪状の「法輪」を観想する[要出典]。
^ ここでは五輪の位置を、便宜上から「四輪三脈」の説に一致させた。
^ 『小僧次第』の五輪観の「切紙」に、空輪は虚空の如しとあるのによる。
^ 五輪観の成就によって曼荼羅を現出したことによる讃嘆頌。今日これを、本来は讃嘆の偈頌にもかかわらず「胎蔵界五字明呪」として本尊の真言とするのは、それほど重要な境地を詠ったものだからである。同様の例がチベット密教にもあり、金剛薩?の「百字明呪」がそれである。日本の古密教では、「百字明呪」は金剛薩?への梵語の讃嘆文であると明記されていて[要出典]、長い梵語の文章なので現行の次第では省略されてしまったが、チベット密教では、これが重要な文章なので真言に等しい扱いを受けるうちに、梵語であるため後に真言と思われるようになった。無論、真言でも讃嘆文でも、それぞれの修法における効用は変わらない。なお、古密教ではこれをあくまでも境地として、別に「本尊呪」を説く[要出典]。

参考文献

「胎蔵界次第」(『小僧次第』より)、寛平法皇著、古写本。

「寛平法皇御作次第集成」、武内孝善著、東方出版刊。

続日本の絵巻7「阿字義 華厳五十五所絵巻 法華経絵巻」、小松茂美編集・解説、中央公論社刊。

「密教瞑想の研究 覚鑁大師の阿字観」、北尾隆心著、東方出版刊。

「道場観等観図解説」、北尾隆心著、東方出版刊。

「『密教大系』第九巻 密教の実践」、松長有慶他監修、法蔵館刊、平成6年。

印度學仏教學研究第39巻第2號 平成3年3月『幻化網タントラにおける灌頂』、木村秀明著。

「古密教 日本密教の胎動」(特別展 図録)、奈良国立博物館編・刊、2005年。

「唐大和上東征伝」、堀池春峰解説、東大寺刊、昭和39年。

「現代語訳一切経2: 智者大師別伝・不空三蔵行状・唐大和上東征伝」、福原隆全・頼富本宏・冨佐宣長訳、大東出版社刊、1997年。

関連項目

密教

真言宗

天台宗

九字護身法

ゾクチェン










密教 (金剛乗仏教)
時代・地域

初期 - 中期 - 後期 - インド - チベット - 中国 - 日本
日本の主な宗派

(※は真言宗各山会
加入団体)

東密
古義真言宗系

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