閉塞_(鉄道)
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2017年3月31日現在、連査閉塞式が使用されているのは信越本線貨物支線上沼垂信号場 - 焼島駅間のみである[8]
連動閉塞式

連動閉塞式は連査閉塞式に似ているが、隣の駅まで連続した軌道回路を設置している。これにより、列車走行中に連結が外れた遺留車両があれば閉塞が解除されないため、閉塞が異常であると検知することができる。連動閉塞式に使用する閉塞機は連動閉塞器という。

連続した軌道回路があることから自動閉塞式への改良が容易で、また、1947年の室蘭本線列車衝突事故で連査閉塞式と同様の構造上欠陥・問題があったことから、早期に自動閉塞化された。2017年3月31日現在、日本では阪神武庫川線奥羽本線貨物支線(土崎駅 - 秋田港駅間)でのみ使用されている[9]
双信閉塞式

双信閉塞式は複線運転の初期に英国から導入されたサイクス式閉塞器を元にして明治31年に小出篤次郎、太田信一郎、千手常次郎等によって考案され、翌年、坪井孚が改良した複線用の閉塞システムである。両端の停車場で対となる双信閉塞器を設け、両停車場の運転取扱者が電鈴合図や電話連絡をとり、共同作業で閉塞を行った。双信という名の通り、閉塞器中央には左右に腕を持った腕木式信号機状の表示器があり、その腕の角度で出発・到着停車場を現示させていた。双信閉塞式はまず新橋駅 - 品川駅間で試用された後、全国に普及していき、植民地時代の朝鮮の鉄道でも使用された。しかしタブレットのような物証も、モデルとなったサイクス式閉塞器の持つ信号機との連動機構もなく、運転取扱者による閉塞器の表示確認のみで列車の運行を行うため保安度が低かった。また複線区間は列車の運行頻度が高いので、原理上、停車場間で1列車のみが運行できる双信閉塞式では運行回数の増加に対応できず、早くから自動閉塞式への変更が進められた。その結果1965年に最後まで残っていた伊田線の自動閉塞化によって消滅した。
自動閉塞方式

自動閉塞方式 (automatic block system) とは、人手を介さない閉塞方式である。
自動閉塞式

停車場内および停車場間に連続した軌道回路を設け、列車の車輪で回路を短絡させることで自動的に閉塞と信号機の制御を行う方式。単線自動閉塞式と複線自動閉塞式があり、前者は、停車場間の単線区間を複数の閉塞区間として分けることで、複数の軌道回路と閉塞信号機を設けて、閉塞区間の入口には、列車の進入を許可を行う閉塞信号機を設置している。両側の停車場にある方向てこを取扱うことで、一方の閉塞信号機を青にし、片一方の閉塞信号機を赤にして、一方方向の列車にしか進入を許可しないことによるものと軌道回路による列車の検知により自動的に閉塞信号機を制御することで閉塞を確保している。そのため、停車場間の一方方向に複数の列車を走らせる事ができる。後者は、停車場間の複線区間に複数の閉塞区間を分けることで、複数の軌道回路を設けており、閉塞区間の入口には、列車の進入を許可を行う閉塞信号機を設置しており、軌道回路による列車の検知により閉塞信号機を自動的に制御して閉塞を確保している。ただし、2004年8月11日鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準が改正されて、軌道回路に拠らない方式で列車位置検知を行うものも自動閉塞式に含まれることになった。これに相当するのはCOMBATである。

駅で複数の人間によって異常を確認できる前述の方式と異なり、事実上運転士1人の注意力に頼らざるを得ず、実質的に無閉塞と同じであった。これを安全に取り扱う為には、自動列車保安装置ATSなど)の導入が必須である。その為、ATS方式を採用している区間は「閉塞方式はATS」と表現されることもある。
自動閉塞式(特殊)
自動閉塞式(特殊)とは、単線の停車場間をひとつの閉そく区間とし、自動閉塞式を簡略化した閉塞システム。停車場間が短く、わざわざ単線自動閉塞式を採用する必要の無い線区向けに、停車場間を連続した一閉塞区間として設備投資を下げたもの。このため、同一方向の列車であっても、停車場間に複数の列車を走らせる事はできない。また、停車場に遠方信号機を必要とする。より簡易で低コストな特殊自動閉塞式よりも保安度は高い。採用例は、神奈川県の江ノ島電鉄や湘南モノレールなど。優等列車が運行されることもあるが、追い抜きできる駅が限られるために本数は制限される。
バリス式列車検知形閉塞装置
COmputer and Microwave Balise Aided Train control systemの略でCOMBATと呼ばれている。前述の電子閉塞の代替およびコストの掛かる軌道回路を不要にすることを狙って開発されているもので、地上と車上の間でバリスという装置の無線通信を行って列車の位置確認を行っている。閉塞装置と呼んでいるが連動装置の機能を内包しているものである[10]
特殊自動閉塞式

