閉塞_(鉄道)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

受け取りに失敗すると、タブレットを持たずに次の閉塞区間に進入してしまうことになるため、当然ながらその際には列車を速やかに停車させてタブレットを拾いに出なければならない[6][注 2]

JRの旅客営業線でタブレット閉塞式を使用していた最後の路線は、只見線会津坂下駅 - 会津川口駅間であったが、2012年9月22日をもって終了し、翌日から特殊自動閉そく式に切り替えられた。これを最後に、タブレット閉塞式を採用している路線はない。

第3セクター鉄道では、由利高原鉄道鳥海山ろく線(前郷‐矢島間)、くま川鉄道湯前線(人吉温泉‐あさぎり間)で運用されている。由利高原鉄道の前郷-羽後本荘間はスタフ閉塞となるため、前郷駅では上下列車の交換の際にタブレットとスタフ交換が行なわれる。(旅客列車からも見ることができる。)




タブレットの入ったカバンキャリアを運転士に渡す駅員

通票受器にタブレットの入ったカバンキャリアを引っ掛ける通過列車の運転士

通票授器からタブレットの入ったカバンキャリアを受け取る通過列車の運転士

タブレット閉塞で使用されるタブレット(通票)閉塞機(京都鉄道博物館所蔵)

タブレット閉塞機からタブレットを引き出す様子(津山まなびの鉄道館所蔵)

路面電車での使用例
信号所で離合する列車がタブレットの入ったカバンキャリアを交換する光景。
(土佐電気鉄道伊野線八代信号所

閉じた状態のタブレットキャッチャー(キハ22形気動車

通過駅を展開状態で通過し、ケースに収納されたタブレットを自動回収した。

由利高原鉄道前郷駅で現在も行われているスタフとタブレット交換

連査閉塞式

連査閉塞式は、タブレット閉塞式の欠点(各停車場に通票閉塞機と取り扱い要員の配置が必要なのと、保安上の問題。)を改善して通票(タブレット)を用いないで済むように開発された閉塞方式である。

閉塞区間の両端の駅に連査閉塞器を設置し、駅構内の両端にある場内信号機前後に50m程度の開電路式軌道回路 (OT) と閉電路式軌道回路 (CT) の2つの短小な軌道回路を設置しており、この2つの軌道回路を列車が踏むことによって閉塞区間内の列車の有無を検知・記憶して閉塞を確保する、チェックイン-チェックアウト方式の閉塞方法である。

列車を発車させる際は、両駅で信号取扱者の駅員が閉塞用の専用電話で閉塞の打ち合わせをして、閉塞区間内に列車がいないことを確認した後、両駅に設置された連査閉塞器の一対の方向てこを、反位に操作して閉塞を開始すると、運転の方向(列車が運転する方向)が駅表示盤に表示され、出発側の駅では、一方側の出発信号機が進行(緑)を現示して、到着側の駅では、片一方側の出発信号機が停止(赤)を現示する。その後、出発した列車が出発側の駅の出口側にある閉電路式軌道回路を通ると、列車が閉塞区間内に入ったことを検知して、出発側の駅では、出発信号機が停止(赤)を現示して、閉塞区間内に列車がいることを両駅の駅表示盤に表示される。列車が到着側の駅に接近すると、その駅表示盤にあるブザーが鳴り、到着側の駅の入口側にある開電路式軌道回路を通ると、列車が閉塞区間内から出たことを検知して、閉塞区間内に列車がいないことを両駅の駅表示盤に表示されるので、列車が到着駅に到着した際には、再度両駅で閉塞用の専用電話で閉塞解除の打ち合わせをして、両駅の連査閉塞器の方向てこを、定位に操作して閉塞を解除する。両駅の連査閉塞器の方向てこが反位の状態で閉塞区間内に列車がいる時には、運転の方向が鎖錠(ロック)されて、方向てこが取扱いできない状態となり、そのため、両駅での出発信号機の操作もできず、停止を現示したままの状態となるので、その結果、閉塞が確保される。よって信号機を守っていれば、通票という物証を用いなくても閉塞が実現されることになる。

通票を扱う機会の多い線区や、豪雪地帯など通票扱いに支障のある線区に多く導入されたが、タブレット閉塞式と同じく両駅で信号取扱者が必要なこと、両駅で同一方向に、続けて列車を出発させる場合には、再度両駅で打ち合わせをする必要があること、1962年に羽越本線で発生した事故(羽越本線列車衝突事故)により、閉塞を直前転換した際に双方の駅から同時に列車が進入できてしまう構造上の欠陥から安全性が問題視されたことや、後に開発された特殊自動閉塞式へ容易に改良できることから、急速に姿を消した。JRの旅客線で連査閉塞式が最後まで使用されていた路線は山田線盛岡駅 - 宮古駅間であったが、2018年3月25日から特殊自動閉塞式へ変更された。2017年3月31日現在、連査閉塞式が使用されているのは信越本線貨物支線上沼垂信号場 - 焼島駅間のみである[7]
連動閉塞式

