鋏角亜門
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次の第2-6体節は、7節前後の肢節に分かれた5対の歩脚型付属肢がある[3]。そのうち最初の1対は触肢(しょくし、pedipalp、ウミグモの場合は palp)といい、クモガタ類ウミグモ類の場合ではこの付属肢の特化が進んでおり、明確に脚から区別される[注釈 10][3]。この5対の付属肢はほとんどの場合は内肢のみをもつ単枝型であるが、ごく一部の化石群においては外肢が見られる二叉型で、特にオファコルスダイバステリウムなど基盤的な群では、最初の4対は内肢に劣らないほど発達した外肢をもつ[29][30]。これらの化石種の特徴に基づいて、鋏角類のこの5対の付属肢はかつて外肢があり、現生群に至る系統でそれがほぼ完全に退化消失していたと考えられる[注釈 11][30][31][3][1]

通常、鋏角類の前体付属肢は全てが機能的であるが、そのいずれが二次的に退化消失した例もごく稀にある[注釈 12][3][32]

鋏角はクモの場合では「上顎」とも呼ばれ、触肢や脚の基部に備わる突起物は分類群によって「顎基」「顎葉」「下顎」などと呼ばれるが、いずれも大顎類節足動物大顎小顎)とは別起源で、機能が相似するに過ぎない[10]
口と周辺の構造

は鋏角と触肢の間に開き、目立たない上唇(labrum、または rostrum[11])に覆われている。カブトガニ類の口は後方に向くが、クモガタ類の場合は前方に向く[3]ウミグモ類の場合は上唇らしき構造をもたず、代わりに発達した円筒状の(proboscis)が先頭に突出し、口はその先端に開く[3]
後体ハラフシカブトガニ類の後体は様々な特化様式(A-F)が見られる。

後体(opisthosoma)は腹部(abdomen)とも呼ばれるが、合体節的には胴部である。第7体節を起点として、最多13節からなる(第19体節まで及ぶ)[3]。通常は単一の合体節とされるが、前後で幅広い前部と細い後部に特化し、いわゆる中体(mesosoma)と終体(metasoma)もしくは前腹部(preabdomen)と後腹部(postabdomen)という、更に2つの合体節として明瞭に区別できた分類群もある[注釈 13]。また、クモガタ類の中には尾部(pygidium)と呼ばれる、短く集約した末端2-3節をもつ分類群もある[注釈 14]鞭状の尾節をもつコヨリムシ

最終体節の肛門の直後に尾節(telson)をもつ例が多く、その形は分類群によって状(状)・へら状・状(数珠状、鞭状体 flagellum)など様々である[注釈 15][3]

一部の文献では「中体・後体」と「前腹部・後腹部」は違う定義で区別され、中体と後体は(特化の有無にかかわらず)それぞれ後体第1-7節(第7-13体節)と後体第8節(第14体節)以降の体節を専門に示し、前腹部と後腹部はそれぞれ単に後体の幅広い前部と細い後部を示す用語(体節の番目にこだわらないため、それが必ずしも前述の中体と後体の範囲に対応するとは限らない)として用いられていた[31][3]。しかし、これは後述の後体付属肢の配置や「中体と終体に特化した後体は真鋏角類の祖先形質」という仮説に基づいた区別方法であり[31]、全ての文献に採用されるとは限らない[注釈 16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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