閣議の意思決定は出席した閣僚の全員一致を原則とする[20]。これは内閣が「行政権の行使について、全国民を代表する議員からなる国会に対し連帯して責任を負う」(内閣法第1条第2項)ことに基づく[20]。内閣一体の連帯責任に基づき、解釈上、閣議の方針に服しがたい閣僚はその職を辞すべきとされ、制度上も内閣総理大臣は任意に国務大臣を罷免できる(憲法第68条第2項)とされている[20]。
閣議に付議された案件は、閣議決定、閣議了解、閣議報告として処理される[1]。
閣議決定 - 合議体である内閣としての意思決定をいう[1]。内閣総理大臣は、閣議決定に基いて、行政各部を指揮監督する[21]。
閣議了解 - 本来は各主任の大臣の管轄事項で大臣が決定できる権限だが、その重要性にかんがみ閣議に付され閣議として意思決定をおこなったものをいう[1]。
閣議報告 - 審議会の答申等の報告等である[1]。
結論が得られた案件については閣議書が作成され各大臣が花押をもって署名する[1]。
公布や認証などの国事行為手続きの対象となる閣議書は午後には皇居・御座所に送付され天皇の御名御璽が付加られる。定例閣議で意思決定された案件を公布・認証するために、天皇は閣議がある日の午後は皇居に滞在しているが、静養や行幸の際に臨時閣議が行われた場合は、クーリエの宮内庁職員が閣議書を滞在先まで運び、現地で御名御璽が加えられる。
なお、全閣僚による閣議(決定)書への署名は原則であり、法律や条約の公布、特命全権大使等に交付する信任状や全権委任状などの案件については、内閣総理大臣のみが署名する[注釈 4]。 慣例として、閣議に引き続き「閣僚懇談会」(かくりょうこんだんかい)が開かれる。閣議で取り上げられなかった議題がこの席で了承されることがあり、閣僚が自由に意見を述べたり、情報交換を行ったりすることもできる。内閣総理大臣が入院したために、閣議を開催できない状態で首相臨時代理を指定しないまま定例閣議の時間を迎えた第1次安倍内閣末期の場合、定例閣議に代わる閣僚懇談会が閣議の議事進行役の内閣官房長官が主導する形で行われ、全閣僚が閣議書に署名した後で内閣総理大臣が入院先の病院で決裁する「持ち回り閣議」の手法をとっていた。 閣議及び閣僚懇談会には長らく公式的な議事録は作られてこなかった。記録を残すと、外に出た場合、閣内不一致を指摘される恐れがあるからである[22]。しかし、2014年4月より閣議や閣僚懇談会にて議事録を作成することが第2次安倍内閣において決定している[23]。非公式的なものとしては、例えば内閣官房長官など閣議に関わる複数の役職を務めた後藤田正晴が著書の中で、「閣議では事務担当の官房副長官が議事について、メモ(非公式議事録)を取る慣行になっていた」ことを明かしている。また自身が官房副長官時代は自身がメモを取ることを嫌いだったため、同じく陪席していた吉國一郎内閣法制局長官に、「君がメモを取ればいい」と指示し、吉國がメモを取っていた。だがこの法制局長官がメモを取る慣行が後藤田・吉國以降も続いたかは不明である。 この場合の閣議とは、各国務大臣の合議体である内閣において、国務および行政に関する協議を行なうことである。 内閣は各国務大臣の合議機関でもあり、行政各部の長官である各省大臣の合議機関でもあるから、閣議は国務上の閣議と行政上の閣議とに分けられることがある。 その詳細な規定は、内閣官制(明治22年勅令135号)にあり、必要的閣議附議事項として以下のものがある。 その他任意附議事項として、各大臣が適当と信ずる事項を提出することができる。 閣議の議題については、内閣官制第7条に「事の軍機軍令に係り奏上するものは天皇の旨(考え)により特に内閣に下附せらるるものを除く外陸海軍大臣より内閣総理大臣に報告すべし」という規定がある。
閣僚懇談会
議事録
大日本帝国憲法下
法律案および予算決算案
外国条約および重要な国際事項
官制または規則および法律施行にかかる勅令
諸省間の主管権限争議
天皇から下附され、または帝国議会から送致する臣民の請願
予算外の支出
勅任官および地方長官の任命および進退
各省主任の事務につき高等行政に関し事態やや重きもの(内閣官制第5条)
その他個別法令により所管としたもの、たとえば都市計画の区域および事業の認可(都市計画法)、各種委員の任免など
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 内閣法4条1項 内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。
^ 内閣総理大臣が外遊等で不在の場合には、あらかじめ指定された内閣総理大臣臨時代理が主宰する。
^ 閣議が公開された例として、1985年の内閣制度創始100周年記念における公開、2002年5月7日の冒頭公開、2013年1月8日の冒頭公開がある。
^ 平成11年(1999年)10月5日以降、同日付け閣議決定による。
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