歴史的文化遺産の宝庫である奈良県は関西の観光の目玉であるにもかかわらず、同県が参加を見合わせていることから、関西広域連合はこれをPRに活かせないでいる[4]。特に、国際向けの観光PR事業で「奈良」を欠くことは無視できない大きなマイナス要素であり、関西広域連合と奈良県は歩み寄りが望まれつつも、互いに関係を計りかねている[4]。また、奈良県民の中にも不参加が招く将来的悪影響を懸念する声がある[5]。
こうした動きを受けて、奈良県の荒井正吾知事は2015年6月の奈良県議会での所信表明演説で、災害時の広域防災体制の強化と観光客誘致促進などの効果をさらに高めることを目的に、関西広域連合への参加の意向を表明した。なお、奈良県が部分参加するのは、関西広域連合が扱う7分野の事務(下記の「広域行政の内容」を参照)のうち、「広域観光・文化振興」と「広域防災」の2分野である[6]。
関西広域連合は、奈良県の加入に伴う関西広域連合広域計画の改定案を2015年11月に関西広域連合議会の臨時会に上程し[7]、2015年12月4日に規約改正が総務大臣に許可され、奈良県が関西広域連合の構成団体として正式加入した[8]。
しかし、その後2016年4月に、リニア中央新幹線の停車駅誘致をめぐり荒井知事が「京都や関西広域連合とは絶対に仲良くしてはダメ」と発言するなど、両者の間にやや距離がある状態が続いている[9]。
2023年の知事選挙で荒井を下して当選した新知事の山下真(日本維新の会公認)は全分野で加入する意向を表明した。同年12月15日に奈良県議会で関西広域連合に全面参加する議案が賛成多数で可決され[10]、2024年1月9日付けで総務大臣あて関西広域連合規約の変更許可申請を行ったうえで、2月20日付けで許可された[11]。 域内の人口は2府6県で2,000万人を超える。滋賀県0141.4万人 主な財源は構成団体からの負担金である。また、広域連合には課税権が与えられていないので「広域連合税」のような独自の地方税はない。 設立当初は、広域防災、広域観光・文化振興、広域産業振興、広域医療、広域環境保全、資格試験・免許等、広域職員研修の7分野の事務が取り扱われる。 これらの広域行政に関する事務は、関西広域連合に加入している2府6県及び4政令市が対象区域となっている。ただし、下記の地方公共団体については、記載された特定分野のみの部分参加となっている。 徳島県は、加入当初は「資格試験・免許等」に関する事務については不参加だったが、2012年4月以降は当該事務を含めた全ての広域行政事務の対象区域となっている。また、奈良県は2015年12月以降、「広域防災」、「広域観光・文化振興」に関する事務についてのみ参加していたが、2024年4月から全ての事務に参加している。
人口
京都府(京都市含む)0258.3万人
大阪府(大阪市・堺市含む)0880.9万人
兵庫県(神戸市含む)0546.6万人
奈良県0133.0万人
和歌山県0092.5万人
鳥取県0055.6万人
徳島県0072.8万人
合計2,181.1万人[12]
財政
令和3年度当初予算
一般会計歳入 - 24億2000万5千円
うち国庫支出金 - 7億7238万9千円(主にドクターヘリ運航補助金)
一般会計歳出 - 24億2000万5千円
令和元年度(平成31年度)決算(実質収支)
一般会計歳入 - 24億7516万4千円
一般会計歳出 - 24億594万7千円
広域行政の内容
鳥取県:広域観光・文化振興、広域産業振興、広域医療
このうち、「広域産業振興」に関する事務については2012年4月から参加している。
広域防災
「関西広域防災計画」の策定
災害発生時の相互応援体制の強化(相互応援協定の実施要綱作成・運用)
近畿府県合同防災訓練の実施
防災分野の人材育成
救援物資の共同備蓄の検討・実施
広域的な新型インフルエンザ対策の検討・実施
広域防災に関する検討・実施
広域観光・文化振興
「関西観光・文化振興計画」の策定
広域観光ルートの設定
海外観光プロモーションの実施
「関西地域限定通訳案内士(仮称)」の創設
「通訳案内士」(全国)の登録等
関西全域を対象とする観光統計調査
関西全域を対象とする観光案内表示の基準統一
広域産業振興
「関西広域産業ビジョン」の策定
関西における産業クラスターの連携
公設試験研究機関の連携
合同プロモーション・ビジネスマッチングの実施
新商品調達認定制度によるベンチャー支援
広域医療
「関西広域救急医療連携計画」の策定
広域的なドクターヘリの配置・運航
広域救急医療体制充実の仕組みづくり
ドクターヘリの広域運用
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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