長ぐつをはいたネコ
Puss in Boots
監督クリス・ミラー
『長ぐつをはいたネコ』(ながぐつをはいたネコ、原題: Puss in Boots)は、2011年のアメリカ合衆国のコンピュータアニメーション・コメディ映画[6]。ドリームワークス・アニメーションが制作し、パラマウント・ピクチャーズが配給した。脚本はトム・ウィーラー(英語版)、原案はブライアン・リンチ(英語版)、ウィリアム・デイヴィス(英語版)、ウィーラー、監督は『シュレック3』のクリス・ミラー(英語版)が務めた。アントニオ・バンデラス、サルマ・ハエック、ザック・ガリフィアナキス、ビリー・ボブ・ソーントン、エイミー・セダリスが声を担当した。
『シュレックシリーズ』のスピンオフ作品で、童話『長靴をはいた猫』の映画化ではなく、『シュレック2』で登場する前の長ぐつをはいたネコ(英語版)の冒険を描いた作品となっている。ハンプティ・ダンプティとキティ・フワフワーテを連れ、ジャックとジルという2人の悪党を相手に、大金持ちになれるという伝説の魔法の豆を手に入れるために戦うことになる。
2011年10月28日に2D、デジタル3D、IMAX 3Dで劇場公開された[7][8]。批評家から好評を博し、興行収入は5億5,490万ドル、第84回アカデミー賞では長編アニメ映画賞にノミネートされた。2015年には『The Adventures of Puss in Boots(英語版)』と題した本作のスピンオフ・テレビシリーズがNetflixで初放送された[9]。続編として『長ぐつをはいたネコと9つの命』が2022年に公開された[10]。 長ぐつをはいたネコ(別名: プス)は、多額の懸賞金がかけられたお尋ね者だった。流れ者の彼はずっと「魔法の豆」を探し続けていた。それを使えば、巨人の住む城へと辿り着くことができ、そこには黄金の卵を生むガチョウがいると言われている。その魔法の豆を、悪名高い盗賊カップル、ジャックとジルが持っているという情報を酒場で聞きつけたプスは、彼らが泊まっている宿に侵入しようとする。ところがそこには、もう一人、魔法の豆を狙っている黒装束のネコがいた。プスと黒装束の猫は牽制し合う中、ジャックとジルに見つかってしまい、2匹は窓から逃げる。そのままプスは黒装束の猫を追跡するが、やがてダンスバトルに発展した。バトルの末、プスは相手がメスであると知って驚く。戸惑いつつも、物陰に姿を消した彼女を探していたプスは、そこでかつての因縁の相手であるハンプティ・アレクサンダー・ダンプティと再会する。黒装束のメス猫、キティ・フワフワーテは、ハンプティがプスを止めるために差し向けたネコだったのだ。ハンプティは、プスとキティと協力して、ジャックとジルから魔法の豆を奪い、巨人の城へと辿り着く計画を立てていた。しかし、ハンプティの過去の裏切りを許せないプスは、彼の誘いを断る。ハンプティと昔、何があったのかを尋ねるキティに、プスはかつて自分の育った孤児院であった出来事を語る。 プスとハンプティはサン・リカルド孤児院で共に暮らし、絆を深めていた。当時から魔法の豆を育て、巨人の住む城へと登り、黄金の卵を手にすることを夢見ていたハンプティは、プスと共にその豆を探していた。やがて成長した2人は魔法の豆のことは忘れ、盗みをはたらいていた。そんな中、プスはある日街で猛牛に襲われそうになった警察署長の母を救い、街の英雄になる。一方、ハンプティは相変わらず盗みを続け、プスはそんな彼を諫めていた。ところがある夜、ハンプティはプスを騙して銀行強盗の片棒を担がせ、プスはその日を境にお尋ね者となった。 ハンプティはプスにした過去の仕打ちを後悔しており、「もう一度チャンスをくれ」と彼に頼む。ハンプティの説得に応じ、プスはハンプティ、キティと3人でジャックとジルから魔法の豆を奪う計画に加わる。3人はジャックとジルとの激しい格闘の末、彼らの手から魔法の豆を盗み出すことに成功する。やがてその豆を砂漠に植えると、突如竜巻が発生し、魔法の豆はすぐに芽を出した。ハンプティがその芽に声をかけると、一気に成長して空へと伸び上がり、やがて雲へと達した。雲の上で3人は巨人の住む城を発見する。城の中の巨人は既に死に絶え、廃墟となった建物の中に草木の茂る場所があった。黄金の卵を守るモンスターの目を掻い潜り、3人はついに黄金の卵が大量に転がっている場所へと辿り着く。しかし、卵は巨大で非常に重く、何個も持ち帰るのは困難に思われたため、黄金の卵を生むガチョウの雛を発見し、卵ではなく、雛を連れ帰ることにする。モンスターの追撃を受けて逃げ惑う3人は、濁流に飲まれ、城の排水口から放り出されて地上へと落下するが、豆の木の葉をパラシュートにして無事に着陸する。その夜、3人は計画の成功を喜び、プスはキティとダンスを踊りながら、徐々に良い雰囲気になっていく。しかしプスが横になって目を閉じた瞬間、彼は密かに追ってきていたジャックとジルに殴られて意識を失う。 翌朝、目を覚ましたプスは、そこにハンプティとキティの姿がないことに気付く。馬を乗り、2人の姿を見つけるため、故郷のサン・リカルドへと辿り着く。ところがプスがそこで見たものは、ジャックとジルと一緒に計画の成功を喜ぶハンプティの姿だった。実は、ハンプティはプスに恨みを抱いていたのである。銀行強盗を行い、警察から追われて逃げる際に、プスは橋の上で倒れたハンプティに手を貸さずに、見捨てて逃走した。その時のことをハンプティはずっと忘れず、いつか復讐しようと密かにプスの後をずっと尾行していたのだった。ハンプティはプスを警察に引き渡し、黄金の卵を人々に与え、英雄のような扱いを受けるのだった。連行されていくプスを、申し訳なさそうにキティが見つめていた。彼女もハンプティの計画を始めから知っていたのである。 プスは投獄されるが、その中で白く長い髭を持つ老人と出会う。老人の名はジャックと言い、元々魔法の豆を持っていた『ジャックと豆の木』の主人公であり、ハンプティはジャックと一緒に投獄されていた際に魔法の豆を盗んだと言う。ジャックは、黄金の卵を生むガチョウの雛を盗むと、それを追って恐ろしい母ガチョウが追ってくると言う。サン・リカルドの街に危機が訪れることを知り、プスは何とか脱獄しようと試みるが上手く行かない。その時、キティが現れ、プスの脱獄に手を貸す。プスに心惹かれ始めていたキティは、ハンプティの策略に加わり彼を陥れたことを後悔していたのである。 キティの協力により、脱獄に成功したプスはハンプティのもとへ行き、雛をよこせと迫る。ハンプティは雛の母親が襲来して街が破壊されることを既に知っており、密かに雛と共にサン・リカルドを離れようとしていた。詰め寄るプスに、ハンプティは、一緒に育ったプスが、ある日を境に英雄になり、自分だけがおいてきぼりにされたことを恨んでいたのだと話す。プスは説得を続けるが、その時、遠方から恐ろしい唸り声と、巨大な翼が風を切る音が聞こえてきた。やがて街には、巨大な母ガチョウが現れた。黄金の卵を抱えている街の人々を見ると、母ガチョウは興奮して街を歩きまわり、雛を探しながら建物を次々に破壊していく。
ストーリー