連動閉塞式は連査閉塞式に似ているが、隣の駅まで連続した軌道回路を設置している。これにより、列車走行中に連結が外れた遺留車両があれば閉塞が解除されないため、閉塞が異常であると検知することができる。連動閉塞式に使用する閉塞機は連動閉塞器という。

連続した軌道回路があることから自動閉塞式への改良が容易で、また、1947年の室蘭本線列車衝突事故で連査閉塞式と同様の構造上欠陥・問題があったことから、早期に自動閉塞化された。2017年3月31日現在、日本では阪神武庫川線奥羽本線貨物支線(土崎駅 - 秋田港駅間)でのみ使用されている[8]
双信閉塞式

双信閉塞式は複線運転の初期に英国から導入されたサイクス式閉塞器を元にして明治31年に小出篤次郎、太田信一郎、千手常次郎等によって考案され、翌年、坪井孚が改良した複線用の閉塞システムである。両端の停車場で対となる双信閉塞器を設け、両停車場の運転取扱者が電鈴合図や電話連絡をとり、共同作業で閉塞を行った。双信という名の通り、閉塞器中央には左右に腕を持った腕木式信号機状の表示器があり、その腕の角度で出発・到着停車場を現示させていた。双信閉塞式はまず新橋駅 - 品川駅間で試用された後、全国に普及していき、植民地時代の朝鮮の鉄道でも使用された。しかしタブレットのような物証も、モデルとなったサイクス式閉塞器の持つ信号機との連動機構もなく、運転取扱者による閉塞器の表示確認のみで列車の運行を行うため保安度が低かった。また複線区間は列車の運行頻度が高いので、原理上、停車場間で1列車のみが運行できる双信閉塞式では運行回数の増加に対応できず、早くから自動閉塞式への変更が進められた。その結果1965年に最後まで残っていた伊田線の自動閉塞化によって消滅した。
自動閉塞方式

自動閉塞方式 (automatic block system) とは、人手を介さない閉塞方式である。
自動閉塞式

停車場内および停車場間に連続した軌道回路を設け、列車の車輪で回路を短絡させることで自動的に閉塞と信号機の制御を行う方式。単線自動閉塞式と複線自動閉塞式があり、前者は、停車場間の単線区間を複数の閉塞区間として分けることで、複数の軌道回路と閉塞信号機を設けて、閉塞区間の入口には、列車の進入を許可を行う閉塞信号機を設置している。両側の停車場にある方向てこを取扱うことで、一方の閉塞信号機を青にし、片一方の閉塞信号機を赤にして、一方方向の列車にしか進入を許可しないことによるものと軌道回路による列車の検知により自動的に閉塞信号機を制御することで閉塞を確保している。そのため、停車場間の一方方向に複数の列車を走らせる事ができる。後者は、停車場間の複線区間に複数の閉塞区間を分けることで、複数の軌道回路を設けており、閉塞区間の入口には、列車の進入を許可を行う閉塞信号機を設置しており、軌道回路による列車の検知により閉塞信号機を自動的に制御して閉塞を確保している。ただし、2004年8月11日鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準が改正されて、軌道回路に拠らない方式で列車位置検知を行うものも自動閉塞式に含まれることになった。これに相当するのはCOMBATである。

駅で複数の人間によって異常を確認できる前述の方式と異なり、事実上運転士1人の注意力に頼らざるを得ず、実質的に無閉塞と同じであった。これを安全に取り扱う為には、自動列車保安装置ATSなど)の導入が必須である。その為、ATS方式を採用している区間は「閉塞方式はATS」と表現されることもある。
自動閉塞式(特殊)
自動閉塞式(特殊)とは、単線の停車場間をひとつの閉そく区間とし、自動閉塞式を簡略化した閉塞システム。停車場間が短く、わざわざ単線自動閉塞式を採用する必要の無い線区向けに、停車場間を連続した一閉塞区間として設備投資を下げたもの。このため、同一方向の列車であっても、停車場間に複数の列車を走らせる事はできない。また、停車場に遠方信号機を必要とする。より簡易で低コストな特殊自動閉塞式よりも保安度は高い。採用例は、神奈川県の江ノ島電鉄や湘南モノレールなど。優等列車が運行されることもあるが、追い抜きできる駅が限られるために本数は制限される。
バリス式列車検知形閉塞装置
COmputer and Microwave Balise Aided Train control systemの略でCOMBATと呼ばれている。前述の電子閉塞の代替およびコストの掛かる軌道回路を不要にすることを狙って開発されているもので、地上と車上の間でバリスという装置の無線通信を行って列車の位置確認を行っている。閉塞装置と呼んでいるが連動装置の機能を内包しているものである[9]
特殊自動閉塞式

停車場間の線路には軌道回路を設けず、駅構内の線路にのみ軌道回路を設ける方式。単線専用の閉塞方式であり、停車場間で1閉塞区間のみで、必要に応じて停車場には遠方信号機が設置される。非自動閉塞と同様、駅間に信号用高圧線を設置する必要がないことから、一般的な自動閉塞式に比べてコストダウンを図ることができる。
軌道回路検知式
駅構内及び駅間にOT(開電路式)・CT(閉電路式)軌道回路を設け、その軌道回路の落下または扛上により自動的に信号機の制御を行う方法である。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:84 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef