関越自動車道高速バス居眠り運転事故
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大型二種免許は、2009年(平成21年)7月に取得[13]、バス運転手としての経歴は約2年であった[14]。陸援隊には人手不足の時に単発で短期雇用され[15][16]、主に中国人を相手にした[17] 短距離便の乗務がメインで、金沢便の乗務は初めてであった[14]

4月28日8時に、石川県白山市のホテルにチェックイン。16時半頃にホテルをチェックアウトし、22時10分に金沢駅を出発した。出発後、頻繁に急ブレーキをかけたり、カーナビゲーションの画面をよく見ていた[18][19]。また、事故直前の休憩中、ハンドルにうつぶせで休んでいたという乗客の証言もある[20]

ハーヴェストホールディングスの運行指示書には上越ジャンクションから上信越自動車道を通るルート(更埴ジャンクション経由)が記載されていたが[注釈 5]、実際には約35キロメートル遠回りの関越自動車道のルート(長岡ジャンクション経由)を通行していた[18]。これについて運転手は「走りやすいから関越道を通った」としている[14][21][22]

群馬県警察本部は、入院中の運転手の負傷回復を待ち、運転手に対して自動車運転過失致死傷容疑で5月1日に逮捕状を執行、退院後に逮捕した[23]。22日に起訴された[24]

当該運転手は、自身が所有するバス4台の営業用ナンバープレートを陸援隊名義で取得し、独自の屋号で無許可営業し、中国人観光客向けバスツアーを主催してバスを運行していたことが発覚した[24][25]。このため運転手は道路運送法違反(無許可営業、いわゆる「白バス」)で5月28日に再逮捕され[26]、7月18日付けで国土交通省関東運輸局から道路運送法第81条第1項による自家用自動車の使用禁止処分が下された[27]

2014年3月25日前橋地裁は運転手に対し、自動車運転過失致死、道路運送法違反、電磁的公正証書原本不実記録供用の罪で懲役9年6ヶ月及び罰金200万円の有罪判決を言い渡した(求刑:懲役10年及び罰金200万円)[28][29]

なお鑑定留置時に睡眠時無呼吸症候群と診断されている[30]

2種免許は国際運転免許証の対象外であると同時に、トラック物流と違い、旅客営業用のため日本語でのコミュニケーション能力が求められ、学科試験は日本語のみのため日本語が理解出来ないと合格が難しく、普通2種でも外国人では合格取得までに1年83回(平均週2回受験)も不合格と言う事例もあり[31]、日本語が拙い状態で通訳が必要だったことから不正取得、替え玉受験が疑われている[32]
バスの運行会社

バスを運行した陸援隊は、事業用バスを19台保有し、外国人観光客を中心に観光バス業務を営業していた[33]。しかし、2011年(平成23年)3月に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)と福島第一原子力発電所事故以降、外国人観光客が激減したため、夜行のツアーバス事業へ本格参入した[33]。登記簿の記載によれば、同社は資本金1500万円で、1997年4月3日に有限会社針生エキスプレスとして設立され、2000年2月9日付で現商号に変更している。今回の事故では、ハーヴェストホールディングスと陸援隊の間に2業者が介在し、赤字にもなりかねない往復15万円で受注していた[15][34]。社長は、事故を起こした運転手について、「休みを与えており、過労運転ではなかった」との認識を示した[35]。事故を起こしたバスは、ゴールデンウィーク中の増発便であり、その影響で通常は発注していない陸援隊により運行されたものだった。

先述のように陸援隊は事故を起こした運転手に名義を貸し、無許可営業をさせていたことが発覚したため[25]、同社の男性社長(当時55歳)も運転手とともに5月28日に道路運送法違反(名義貸し)により逮捕された[26](同年6月22日に保釈[36])。同年12月10日、道路運送法違反に問われた裁判の判決が前橋地裁であった。社長への求刑は懲役4年、罰金200万円に対して懲役2年、執行猶予5年、罰金160万円。会社への求刑は罰金200万円に対し罰金160万円であった[37]

事故から1ヵ月後の5月27日に金沢市内のホテルで被害者説明会を行った。説明会中はハーヴェストホールディングスの社長達が土下座したが、被害者の家族や一部の乗客から「謝って済むか」「土下座ぐらいできるだろ」などの激しい怒号が飛び交った。終了後も被害者からは「まったく納得できない。許せない」など、会社側の説明に納得せず不満を露呈していた[38]

事故後に国土交通省関東運輸局が陸援隊に対して実施した特別監査では、法令で禁じられている運転手の日雇い、出発前の運転手の健康チェック等の「点呼」を行っていなかったこと、シートベルトの整備不良、運行指示書を作成せずにバスを運行したことなど28項目の法令違反が発覚し[39]、違反点数は242点に達した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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