旧・協定世界時は、基本的に世界時 (UT1) の補正版である世界時 (UT2) を採用し[20]、現在とは異なる秒の定義を用いており、1971年まで使用された。
国際原子時 (TAI) が1958年1月1日0時(世界時での時刻)に開始されたときはTAI=世界時 (UT2) と起点を定めた[20]。その後1967年に1秒の定義がセシウム133原子を用いた現行の定義へ変更された[2][20]。
1972年1月1日0時に現行の協定世界時 (UTC) が、TAIと同じくSI秒の定義を用い、UTC = TAI - 10秒として開始された[2]。その後、1972年7月1日実施の第1回から2017年1月1日実施の第27回まで、いずれも正の閏秒(1秒追加)による調整が実施され、現在はUTC = TAI - 37秒となっている[3]。 以下の記述では、特に断らない限り、日本標準時における時刻表示である。 調整実施日(日本標準時の午前9時直前に実施)年1月1日7月1日 UTCとUT1との差(DUT1)を±0.9秒以内に保つよう[1]、閏秒による調整が実施される。これまでの実際の運用では、調整はすべて正の閏秒(後述)で、典型的にはUT1-UTCが-0.5秒程度のとき挿入され、そのためにUT1-UTCが+0.5秒程度にジャンプする。差が-0.2秒台で早々と挿入されて+0.7秒台にジャンプすることも、-0.6秒台になってからようやく挿入され+0.3秒台にジャンプすることもあった。しかし、差の絶対値が最大0.7秒台となることはあっても(1972年の導入直後の初期状態を例外として)0.8秒台にはならないように運用されてきている ⇒[18]。これはDUT1が0.8秒を超えないようにするというCCIR勧告460-2[38](現 ITU-R勧告TF.460-6[39])とも合致している。 この調整は、国際地球回転・基準系事業(IERS。国際観測を実施)が決定する[40]。
閏秒による協定世界時調整の仕組み
1972年0+1秒
1973年+1秒0
1974年+1秒0
1975年+1秒0
1976年+1秒0
1977年+1秒0
1978年+1秒0
1979年+1秒0
1980年+1秒0
1981年0+1秒
1982年0+1秒
1983年0+1秒
1984年00
1985年0+1秒
1986年00
1987年00
1988年+1秒0
1989年00
1990年+1秒0
1991年+1秒0
1992年0+1秒
1993年0+1秒
1994年0+1秒
1995年00
1996年+1秒0
1997年0+1秒
1998年00
1999年+1秒0
2000年00
2001年00
2002年00
2003年00
2004年00
2005年00
2006年+1秒0
2007年00
2008年00
2009年+1秒0
2010年00
2011年00
2012年0+1秒
2013年00
2014年00
2015年[36]0+1秒
2016年00
2017年[37]+1秒0
2018年00
2019年00
2020年00
2021年00
2022年00
2023年00
計16秒11秒
27秒
TAI?UTC
37秒
日本標準時 (JST) の実施日付。
すべて正の閏秒による調整である[3]。
実施時刻はすべて当日の午前8時59分59秒(日本標準時)の直後である。
UTCとUT1とのズレ。
垂直な緑の線は閏秒が追加されたことを表す。赤の線は予測。
基準とタイミング