鋏角類に含まれる節足動物は次の基本的体制の違いによって、それ以外の節足動物(大顎類・三葉虫など)から区別できる。
体の合体節(tagma)は原則として前後で前体と後体の2部のみである[注釈 3][3]。
第1体節由来の付属肢は鋏角である[3](大顎類と三葉虫の場合は触角である)[9]。
先頭の合体節(頭部融合節)における鋏角以外の付属肢は原則として歩脚型である[3](大顎類の場合は触角と顎に特化している)[9]。
触角と顎は存在しない(似た機能に収斂した相似の付属肢もしくはその一部をもつ例のみ存在する[注釈 4])[3][10]。
前体ウミサソリの Hardieopterus 属の背甲。左右1対の大きな側眼と中央1対の小さな中眼をもつ。
カブトガニ類の腹側。幅広い背甲(ca)に覆われた前体は1対の短い鋏角(1)と5対の歩脚型付属肢がある。後者のうち最初の1対(2)は触肢だが、直後の歩脚(3)とほぼ同形である。
サソリ。触肢ははさみ型に特化し、口元に短い鋏角があり、中眼と側眼はそれぞれ背甲の背面中央と両前端にもつ。
ハエトリグモ。側眼と中眼由来の単眼が背甲正面と両上方に並び、その下は金属光沢を帯びる鋏角、短い触肢と4対の発達した歩脚をもつ。
前体(prosoma)は眼と口をもつ先節と直後の第1-6体節からなる合体節である。通常、前体は全ての体節が融合して背面は1枚の背甲(carapace、甲殻類の背甲から区別するために prosomal dorsal shield や peltidium とも呼ぶ[11][3])に覆われるが、第5と第6体節が独自に分節した例も存在する[注釈 5][3][12]。腹面中央に配置される腹板(sternum、または胸板[13]、節口類の場合は endostoma)は分類群によってあったり欠けたりする[3]。