閣令
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」とする。会計検査院が憲法に設置根拠を持ち(憲法第90条第2項)、内閣に対し独立の地位を有するため(会計検査院法第1条)、会計検査院規則は政令または府省令に準じる効力を持つと解される。会計検査院規則には、会計検査院長が年月日を記入した上で署名して、官報で公布する(会計検査院規則の公布に関する規則)。

人事院規則・人事院指令
人事院規則・人事院指令は、いずれも人事院が定める成文法。国家公務員法第16条第1項は、「人事院は、その所掌事務について、法律を実施するため、又は法律の委任に基づいて、人事院規則を制定し、人事院指令を発し、及び手続を定める。人事院は、いつでも、適宜に、人事院規則を改廃することができる。」と定める。 人事院が内閣の所轄の下に置かれる機関であるため(国家公務員法第3条第1項)、人事院規則・人事院指令は政令または府省令に準じる効力を持つと解される。

外局の規則
府省の外局である委員会(行政委員会)の発する特別の命令(規則)または府省の外局であるの長官が発する特別の命令(庁令)。国家行政組織法第13条第1項は、「各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、政令及び省令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができる。」と定める。また内閣府の外局については、内閣府設置法第58条第4項に同様の規定がある。国家公安委員会が制定する国家公安委員会規則(警察法第12条)、海上保安庁長官が発する海上保安庁令(海上保安庁法第33条の2)などがある。行政委員会は、すべて規則制定ができることになっているが、庁である外局は、海上保安庁のみである。

外局以外の行政機関の規則等
国立国会図書館の日本法令索引には、「その他の行政機関の命令」として外局の規則のほか、日本ユネスコ国内委員会規則、日本学術会議規則、日本学士院会則・会員選定規則が掲載されている。
議院規則衆議院参議院が各々定める成文法。衆議院が定める衆議院規則と、参議院が定める参議院規則がある。各議院が、それぞれ単独の決議により、議院における会議その他の手続及び内部の規律について定める。日本国憲法58条2項を根拠とする。
最高裁判所規則最高裁判所が、裁判官会議の議に基づいて定める成文法。訴訟に関する手続、検察官弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について定める。日本国憲法77条1項を根拠とする。

なお、最高裁判所規則で定め得る事項については、法律で定めることも許されると解されている(例えば、民事訴訟法民事訴訟規則など。)。法律と規則の規定が矛盾衝突した場合には、その優劣関係が問題となる。この場合、法律の規定が優先されるとするのが多数説である。
地方公共団体の法令

条例
地方公共団体の議会が制定する成文法。憲法第94条は、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」と定める。条例は、当該地方公共団体内でのみ効力を有し、法律の範囲内でのみ制定することができる。地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない(地方自治法第14条)。

地方公共団体の規則
地方公共団体の首長が制定する成文法(地方自治法第15条)。地方公共団体の委員会が制定する成文法(地方自治法第138条)。選挙管理委員会規則(地方自治法第194条)、教育委員会規則(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第14条第1項)、都道府県公安委員会規則(警察法第38条第5項)など。
告示内閣、内閣府および各省庁、裁判所、地方公共団体等、公の機関が必要な事項を公示する行為、またはその行為の形式。国の機関が行う告示は官報に掲載する方法によって行われる。地方公共団体が行う告示はそれぞれの地方公共団体の公文式に関する規則により公報に掲載したり掲示板に掲載する方法によって行われる。告示には法令としての性質を含むものもある。

2006年(平成18年)3月、日本国政府の法令外国語訳実施推進検討会議は『法令用語日英標準対訳辞書』を発行し、その中で法令の英訳を以下のように定めた[3]

憲法 - Constitution

法律 - Act(原則)、Code(いわゆる法典)

政令 - Cabinet Order

内閣府令 - Cabinet Office Ordinance

省令 - Ordinance of the Ministry

規則 - Rule

条例 - Prefectural Ordinance(都道府県条例)、Municipal Ordinance(市町村条例)

