鋏角類は全般的に多様な呼吸様式が見られる[3]。水生鋏角類であるカブトガニ類とウミサソリ類の後5対の蓋板は、後側に書鰓(しょさい、book gills)という本のページのように畳んだラメラ(lamellae、薄葉、薄板)で構成される呼吸器をもつ[3][39]。ウミサソリの場合は更に特化が進み、「kiemenplatten」という本群に特有の呼吸器は蓋板と書鰓にあわせて精密な鰓室(gill chamber)を構成し[3]、その書鰓から空気呼吸に適した構造体も発見される[39]。クモガタ類の中で蛛肺類[注釈 18]は書鰓由来と思われる書肺(しょはい、book lungs)をもち[3]、それ以外の群は多くが気管(trachea)で[注釈 20][3]、コヨリムシ、一部のダニ、およびウミグモ類は皮膚呼吸のみを通じて酸素を取り込む[40]。小型の鋏角類ほど、呼吸の様式は書肺より気管や皮膚呼吸に偏って単純化する傾向がある[32]。
書鰓と書肺は蓋板の器官であるため後体のみに備わるが、気管は分類群によって後体のみ(ザトウムシ、カニムシ、アシナガダニ)、前体のみ(クツコムシ、一部のダニ)、もしくは後体と前体両方(ヒヨケムシ)に備わるものがある[3]。書肺と気管の開口部は気門(spiracle)といい、一部の例外[注釈 21]を除いてこれは常に体の腹面で対になって開口する[3]。
生殖器ササラダニの生殖孔(G、右上)
ウミサソリ類の1属ユーリプテルスの生殖肢
クモの生殖孔
クモのオスの触肢器
サソリモドキ(A, B)とウデムシ(C, D)の生殖肢