訳語としての「長官」は、アメリカ合衆国では閣僚と連邦公務員の役職名として使用される。最も有名なのは、国防長官や、国務長官といった閣僚ポストのものである。これらの場合は長官は日本でいうところの大臣ポストであるが、米国では閣僚の職名として一般的なministerではなくsecretaryを採用しており、かつ共和制であるため、大臣でなく長官と訳す慣行がある。ほかに連邦捜査局やアメリカ食品医薬品局の長(Director)にも「長官」の訳語が用いられる(「局長」は長官の下で分掌を司る担当責任者のことである)。米国は日本に比べて省の局長レベルでも政治的任用が多いことから、官僚生え抜きの感のある「局長」でなく「局長官」の訳語を用いることがある。 大韓民国でも閣僚の官名に長官(??)という呼称が採られている。長官と呼ばれるのは「企画財政部長官」をはじめとした閣僚に原則として限られ、それ以外の機関の長は単に長と呼ばれる(警察庁長、気象庁長など)。諸外国の閣僚も非君主国は原則として長官(??)と呼称される(君主国は大臣(??)と呼ばれることが多い)。 フィリピン、メキシコ、ケニアでは、米国と同じく閣僚の呼称としてsecretaryを採用しており、かつ共和制であるため、長官と訳すことがある。 パレスチナ自治政府の閣僚は独立国同様にMinisterと称しているが、日本政府は独立を承認していないため「庁長官」の語をあてている。 中国語圏では特定の行政区の首長職を「行政長官」と称する例がある。現在は中華人民共和国の特別行政区である香港・マカオに行政長官(chief executive)が設けられている(→香港特別行政区行政長官、マカオ特別行政区行政長官)。中華民国が台湾を接収する過程にあった1945年9月から1947年5月までの間、台湾省行政長官が置かれた(→台湾省行政長官公署)。
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