日本の現行法上新たに制定されない法形式

現行法上新たに制定されない形式の法規範は、下記の通り。現行法上は新たに制定されない法形式であっても、現行法に根拠を持つ法規範は、効力を有する。
法律・政令・府省令に準じる法形式
太政官布告・太政官達
1868年に政体書によって設置され、内閣制度が創設されるまで存続していた最高官庁である太政官が制定していた法形式である。一般国民を拘束する内容を持つものを太政官布告とし、官庁限りの心得を太政官達としていたが、必ずしもその区別が守られていたとはいえなかった。太政官制度が廃止された後も、後に制定された法令に矛盾しない限りその効力を有し、大日本帝国憲法施行後もこれに抵触しない限りでなお従前の効力を有し、また、日本国憲法施行後も大日本帝国憲法下で法律又は勅令としての効力を認められたものは、現憲法に違反しない限り効力を有する。太政官布告第何号というのは、明治4年までは制定時には付されておらず後日編纂された法令全書において番号が付された。
勅令
天皇が発した成文法。君主の権能に関する事項を成文化し、国家統治の基本原則を定めるもの。法律と異なり、帝国議会の協賛を経ずに、天皇の大権によって制定された命令である。天皇が勅令を定めるにあたっては国務各大臣が輔弼したため、事実上、国務各大臣ないし内閣が発する法形式である。大日本帝国憲法第9条は、「天皇ハ法律ヲ執行スル爲ニ又ハ公共ノ安寧秩序ヲ保持シ及臣民ノ幸福ヲ増進スル爲ニ必要ナル命令ヲ發シ又ハ發セシム」と定めた。勅令によって法律を変更することはできなかった。勅令の目的は「法律を執行するため」「公共の安寧秩序を保持するため」「臣民の幸福を増進するため」と定められたが、憲法上法律事項とされていない事項については、法律に基づかなくとも制定できた。法律事項以外でも、軍に関することは軍令で、皇室に関することは皇室令で定めたので、これらを除いたものが勅令事項とされていた。現行の政令に相当し、日本国憲法施行後において、改正または廃止する場合は政令による。ただし、勅令の中でも法律の効力を持つと解される緊急勅令及びポツダム勅令については、改廃は法律による。

緊急勅令
勅令の一種。通常の勅令と異なり、「法律ニ代ルヘキ」として法律事項について制定された。大日本帝国憲法8条は、「天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル爲緊急ノ必要ニ由リ帝國議會閉會ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ發ス」と定めた。緊急勅令の目的は「公共の安全を保持し、または、その災厄を避けるため」とされ、「緊急の必要により」制定することとされており、広くあらゆる事項を対象とすることができた。帝国議会閉会中に限って制定でき、帝国議会の次の会期に提出しなければならなかった。提出された緊急勅令が議会の承諾を受けないときは、将来に向かって効力を失うこととされた。「緊急勅令」という呼称は講学上のもので、法令上の正式な呼称及び法令番号での表記は単に「勅令」であった。官報公布時の上諭に緊急の勅令である旨[注 1]が記載されることで、通常の勅令と形式的に区別できる。
閣令
内閣官制第4条に定められた法形式で、主任の事務を担当する大臣の一人としての内閣総理大臣の命令である。その効力も他の大臣が定める省令と同等で、現行の府省令に相当する。
総理庁令
行政官庁法第6条第1項に定められた法形式で、総理庁の所管する事項について内閣総理大臣が制定した。現行の府省令に相当する。
法務庁令
法務庁設置法第2条第3項により準用される行政官庁法第6条第1項に定められた法形式で、法務総裁が制定した。現行の府省令に相当する。
総理府令
国家行政組織法第12条第1項に定められた法形式で、総理府の所管事項について内閣総理大臣が制定した。現行の府省令に相当する。
法務府令
国家行政組織法第12条第1項に定められた法形式で、法務総裁が制定した。現行の府省令に相当する。
皇室・軍隊において制定された法形式
皇室典範
現在の皇室典範は国会が制定する法律であるが、大日本帝国憲法時代は、帝国議会の議決を経ずに制定され、憲法と対等の効力を有するものとされた。皇室典範の改正又は増補は、皇族会議及び枢密顧問の諮詢を経て勅定されるという手続きで行われていた(典範第62条)。また、日本国憲法施行に伴い皇室典範という法形式そのものを消滅させるために制定された、皇室典範及皇室典範増補廃止ノ件(昭和22年5月1日公布)は、この改正手続きに準じて制定されたものである。
皇室令
旧皇室典範に基づく諸規則、宮内官制及びその他の皇室の事務に関して勅定を経た規定であり、発表すべきものは、この法形式により制定された。皇族に準じた礼遇を受けていた王公族や、貴族である華族朝鮮貴族の権利・義務などについてもこの法形式で規律していた。


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