停車場間の線路には軌道回路を設けず、駅構内の線路にのみ軌道回路を設ける方式。単線専用の閉塞方式であり、停車場間で1閉塞区間のみで、必要に応じて停車場には遠方信号機が設置される。非自動閉塞と同様、駅間に信号用高圧線を設置する必要がないことから、一般的な自動閉塞式に比べてコストダウンを図ることができる。
軌道回路検知式
駅構内及び駅間にOT(開電路式)・CT(閉電路式)軌道回路を設け、その軌道回路の落下または扛上により自動的に信号機の制御を行う方法である。連査閉塞式を自動化したもの。駅構内の両端にある場内信号機前後に開電路式軌道回路と閉電路式軌道回路の2つの短小な軌道回路を設置して、この2つの軌道回路を列車の車輪が踏むことによって列車の駅からの出発または駅への到着を検知して駅間の閉塞の確保や列車の検知を行う。駅構内にも軌道回路を設置して列車を検知している。その他にも、列車が駅に接近していることを知らせる接近リレーや踏切を制御する踏切制御子によっても列車を検知している。それらの列車の位置情報を元に、CTC(列車集中制御装置)又はARC(自動進路制御装置)での遠隔操作により、駅の出発・場内信号機と分岐器を連動装置を介して作動させ、自動で進路の設定を行う。そのため、駅に設置された駅連動制御盤にはCTC・自動・手動の3つの取扱いに切替える為の解放キーてこが設けられている[注 3]。手動からCTC又は自動に切替える場合には、制御盤の全てのてこを定位にする必要がある。また、出発側の駅で出発信号機の停止信号現示で出発した場合や、出発信号機の故障により代用閉塞方式で列車を運転した場合には、誤出発検知機能が働いて、駅間の閉塞は鎖錠(ロック)されて到着側の駅の出発信号機は停止信号現示のままになり操作ができなくなる。その後、到着側の駅に到着しても駅間の閉塞は鎖錠のままでの状態であり、出発側の駅連動制御盤の誤出発解錠ボタンを押さないと解除されない。
電子符号照査式
俗に「電子閉塞」とも言われる。軌道回路検知式と同じく駅構内にも軌道回路を設置しているが、停車場間では両駅にある駅閉塞装置が伝送ケーブルで繋がっている。また、当該区間を運転する列車には車載器が搭載されており、閉塞を確保するためには、駅閉塞装置同士が、列車に搭載された車載器から発信される固有番号を照査・記憶することにより自動的に信号機を制御して閉塞を確保する方法である。そのため、運転士による車載器の操作が必要となる。まず、出発駅で車両側の車載器の出発ボタンが押されると、各駅停車の列車か快速運転の列車かの運行形態と列車の固有番号の符号が発信される。そして、それが地上の出発駅の駅閉塞装置に送信されて登録される。その後、伝送ケーブルを介して到着駅の駅閉塞装置との間で、自動により閉塞の要求を行われる。それが成立すると、到着駅の駅閉塞装置に列車の運行形態と固有番号の符号を送信し登録される。その後、出発駅の分岐器を所定進路に転換させて出発信号機が進行信号を現示することで、列車は出発する。また、到着駅では、列車の出発後の時間を計測して、設定時間経過後に場内信号機と分岐器を作動させて進路を設定する。また軌道回路検知式と同じくCTC(列車集中制御装置)が必要となる[注 4]。駅には、軌道回路検知式と同じく駅連動制御盤が設置されているが、列車に与えられた固有番号の符号により閉塞が確保される為、制御盤には、停車場間の閉塞区間の列車の進行方向を決める方向てこが設けられておらず、解放キーてこにより、自動又は手動に切替えることができる。構内入換では、定常的な入換えを行う駅には入換制御盤を、定常的な入換えを行わない駅には線路閉鎖表示盤が設置されており、これらを操作して入換を行う。また、軌道回路検知式と同じく誤出発検知機能がある。車載器と駅閉塞装置の間の通信には、RPCアンテナを使用する電波方式と受光器を使用する赤外線方式がある。前者は到着駅に列車が駅構内に設けられた軌道回路に進入して到着すると、車載器が自動で無線交信して、列車の固有番号の符号が到着駅の駅閉塞装置に登録され、その後、伝送ケーブルを介して出発駅の駅閉塞装置にその情報が送られ、登録された列車の固有番号の符号と一致すると、閉塞が自動に解除される。後者は駅到着時にも乗務員により車載器から通信させなければ到着登録とならず、閉塞が解除されない。通過列車が設定出来ないことから[注 5]、後者が採用されているのはごく一部の地方閑散線区のみである。電子閉塞装置は、ヨーロッパの支線区で採用されている電子トークンを参考に、1984年から開発が始まった。1985年秋から全国の閑散線区19線区への取り付け工事を進められ、1986年7月日高本線で最初に試験適用が始まった。その結果を受けて、1986年11月1日国鉄ダイヤ改正から各線区での使用が開始された[11]。非自動区間が多く残る地方ローカル線区を手早くCTC化することができることから、一時多くの線区がこの方式によってCTC化された。しかし、他のCTCと互換性がないことや、車載機や地上側アンテナの故障時の取扱いが面倒なこと、さらにはダイヤ設定にも制約がかかり、例として大半が電子符号照査式区間である宗谷本線では、電子閉塞の入り口である永山駅において下り列車の停車が必須になっている等、デメリットも大きい。上記の19線区以外に新設されることはない。また、使用部品が生産中止となっているために既存路線では更新の問題を抱えている。このためこれに替わる新しいシステムとして、前述のバリス式列車検知形閉塞装置 (COMBAT) が開発されており[10]、加古川線などで試験的に導入された。

特殊自動閉塞式(電子符号照査式)で使用される車載器(携帯無線機)

停車場構内にある特殊自動閉塞式(電子符号照査式)の駅閉塞装置に繋がっているRPCアンテナ。

トロリーコンタクター式
路面電車は併用軌道の区間では軌道回路を使用できない。そのため架線に設置されたトロリーコンタクターのスイッチを車両のパンタグラフが叩くことで信号機の現示が変わり、閉塞を行うことがある。路面電車は複線区間では閉塞は使用されていないが、単線区間では特殊自動閉塞が採用されており、とさでん交通のように単線区間でも同一方向に続行運転を行う事業者もある。


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