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日本で最古の鍵とされるのは、1998年に野々上遺跡(大阪府羽曳野市)から出土した7世紀中頃と推定される海老錠である[7]飛鳥京跡苑池でも7世紀後半のものと見られる海老錠が出土しているほか[8]正倉院にもから伝わったと思われる海老錠が納められている。海老錠は古風に「魚鑰」(ぎょやく)ともいうが、錠前は元々「鎖」「鑰」「鎰」の一字でも表記された。地方を治める国府では、国司の印と正倉の鑰が、令制国統治の証明とされていた。又、「鎖」は「錠前」という字義から、「閉ざす」行為を意味する字にもなっている(例 : 鎖国、封鎖)。
江戸時代には、庶民にとって鍵はほとんど必要のないものだった。当時の治安は比較的よかった上に、用心する際はほとんど心張り棒で戸締りをしていたからである。鍵をかけるのは当時の金持ちがにかけるぐらいであったが、その鍵は手で簡単に開けられるようなものなど、防犯の意味をあまり成さず、ほとんど飾りだけのようなものが多かった。ただし、城門の|閂(かんぬき)には頑丈な錠前が備え付けられていた。なお、蔵などには雨戸などで用いられる落とし錠[注 1]が用いられることもあった[9]

武器の需要が減り、仕事が減った刀鍛冶ら武器職人によって、和錠と呼ばれる手の込んだ造りの錠前が作られるようになった。阿波錠(徳島県)、土佐錠(高知県)、因幡錠(鳥取県)、安芸錠(広島県)などが著名とされる[10]

現代の日本では、6月9日が「ロックの日」とされている[2]
鍵の分類

鍵は歴史的にみると錠の正面の鍵穴で解錠するヨーロッパ型錠と、錠の右側面に鍵穴があり鍵を押し込んで解錠するアジア型錠に分けられる[11]
ヨーロッパ型錠

ヨーロッパ型錠は西洋を中心に普及した錠内部の障害物に合致する鍵を使って回転させることで解錠する構造のものをいう[11]。回転鍵型錠ともいう[11]
アジア型錠

アジア型錠はシルクロード周辺の国々を中心に普及した錠内部の板バネを閉じさせることで解錠する構造のものをいう[11]。チャイニーズロックやオリエンタルロックともいう[11]
機械式の錠に対応する鍵
機構シリンダー錠の構造詳細は「ピンタンブラー錠」を参照

現代の主流の方式の錠前は19世紀に誕生したシリンダー錠である[1]。ヨーロッパではそれまでウォード錠が普及していたが鍵違い数は数百通りが限界であった[1]

シリンダー錠は筒を組み合わせた形状の錠前で、これに鍵を差し込み、回転させることで開閉する。シリンダー錠の内部には、普段は開閉を遮るためのピンが複数本あり、このピンはそれぞれ異なる一定の押し具合による解錠ラインが一致した場合にのみ開く構造になっている。シリンダー錠の鍵は、このピンを押し、全てのピンが同時に開いて錠前が回転するように働く。代表的なものにピンタンブラー錠がある。

アメリカではピンタンブラー方式のシリンダー錠が発明され工業製品として量産されるようになった[1]

タンブラー錠の鍵は、よく見かけるものでは新旧2種類の形状がある。古い形の鍵はレバータンブラー錠用の鍵で、数枚(通常2枚から5枚)の平らなレバーてこ)を鍵のブレードの形状によって様々な高さまで持ち上げ、内部でそれらが揃うことでボルトを前後に動かせるようになり、錠前が施錠・解錠される。鍵の歯または合い形は先端が尖っておらず、平らである。レバータンブラー錠の鍵は一般にやや大きく、持ち運びが若干不便だが、安全性は高い。

新しい形の鍵は、ピンタンブラー錠またはウェハータンブラー錠の鍵である。解錠のために鍵穴に垂直に差し込む場合、鍵穴の形状と鍵のブレード部分の溝が合わないと差し込めず、錠前に挿入できる鍵の種類が限定される。錠前に鍵を差し込むと、ブレード部の一端の歯(合い形)がシリンダー内のピンやウェハーが上下し、それらの切れ目が内筒と外筒の境界線上に並ぶと内筒を回転させることができ、それによって解錠できる[12]
スケルトンキーウォード錠は対応する鍵以外にももっと小さいスケルトンキーで開けられる。青銅製のスケルトンキー


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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