闘牛
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大相撲のような番付により牛の優劣が格付けされる場合もある。また新潟の牛の角突きでは勝負付けを行わず、神事であることや牛が傷つかないようにといった理由で引き分けにさせる[9][10]
起源『越後古志郡二十村闘牛之図』(鈴木牧之、文政3年(1820年))。長岡市立中央図書館所蔵[11]曲亭馬琴の依頼により鈴木牧之が越後国古志郡二十村(現・長岡市山古志地域虫亀)で行なわれていた闘牛の取材をしたときに描いたもの[12]南総里見八犬伝』第七輯 巻之七(曲亭馬琴作、柳川重宣画、文政13年(1830年)刊)から挿絵「自若として小文吾暴牛を駐む」明治時代初期、徳之島での闘牛。

起源についてはどこも明確な資料は存在せず、自然発生的なものから、神事として始まったものもあるとされる。史料上は、1178年後白河法皇が角合せを観覧したとの記録があり、12-13世紀の『鳥獣人物戯画』にも闘牛が描かれている[13][14]隠岐島の闘牛承久の乱(1221年)で配流された後鳥羽法皇を慰めるために始められたとされている。

新潟県長岡市山古志地域小千谷市で行われる牛の角突き(国の重要無形民俗文化財)は、江戸時代後期に書かれた曲亭馬琴読本南総里見八犬伝』に登場しており(馬琴はこの行事を、塩沢町の商人で『北越雪譜』の著者鈴木牧之から紹介されている)、この頃には既に始まっていたのは確かである。
牛の種類

黒毛和牛日本短角種がその多くを占める[15]。新潟県の闘牛では子牛の生産地が岩手の南部地方であるため日本短角種が主。「肉用牛の子牛の素質が良い物を去勢せずに闘牛用として飼育」と書かれた文献もあるが、現状、そのほとんどが当初から闘牛用として生産された子牛であり、肉用牛としての登録のなされていないものが多い(島根県隠岐は登録牛を使用、よってその供給先である四国宇和島の闘牛も登録牛が存在する)。最近では有名牛を種牛として使用した子牛も多く登場している。またホルスタイン種と黒毛和牛のF1(交雑種)は体格が良いことから(子牛値段も安いことが多い)出場することもある。過去チャンピオン牛にもF1は存在する[15]
稽古

引き運動や海岸での散歩、切り株やタイヤに向かって首の鍛錬をする。また、集落ごとに夕方になると海岸などに散歩のため牛が集まるため練習試合(稽古)を行う。徳之島のドーム闘牛場にて飼育されていた牛は稽古量がずば抜けており、首の太さや技術が群を抜いていたことから、生まれ持った資質に加えて稽古の仕方によって大きく影響する。
人の役割

人は「勢子」と呼ばれる牛の補助役である。鼻綱で牛の体勢を調節したり、牛の傍でかけ声(ヤグイ)をかけ励ましたりする。また勝負の済んだ牛を捕まえ鼻綱を取らせるのも勢子の役割で、時には数人がかりでの大仕事となる。
その他の国の闘牛オマーンの闘牛

イギリスでは12世紀ごろから、柵に縄や紐でつながれた雄牛と闘犬を闘わせるブル・ベイティング(en)(牛虐め。ブル・ファイティングもしくはファイティング・ブルとも)という競技が行われていた。ブルドッグブルテリアなどは、そのために改良された犬種である。残酷なスポーツとして1835年には禁止された。

フランスでは、スペインに隣接する地域で闘牛が開催される。ランド県エール=シュル=ラドゥールでは闘牛祭も行われる[16]アルルなどの南フランスではカマルグ式(fr)と呼ばれる、円形闘技場内で牛の頭に付けたリボンを鉤爪を使って闘牛士達が奪い合う闘牛が行われる。

スイスでは、Combat de Reines(英語版)という大会が開かれる。

トルコアルトウィンにて毎年6月の第三週に闘牛が行われている[17]

オマーンでは、牛を互いに戦わせる闘牛が有り、その様子は日本の闘牛に似ている。

コロンビアでは闘牛は人気の高い娯楽の一つであったが、首都ボゴタで闘牛用の牛の殺傷を禁じる動きを経て、2024年にコロンビアの議会は闘牛を禁止する法案を賛成多数で可決した[18]

中国浙江省では、雄牛と人間のレスリングのような格闘技?牛」が少数民族の伝統として行われている。また、貴州省ではやはり別の少数民族が行なう日本の闘牛に似た競技[19]もある。

韓国でも、日本の闘牛に似た闘牛が実施されている。韓国においては公営競技のひとつとして賭けの対象となっている。「闘牛 (韓国)」にて詳述。「en:Bull wrestling」も参照
闘牛を題材とする作品

文学

『午後の死』 -
アーネスト・ヘミングウェイによる闘牛についてのノンフィクション。1932年

てんやわんや』 - 獅子文六の小説。1948年 - 1949年。宇和島の「牛の突き合い」を紹介。

闘牛』 - 井上靖の小説。1949年。芥川賞受賞作。


映画

黒い牡牛』 - 闘牛をテーマにしたアメリカ映画。1956年


テレビドラマ

闘牛戦士ワイドー』 - 2018年からRBC琉球放送で放送されている特撮ヒーローテレビドラマ。


音楽

トレロカモミロ』 - フランコ・マレスカ作詞、マリオ・パガーノ作曲のイタリアの歌曲。1968年。日本語版は阪田寛夫訳詞[20]1970年NHKみんなのうた』で初放送。


脚注[脚注の使い方]^ “動物虐待等に関する対応ガイドライン案.pdf”. 環境省. 20220224閲覧。
^ “第1章 動物虐待等に関する基本事項”. 環境省. p. 33. 2023年9月23日閲覧。 “なお、動物虐待に相当する闘牛であるとして、中央環境審議会において、「メキシコ闘牛の公開は、好奇的な娯楽として行われることに正当化理由はなく、闘牛場において牛を追い回し、刀槍をもって刺し、最後に殺す行為は法第10条(動物を殺す場合の方法)の主旨に反する」と、その開催に反対した例がある。”
^ a b c d 有本紀明『闘牛:スペインの生の芸術』<講談社選書メチエ> 講談社 1996年 ISBN 4062580837 pp.66-96.
^ 参考動画
^ バルセロナで最後の闘牛、来年1月から禁止AFPBB News 2011年9月26日
^ カタルーニャ自治州、闘牛禁止へ スペイン本土では初AFPBB News 2010年7月29日
^ 平成28年度 沖縄県闘牛組合連合会年間大会及びその他イベントについて (PDF) うるま市
^鹿児島大学 桑原季雄・尾崎孝宏・西村明『東アジアにおける闘牛と「周辺ー周辺」ネットワークの形成』 (PDF) P.16
^ “牛の角突き”. www.city.nagaoka.niigata.jp. 新潟県長岡市. 2019年1月30日閲覧。
^ “越後の「牛の角突き」 神事のため全部引き分けで終わる│NEWSポストセブン”. www.news-postseven.com (2016年6月21日). 2019年1月30日閲覧。
^ながおかネット・ミュージアム 『越後古志郡二十村闘牛之図』


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