[Wikipedia|▼Menu]
解錠のために鍵穴に垂直に差し込む場合、鍵穴の形状と鍵のブレード部分の溝が合わないと差し込めず、錠前に挿入できる鍵の種類が限定される。錠前に鍵を差し込むと、ブレード部の一端の歯(合い形)がシリンダー内のピンやウェハーが上下し、それらの切れ目が内筒と外筒の境界線上に並ぶと内筒を回転させることができ、それによって解錠できる[12]
スケルトンキーウォード錠は対応する鍵以外にももっと小さいスケルトンキーで開けられる。青銅製のスケルトンキー

スケルトンキーは非常に単純なデザインの鍵で、軸は円筒状で、先端に小さく平坦な矩形上の歯(合い形)がついている。また持ち手となる頭部も独特であり、全く飾り気のない平らなものと派手に装飾されたものがある。スケルトンキーはウォード錠の施錠機構を出し抜くよう設計されている。ウォード錠とその鍵はセキュリティ能力が低く、その鍵と同じ寸法かもっと小さいスケルトンキーでも解錠でき、スケルトンキーは多数のウォード錠を解錠できることが多い。スケルトンキーでなくても、ウォード錠の鍵穴にフィットする物体なら解錠できる可能性があった。

ウォード錠は1800年代頃に最も広く使われていたが、セキュリティ能力が低いため、より複雑な錠前が製造可能になると廃れていった。今では "skeleton key" は本来の鍵の種類を指すのではなく、「合い鍵」の意味で使われることが多い。ウォード錠は今でも古い家や古い家具などに見られる。
アブロイキー

アブロイキーはディスクタンブラー錠の鍵で、そのブレード部は円筒を軸に沿って半分に切った形になっている。ブレード部には切り欠きが様々な角度で入っていて、それによって錠前内部のディスクを所定の角度まで回転させる。

フィンランドでは家の玄関の鍵としてアブロイキーがよく使われているが、フィンランド以外の世界各地でも使われている。ピッキングが非常に難しく、安全と言われている[13][14][15]
チューブラーキーチューブラーキー

チューブラーキー(古いものはバレルキーとも呼ぶ)はチューブラー・ピンタンブラー錠を解錠するための鍵である。中空の円筒形の軸があり、通常の鍵のブレード部分より短く、その直径が大きい。最近のものは、軸の先端から外面に様々な長さの溝が刻まれている。この溝に軸と並行な方向に向いているピンがはまるようになっている。円筒の外面にある突起は鍵がピンに押し出されるのを防ぐ目的があり、円筒の中空部は鍵の回転軸の位置あわせを目的としている。

チューブラーキーは通常の鍵複製用機械では複製できず、専用の機械を必要とするため複製がやや難しい。家庭用警報システム、自動販売機、自転車の錠前などによく見られる。ピンは7本または8本が一般的で、コンピュータでは小型のものを使っている。
ディンプルキー

ディンプルキーは、スイスKABA社が1934年に世界で初めて開発した鍵で、ブレードの平たい面に様々な深さの窪みが刻まれている。鍵違い数が膨大で、複雑な構造を有しているため、物理キーとしては現在最もピッキングに強い鍵として知られている。通常、対応する錠前には2列のピンがあり、鍵にある2列の窪みとそれらがかみ合うようになっている。一般に裏面にも同じ窪みのパターンが刻まれていて、どちらの面を表として挿入しても機能するようになっている[16][17]。日本では2000年前半に起こったピッキングブームによってその防犯性の高さから一気に普及した。各メーカーがディンプルキー採用のシリンダーを製造している。複製に専用の機材を要する。
マグネットキー

マグネットキーと対応する錠前は、鍵に磁石を埋め込んでおり、それを施錠・解錠に用いる機構である。ブレード部に小さな磁石が並んでいて、そのN極とS極の並びによって錠前内部のタンブラーを引き付けたり反発したりすることでシリンダーを回転できるようにする。電気は使っていない。磁石の向きや強さを様々に組み合わせることで数千の組み合わせが可能である[18]
代表的な錠前と鍵
南京錠
南京錠南京錠は箱状の本体と、U字型の金属の足「弦」(ツル)からなる錠。弦が持ち上がり、一方の足と本体の間に空間が生まれる。この空間にチェーンなどを組み入れてロックさせる。既に、江戸時代初期には伝来していたと考えられており、「小さい」または「珍しい」という当時の意味で南京と名付けられているだけで(他の用例: 南京豆南京虫など)、南京市とは直接の関係はない。最近の日本製の物では、本体に真鍮、ツルにはステンレスまたは真鍮メッキした鋼鉄などが主に使われる。防犯性を高めるためツルを熱処理して硬度を高めた物もある。
和錠
日本では中世に「和錠」が製造されるようになった[11]。和錠は鍵と外観はヨーロッパ錠の形態であるが、内部構造は板バネを使用しておりアジア錠と同じ特徴を持つ[11]。和錠には、知恵の輪のような鍵や、豪華に金箔が張られた錠、重さが数キログラムもある錠、が描かれた芸術性のある錠、また、仕掛けを解かないと鍵穴が見つからない錠、一つの鍵穴に複数の鍵を順番に差し込まないと解錠できない錠、すなわち「からくり錠」[19]等、様々な錠前と鍵が存在した。現在でもそれらを収集するコレクターが存在する。
ベルリン錠
ベルリン錠通常の鍵はどちらか片方に鍵があるが、ベルリン錠(: Durchsteckschlussel、: forced locking key)は両側に2つの鍵がついている。解錠後、鍵はドアの反対側に抜けてしまう。この機構によって、反対側から再びドアに鍵をかけるまで鍵を収納することができない。この形式の錠では、ドアが開いている間にボルトを締めることはできない。ドイツベルリンにいた鍵職人 Johann Schweiger が発明し、1912年から Albert Kerfin & Co社が大量生産した。この種の鍵は現在では一般的ではなくなっている。しかし、ベルリンでは独特の特徴が受け継がれている。
その他




ピンタンブラー錠

ディスクタンブラー錠

ロータリーディスクタンブラー

マグネットタンブラー


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:51 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef