書鰓と書肺は蓋板の器官であるため後体のみに備わるが、気管は分類群によって後体のみ(ザトウムシ、カニムシ、アシナガダニ)、前体のみ(クツコムシ、一部のダニ)、もしくは後体と前体両方(ヒヨケムシ)に備わるものがある[3]。書肺と気管の開口部は気門(spiracle)といい、一部の例外[注釈 21]を除いてこれは常に体の腹面で対になって開口する[3]。
生殖器ササラダニの生殖孔(G、右上)
ウミサソリ類の1属ユーリプテルスの生殖肢
クモの生殖孔
クモのオスの触肢器
サソリモドキ(A, B)とウデムシ(C, D)の生殖肢
多くの場合、鋏角類はペニスや産卵管と言えるほど顕著な外性器はなく、生殖器の外部は生殖孔(gonopore)のみによって表れる。ウミグモ類の生殖孔は各脚の基部に開いている[41]が、それ以外の鋏角類では知られる限り後体第2節(第8体節)の腹側のみに開口し[11][3]、該当体節の蓋板もしくは腹板由来の生殖口蓋(genital operculum)に覆われる[3]。生殖孔に当たる部分で外性器をもつ例として、ウデムシとサソリモドキは生殖口蓋の裏側に1対の小さな生殖肢(gonopod)[3]、ウミサソリ類とカスマタスピス類は生殖口蓋の中央に「genital appendage」という棒状の生殖肢をもつ[42][43]。ザトウムシは例外的に雌雄それぞれ発達したペニスと産卵管をもち[3]、クツコムシのオスも生殖孔にペニスと呼ばれるほど突出した構造体がある[44]。生殖孔でない部分にあるものの配偶行動に直結する器官は、クモの触肢にある触肢器(palpal organ, 移精器官)と、ヒヨケムシのオスの鋏角にある鞭毛(flagellum)が挙げられており、クツコムシのオスの第3脚にも「copulatory organs」という同じ機能をもつと思われる器官がある[3]。
神経系サソリモドキの神経系
各項説明:[注釈 22]
ウミグモ類の神経系(黄、B)
カブトガニ類の神経系